満足度★★★★
宮西計三?
なんだか高校生のころだったか、
はじめて
宮西計三の「バルザムとエーテル」を見て、
そのあまりに救いようもなくも美しい話に
「な・・なんなんだコレは?」と思って、
音楽好きの同級生と話した記憶を思い出してました・・(高校生のときはみんな脳天気なので、音楽を好きな子供たちは、こんな極彩色の絶望に憧れるようにも思うのです・・(苦笑
アフタートークで作品づくりのイメージを聴いて、
やっぱり宮西計三の世界とかぶる気もして、
ただぼんやりと、作品を純粋に伝えたときの質感としては、
宮西計三の方が上なんじゃないかなぁ・・と思ったりもしました(何となくですけど
宮西計三の世界は絶望しながらも筆舌に尽くしがたい位美しいので、
共感とかそういうのではなしに「凄い」から目が離せないので、
単純な好みから言うと、自分は
鈴木翁二とかそういう宮沢賢治や足穂とフェリーニをあわせたような
独特の少年世界が中学からずっと好きだったので(まぁどっちもニッチですけど
宮西計三と似た雰囲気の
「自慢の息子」も、凄いとは思いながらも、
自分の好みとしては、ちょっと一歩引いたところから観てしまうのかも・・。
最近になって特に思うのは、
完全に独創的な作品というのは存在しないのかな、ということで、
完全ではないにしても
(自分にとって)どこか似た質感をもつ世界というのは
この世にあるもので・・。
だからどうというのではないけれど、
作品単独だけだと、
その凄さがなかなか分からないこと、
自分の好みか確信できないものでも、
そうした世界と照らし合わせることで、
自分なりの評価がしやすくなるし、
また、舞台だけに精通した批評家の意見が当てにならないことも
良く分かる気がする・・。
趣味の作品としてはまったく問題ないのだけれど、
賞を取る作品としては、偏りすぎている気がする・・。
受賞作としては、オタク的でアートな作品ではなくて、
もう少し真っ直ぐな視野を持った(トルストイとかのような・・)
作品の方が、ほかの作家の進路になって良かったのではないかなとか・・。
こういうのって、地方の観客の方が
逆にクールに捉えるだろうから、
率直な感想が返ってきそうだなぁ・・。