紐育に原爆を落とす日  無事千秋楽終えました。沢山のご来場ありがとうございました。 公演情報 獏天「紐育に原爆を落とす日  無事千秋楽終えました。沢山のご来場ありがとうございました。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    Zバージョンを観た
    序盤、キャストらのダンスから始まるが、毎度の如く、これが獏天フィルム演劇企画部のエンタメ性溢れる出だしなのだが、箱のキャパ以上に声量が大きくて煩い。特に那須野恵の声がでかすぎ。苦笑! それでもここのキャスト陣の優秀な演技力には毎回、感服させられる。五十嵐康陽などは登場した瞬間には役作りが完成されており、今から始まる演劇の悲壮感までもが表情に見えるのは流石! また、浜谷康幸の独特の引き裂かれるような魂の叫びは観ていて圧巻だった。今回、浜谷康幸は天才物理学者彦坂だが、マッチョで雪駄を履いてる物理学者ってどうよ?!笑

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    物語は昭和20年、広島に原爆が落とされる以前と以後広島を描写する。
    新型爆弾=原子爆弾の開発中であった孤高の天才物理学者彦坂は理論は完成していた。しかし、その理論はアメリカ物理学会に横取りされた挙句、弾かれ、日本でも重用されなかったのだった。彦坂自身、原爆の恐ろしさを充分に熟知していたので、これを使用することに大きな懸念を抱いていたのだ。

    一方で乾家の小さな日々の積み重ねの毎日が原爆を落とされたことで一変し、何もかも失ってしまう。赤みを帯びた何もない大地、子供の墨のような遺体、爛れた皮膚、呻き叫ぶ声にならない声、これらの地獄絵図を見た二人の物理学者、彦坂と漆原は意見を対立させる。

    婚約者を投爆によって失った漆原は、原爆を開発してアメリカに復讐投爆することが、この国を救うことである。恨みの炎でアメリカ全土を焼き尽くしてやる。と主張し、一方で、彦坂は崩壊のスパイラルから抜けられらくなる。押しとどめろ、と説得する。この物理学者二人のやり取りは日本人の倫理として物語を浮かび上がらせるが、一方でアメリカの倫理も想像する。いつの世も、倫理の主張は置かれた立場によって多少、変わってくるものだ。

    終盤の「忘れましょう」の繰り返しは日本の未来の為に、とあったが、この独白は彦坂のものだ。忘れ難いほどの絶望的な経験をしてからの己へのバイブルだ。しかし、ワタクシたちは決して忘れてはいけない。中島みゆきの「アザミ嬢のララバイ」の選曲が舞台にマッチし臨場感が溢れていた。そしてフィニッシュは孤高の天才物理学者彦坂を中心に配置し、キャスト全員で歌うパロディだ。これは現在の日本人としてのギャップをあからさまに見せつけ、観ていて何故か不条理な思いに打ちのめされた。こういった仕掛けはイデヨシフサの上手いところだ。

    次はAバージョンを観る。配役がガラリと変わるようであるいみ、役者泣かせだ。笑

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    2011/09/19 12:03

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  • かいまる>
    コメントサンクス。
    毎回、舞台に対して真摯に立ち向かう貴方の姿は、素敵です。
    物書きを職業にしてらっしゃる方って、世間に何かしらを訴えることが出来ますので羨ましいですよ。
    まだまだ、舞台は続きますのでご自愛くださいね。

    2011/09/22 11:39

     観劇ありがとうございます。

    いつもながら、細かく見て下さりこちらとしてもやりがいがあります。

    不条理を感じ取ってくださる。
    もうそれだけでも何だか作家やっててよかったなぁ・・・。などと思ってしまいました。

    コメントありがとうございました。

    獏天 イデ

    2011/09/22 10:32

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