明けない夜 完全版 公演情報 JACROW「明けない夜 完全版」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    2008年からの快進撃
    縁あって以前から拝見させて頂いてるJACROWの舞台だが、ワタクシの中では2008年11月公演の「紅き野良犬」からの公演快進撃は凄まじいものがあると確信している。
    毎回、秀逸な公演でヒットを飛ばし安定感のあるキャストらの起用、そして本当に心から嬉しいのは蒻崎今日子が押しも押されもしない女優に育ったことだ。一観客として役者が育つのを見続けるというのは、至福感と同時に充実感にも似た感情があるのだ。親心みたいな・・。更に毎回のことながら脚本にもシビレル。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    再演なので、ワタクシも再見。しかし今回の「明けない夜 完全版」は警視庁捜査一課と亀有所刑事課の裏事情に重点を置いていたような気がする。つまりちょっと改訂してあったようだ。

    1963年、工場を営む裕福な家庭・和田家の一室に一本の脅迫電話がかかってくる。経営者の一人娘・里美が誘拐されたのだ。これをきっかけに、急遽、誘拐事件捜査陣が組まれる。刑事達の確執や体面、保身を上手く絡ませながら刑事の勘と綿密な捜査、事情聴取によって段々と核心に迫っていく。
    一方で3ヶ月前の家族と社員の風景、2ヶ月前の風景、事件当日の風景を回想シーンとして描写させながら幸せだった風景が蘇り、と同時に現在の緊迫したシーンと重なり、複雑な心境になる。

    事件は和田秀人(社長)が女性社員に手をつける癖が原因となって里美が殺されてしまうのだが、これを世間に隠したいが為に、和田は区議会選に立候補することを匂わせ、刑事課長に「私の個人的な事情は一切外に出さないように。課長さんの将来を潰したくないので。」と釘を刺す。これを聞いてびびりまくる課長。笑

    物語は愛人一号、二号の切羽詰った心情をえぐり出しながら犯行に及んだ動機も炙り出す。愛人二号役のハマカワフミエが、和田のような禿げオヤジとディープキスをしたり、抱き合ったりするシーンはハマカワが穢れるような気がして、なんとなく嫌だった。笑
    脇を固めるキャストらの演技力もしっかり。

    終盤、泣き崩れる妻・峰子(奥さん)に従業員の三好が宗教を薦める。頷く峰子。
    絶望のあまり藁をも掴む心理状態の隙間に宗教がそつなく入り込む構図だ。

    初演から2年。あどけなかった里美が成長して同じ舞台に登場する。時の流れをひしひしと感じた公演だった。初演とはまた違った角度で物を見ることが出来るのも、再演ならでは。
    今回の舞台セットで玄関引き戸の枠の框上部が役者の立ち居地によって顔が見えない。勿論、観客の座る位置によってだが、これがまた、蒻崎今日子の玄関での演技シーンが多いので、ちょっと残念だった。それから玄関屋根も役者の顔と被る。セットを作る場合、こういった環境も考慮して欲しかった。
    それ以外は大満足だった。

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    2011/08/26 12:03

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