満足度★★★★
エスプリ
非常に分かりやすかっただけに、考えれば考えるほど、
つくづくこの作品は日本の観客向けに分かりやすく、親しみやすい形で
咀嚼され尽くしたものなんだな・・と感じます。
いくつかの手法は、日本の劇団でも似たことをやっているのを観たことがあります。
例えば、役者が観客の顔を逆にじろじろ見る、というのは
ごま氏が以前関西でやっているのを観ました。
新鮮味、というよりかは、そうした普段はあまり見慣れない手法に
フランス的なエスプリをまぶして、
日本の観客に美味しくふるまってくれたのだな、
という気がしました(そう感じた人は多いと思います・・
逆にもしそうした手法に日本の観客が本当に大きな関心を持っていれば、
今回の公演に似た手法を用いるいくつかの劇団は、
とっくに連日満員となっていたことでしょう。
単純に考えるなら、日本の観客はそうした手法に
賛辞を送っているというよりかは、
そうした手法にお洒落なフランス的風味をまぶした「芸術作品」を
美味しく味わいたい、ということを、かのフランス人演出家には
とっくに見透かされているのではないか・・などとも思えるのです・・。
そうしたことを考えると・・
公演に初演のように鍛えられたダンサーを用いなかったという理由も・・
本当はどのような意図をもって考えられているのだろうという気もしてきてしまいます(それについてはほかの街も同じなんでしょうが・・
もちろん、公演は文句なく楽しめました!
・・ただ、初演の挑戦的な雰囲気、鋭さに、
今自分の観ているものがどれだけ及んでいるのだろうか、などと、
ふと考えてしまうのです。
そうするとあまり無邪気にも喜べないところもあるのです・・。
「僕たちはあなたの今までの芸術の理解者ですよ・・」という温かい雰囲気よりかは、
「もっと過激でハジけたもの、今まで観たことがないものを自分たちは渇望している!」
といった渇きのほうが・・海外から来た芸術家を
東京(さいたま)という街が受け入れた際に刺激になるのではないか・・
などと、僕はつい思ってしまうのです・・(汗