罅割れた盾 〜さらばとだにも言ひて別れむ〜 公演情報 劇団パラノイア・エイジ「罅割れた盾 〜さらばとだにも言ひて別れむ〜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    「政治思想」と「演劇芸術」の問題
    堅いタイトルを付けてしまいました。
    正直、この劇のレビューを書くのは、少々気が重く感じています。

    演劇団体・演劇人には、「反戦」「戦争の悲惨」を取り扱うところが
    結構多いです。

    もちろん、「思想の自由」「表現の自由」がありますから、
    構わないと言えば構わないのですが、えてして、
    「芸術としての」演劇というよりも、政治思想のプロパガンダみたいに
    感じることが多いのです。

    その場合、「芸術を政治思想のプロパガンダに使わないでほしい」と
    いつも思ってしまいます。

    ただ、(ここまで書いたので、ばらしてしまいますが、)
    私は「空想的平和主義」や「日本軍=悪」のようなステレオタイプの思想には
    反対の人間で(もちろん、色々の考えの方がいらして良いと思っていますよ、
    念のため)、そのため、一層そのように感じてしまうのかな?などと
    常々思っていたのです。
    つまり、今回の演目については、私の立場では「思想」としてならば、
    全く共感できるのです。

    でも、今回の演目がもし「改憲集会」でのPRとして上演されたのなら、
    むしろ、よりピッタリ感じてしまうだろうな、と、どうしても思えてしまいました。

    (以下、少々のネタバレ)

    ネタバレBOX

    例えば、前半は、何とも嫌らしいジャーナリストの活動や、
    娼婦に身を落としてしまった特攻隊員の妹の話が目に付くわけですが、
    こういう、「特攻を悪しざまに言う」人々が、嫌悪感を感じるように描かれ、
    しかし途中でスッと消えてしまう・・・。

    そして後半は、特攻隊員の生き残りが地味ながら堅実に生きているさまや、
    パラオのような親日的な国の存在が描かれますが、
    つまりは、この劇の作りが「善玉」「悪玉」が明確過ぎて、
    そして「良い思想」「悪い思想」の紹介のように私には思えてしまうのです。

    もちろん、演劇界では「こちら側の思想」が取り上げられることが少ないし、
    私自身「こういう考え方をもっと知ってもらいたい」と常々考えている
    人間なので、こういう屁理屈みたいなことをいうことに、
    かなり抵抗があるのですが、
    わたしはやはり「演劇」に限らず「芸術」は、
    「政治」や「思想」から独立して欲しい、と思ってしまうのです。

    そういう意味で、「感性」においてスッと入ってくる公演を是非期待して、
    今回は辛めながら☆3つとしました。

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    2012/05/03 23:14

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