満足度★★★★★
演劇へのあふれ出る愛
演劇の楽しさってこういうワクワク感なんだよなぁということを思い知らされた作品。
「すごーい、すごい!」と心の中で叫びました。
渡辺さんが20代でこれを考えて書いたのもすごいけど、演出してこういう形にするっていうのがやはり天才だなぁと。
(私は渡辺さんと同年配で、ほぼ同時期に同じくらい年の離れた相手と初婚で結婚したという共通点があり、勝手な親近感がある)。
女優としての渡辺さんのファンだが、女優としても才能あるのに、作・演出家としてもこんなに才能があるというのに敬服する。
そしてこの作品を観て思ったのは、渡辺さんは本当に演劇を愛して、まっすぐに純真無垢な気持ちで真摯に誠実に取り組んでいる人なんだなぁということ。
それが強く感じられた。
「人間性なんて劇作には関係ないよ」と昔、私に言った学生劇団の関係者がいるが「関係あるよ!」と言いたい(笑)。
第一次小劇場ブームのころ、渡辺さんからの電話を職場で一番多く受けたのは私だった。
劇団主宰にはいろんな人がいて、制作任せの人や、すっぽかしが平気な人もいたが、渡辺さんだけはどんなに忙しくても、寝てなくても、ご自身で連絡してこられ、「ゲネプロの時間伝わってますか?」とか「来週が初日だって私言いましたっけ?」とか「いま、写真探してるのでよろしくお願いします」とか細かい確認をおろそかにしない真面目な方でした。
稽古中、過労で声が出ないこともあり、「ごめんなさい。こんなガーガー声で失礼します」と電話の向こうで謝っておられた。
その誠実な人間性が今回も作品を通してひしひしと伝わってきました。
あの人だからこの作品ができたのだという・・・。
最近の女性作家のブログなどを読むとお洒落な生活感が伝わるが、それとは少し違う。
貧しい都会生活の中で血肉をふりしぼるように書いたという渡辺さんの青春が息づいている。
渡辺さんが尊敬し憧れ、「夢のような芝居」を目指してきたという唐十郎氏の作劇術の影響が強く感じられ、それを確認できたことも嬉しかった。
そういう意味では、唐十郎信奉者の若き作・演出家にこそ、ぜひこの作品を観てほしいと思いました。
2011/08/27 07:40
2011/08/27 07:35
2011/08/27 02:23
2011/08/26 14:24
2011/08/25 23:45
2011/08/25 23:30
2011/08/25 13:09
2011/08/25 12:54
コメントありがとうございました。
まったく同感です。
演劇も人間が創るものですから、おのずと人間性は作品にも表れるものだと思います。
生前は縁が薄かったという如月小春さんの作品を復活上演するなど、えりさんは演劇界全体のことを思って行動されてる点に頭が下がります。