満足度★★★★★
ダルカラ復活
DULL-COLORED POPの劇団活動再開記念&第10回記念公演は、『Caesiumberry Jam』の再演。
原発事故以降、演劇でも色々な劇団が原発関係の芝居を上演したようだが、
8月、ちょうどセシウムがニュースに上がり始めた時期のこの再演。
チェルノブイリ原発事故を題材にしたこの芝居、初演の時以上のインパクトがあった。
なにより、役者の人数が増え、よりアンサンブルの芝居が強化されていた点が印象深い。
沢山いた村の住人たちが、芝居が進むにつれ徐々に姿を消していき、舞台上の人口密度が減っていく。
たいした説明もないままに人が消えていく様は、不気味以外の何物でもない。
子供たちは、老人は、どこに消えていったのか。
それでも村に留まり続ける人々。
そういった光景が、土の敷き詰められた舞台の上で展開される。
上演終了時、カーテンコールをせずに観客の拍手を一切拒絶する谷賢一らしいやり方は、
芝居を「見世物」でなく、3月11日以降続く我々の問題として観客に持ち帰らせる。
チェルノブイリの、放射能に汚染された土は、地続きで客席の我々の足元にも広がっているのだ。
実に鮮やかな演出。
いい芝居であった。