満足度★★★★★
かさぶたをはがすような痛くて心地の良い体験
F/T11「なにもない空間からの朗読会」第2夜プログラム、黒田育世『おたる鳥をよぶ準備』 。 第1夜のやなぎみわさんの作品は、本当に「朗読会」だったとネットで知っていたのですが、今回はBATIKダンサー総出演と訊いていたので、朗読の間にでもダンスが観れればいいなーくらいに思っていたのですが、結果的にワークインプログレスの形での新作発表の場となっていて、2時間フルでのダンス公演でした。
「わたし、ダンサーになりたいの」「躍らせて!躍らせて!」「あいしてる!」「もっと!」「なんで笑うの?」「準備ができたから」などといった台詞を叫びながら、身体を床に叩きつけるような激しいダンスは、まるで東大寺のお水取りの際に行われる五体投地のよう。ダンスというより、神に懺悔と祈りを捧げているようにすら思えました。
本当に何もないがらんどうの体育館の中から、あれほど熱量を放つ作品ができるとは!終演時、途切れる事のない拍手が、すべてを物語っているようでした。
素晴らしいものを見せてもらいました。週末の原美術館「白夜」に、期待しています!