子供たちのビール。
最前列には、小学校に入ってままならぬ子供達が待ち遠しい顔をして待つ。戦隊ヒーローショーの特設会場ではなく、小さな劇場で。
仮に『小演劇』というジャンルが あるとすれば、その夜の時間帯は居酒屋である。黒鞄の横に、ランドセルはない。
しかし、この劇団はキッズ割引という制度を取り入れている為、居酒屋に思わぬ客がいる。注文するのは、他の客と同じだろう。
「大将、旨い演劇を!」と。
さて、実際、そのビールを飲んでみて どうだったか。少し品の悪い台詞は 含まれていたが(子供には刺激が強い)、会話のテンポが味わい深かった。グラス底の靴から始まり、『誤解』から生じる 人間模様という泡が 染み渡った。
「もう一杯!」
というところで居酒屋の営業が終わった。
後味については、「ナリモノ」という酸味を覚えている。物語にリズムと断片を与えていた。
このビール、中野の居酒屋だけで飲むのは もったいない。
文部科学省の演劇等における「教育巡回システム」への応募をお薦めしたい。もちろん、少し苦味を抜いて。