お母さんの十八番 公演情報 アジア舞台芸術祭制作オフィス「お母さんの十八番」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    独特な演出
    もとはワークショップで生まれた10分の作品だったらしい。
    それをフルバージョンとしての上演。
    日本語での上演で、演出は韓国の方。
    なんと無料。

    ネタバレBOX

    シンプルな舞台装置。
    遺影が正面に飾ってある。
    外が見える窓が開いているのだが、役者たちが閉めていく。

    亡くなってしまった「母」を中心にした家族の物語。
    とても不思議な展開なのは、もととなった10分の作品を自由に広げていったことと関係なるのだろうか。

    緊張から緩和への手法が面白い。
    というか変わっていた。
    シーンごとのつなぎ部分に、必ず、仕掛けがある感じ。
    意表を突かれるところもある。

    特に回想シーンで、そこに登場しない役者が、動物を演じるのが意外だった。
    深刻でしんみりしたシーンの後に、ちょっとユーモラスな動物たちを演じる役者が出てくるからだ。

    ただし、それが、後々のシーンに効いてくるとということはなく、一過性のもの。
    後のシーンにそれらが効いてくるような、飛び抜けたモノになっていないのは残念。
    ただ単に役者に動物のマネをさせただけで、終わってしまっている。
    確かにその場では面白いのだが、全体的なトーンや、伏線になっているわけでもないところに疑問だけが残る。
    「何かあるんじゃないか」という期待だけが取り残されてしまった。

    また、父親が心象を吐露する台詞がかなりある。「ああ俺は何をしてしまったんだめろう」的なそういう台詞には違和感しか感じない。
    これも全体のトーンとの違和感もある。
    ひょっとしたら、そういう「今どきそんなこと言う?」というような、心象吐露台詞を吐くということ自体がギャグなのではないか、と思ったら、そうでもなかったようだ。
    動物のマネと今どきあまり聞かない台詞が、てっきりセットになって、メタな芝居空間を創造していくのではないかと、最後まで、少しだけ期待していたのだったが、そうではなかった。
    普通に冒頭のシーンのおさらいをして終わった。

    そして、何よりエンディングで亡くなった母親が、吐く台詞は、あまりにも実も蓋のなく、好きではなかった。
    『いい日旅立ち』の歌はいい感じだったし、また外が見える窓を順番に開けていく感じはちょっといいな、と思ったのだが。

    10分のオリジナルのほうも同時に観てみたかった。

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    2011/11/26 06:27

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