パーマ屋スミレ 公演情報 新国立劇場「パーマ屋スミレ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    九州女の気風の良さ
    説明にある通り、「たとえば〜」→「パーマ屋〜」→「焼き肉〜」の時代並び。
    配役の設定や舞台進行が前作に似ていたように思うが、当時の社会背景の状況(在日一世〜、韓国籍や日本籍の選択、生きて暮らす国とか)を考えれば、設定が近くなるのは仕方ないのかも。しかし、なぜか笑え、また涙する家族愛に包まれた良い舞台だった。
    大人になって登場している大吉の最後のセリフが、現在の状況とリンクしているようだった。

    ネタバレBOX

    元々自分が九州の生まれなので、ローカルニュース等で伝聞として見聞きする機会はあったように思うが、過去の出来事という認識度で、なんというか、炭坑節=盆踊りのイメージ。
    昭和の三人姉妹を軸にした話。
    物語の語り部となる成人した長女の息子、大吉の目を通して話が進む。
    炭坑=山の事故をキッカケにいろんな歯車が狂う。

    長女・初美は息子と一緒に実家に出戻り、小さい飲み屋?をやっている。
    次女・須美の夫は炭鉱事故で一酸化炭素中毒になり、自暴自棄気味。そんな暮らしを支えている須美。
    三女・春美の夫も炭鉱事故でCO患者になり、新婚間もなく介護生活へ。
    年月が進めば病状もじわじわと身体を蝕み、自由が利かない夫はそれぞれの妻を痛めつける。
    弱者救済は看板だらけと息巻いて、弱者(炭坑夫)救済に奔走するスミ。だが、肝心の炭坑組合からも排除されるハメに。
    崩壊が拡がって行く中での、それぞれの夫婦と家族。

    土壇場まで踏ん張り続ける須美の心意気に、九州女の気風のよさが垣間見えるが、必死に見えない所がまた良い。
    やりきれないもどかしさと怒りが混じった松重さんのソンフン。
    屈託ない春美夫婦の苦しさ故の悲劇に思わず泣けた。
    帰りたくても帰れない場所となってしまった生まれ故郷の状況に、つい現在の原発事故を思い出してしまった。
    それについて苦しんだり悩み続けてたりが、この先続いている状態があるのは、嘆かわしい。

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    2012/03/10 21:52

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