満足度★★★★
世界の創造と、俯瞰する視点
この芝居では、ある架空の世界が創造されている。この世界と概ね一緒だが、微妙にルールが違っていて、その世界なりの秩序があるらしい。さらに、それを演劇にする上でも、微妙な「お約束」が舞台上にあって。そうした演劇的な「世界」が組み上がっていく様を見るのは、抜群に面白い。
芝居が進むにつれて、その世界の「物語」が見えてくる。物語というのは、その世界の事象に対する価値観であって、それは、言ってみれば、その世界をどう見るかの視点のこと。この芝居ではスペシャルな視点が用意されており、そのインタラクティブなポジションが、我々の住む世界と、想像された世界をつなぐインターフェイスとなる。それって、我々が、自分の住む世界を理解しようとする方法そのものだよね、ってことで、それが物語であり、しかも、得体の知れない想像された世界に鮮明な説得力を与える要素となっている。
ここではない世界の創り方が、本当に鮮やか。その手つきを見ているだけで、わくわくした。で、その世界の物語を語る構成も抜群な戦略を見せる。後で思い返すと、ああ、あれはそういうことだったのか、と気づく点がちゃんとちりばめられていて。
このストーリーで、おそらく映像(映画)の脚本も作れそう。それくらい、ある種の普遍性がある世界の描き方である。
脳みそフル回転で、ぜひ、ご覧あれ。