べじたぶるーす 公演情報 劇団光希「べじたぶるーす」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    シンプル
    農村での若者たちの群像劇。物語は実にベタでシンプル。内容としては良くある話だが、劇団光希特有の終盤にかけての涙を誘ううねりが絶好調だった。勿論、落涙しながら観た舞台だった。


    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    農業に対する熱い思いを独自の持論をぶちかまし、全く遠慮なく議論しながらお互いを成長させていく物語でもあるが、底に蔓延る人間愛が基盤にあるために登場人物の全てに、お互いを信じるという信頼性を濃くしたような劇だった。

    農村という、どちらかというと外界から隔離されたような場所で自然を相手に生きるには、近隣を大切にし、水や機械の問題もあることから、一つの大きな家族のように助け合って生きなくては農業自体が出来にくい状況なのだ。だから農村の人々が最も恐れるのは「村八分」にならない事であり、それには全員が少しずつ妥協しながら、あるいは目を瞑りながら他人と同じような考えと連帯感をもって努力して生きる他ないのだが、こういった農村特有の息苦しさや欝の部分は削除し、温かな情景のみを描いた作品だった。

    だから登場人物に悪人はいない。全員が良い人で始まり、良い人で終わる。人間の争いごとに必ず登場する姑も、ここでは登場しないし、一家の長(年配者)も登場しない。水路の水の取り合いも無ければ、大型耕運機やら農薬散布の順番の問題も出さない。ましてや農村特有の閉鎖的な問題も取り上げていない。若者だけが主軸の若者だけで終わる芝居だ。

    「べじたぶるーす」を作る前に劇団員の中に一人でも農業出身者が居たなら、上澄みだけの芝居にはならなかったような気がする。たぶん、現在農業をやってる方がこの芝居を観たなら、感想を書く視点も違っていたはずだとも思う。

    それでも・・、善い人だらけで良いとこ取りのこの芝居を勿論、感動しながら落涙して観たのだ。不器用で真子の母的な面倒見の良さに寄りかかる省吾を「素直になれない奴でメンドクサイなー」と思い、賢吾の日焼けした肉体と心の素直さに惹かれ、「ああいった青年って農村に居るよなぁ。」とも思い、梶山のクールで飄々とした青年像に「いいじゃん!」なんつって観ていた。笑

    今回、宇部里香の鼻に付く生意気さと演技力が気になったが、その分、梶山とりょうすけの抜群の演技力に魅せられた。特にりょうすけのノリに乗った演技は秀逸にして怪物!

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    2011/08/08 19:08

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  • みかん>
    コメントサンクス。
    元々、劇団光希自体が人間愛とか、生きるうえでの幸せの追求とか、幸福を原点に活動しているように思います。
    ですから普通の劇団とは、ちょっと違った宗教がかったような描写も見受けられます。
    たぶん、それは主宰の想うところであり、それに共鳴した劇団員たちの思想なのだとも思っています。

    ですから、良い人たちしか登場しない。
    舞台として汚れのない理想郷のような展開は勿論、観ていて清清しく訴えるものがある。
    それと同時に、現実にはありえない状況に、一種、不思議な感覚もします。

    勿論、舞台という虚構の上に成り立っているものですので、それなりに感動出きれば、文句のつけようもないのですが・・。
    実際、感動を頂いたのは本当なのです。

    次回も楽しみにしています。そして期待していますね。
    いつもありがとう。

    2011/08/11 11:43

    みささん、いつも丁寧なコメント、どうもありがとうございます<m(__)m>

    おっしゃること、ひとつひとつにうなずきながら、拝読しました。
    なるほど…ここまでよい人ばかりでいいのかな…?という疑問はもっともながら、
    今回は、それより人間愛に焦点をしぼった作品であったと思われます。
    でも、それ以上に、演じている私たちに、もう少し役を掘り下げる力があったなら、
    もっと深みのある作品ができたのでは…と、反省しています。

    光希らしさを大切にしながらも、もう少し現実に即して作劇していくことが
    必要なのかもしれません。
    ただ、観る人たちが、「こんないい人ばかりの世界ってないよな~」と思いながらも、
    「こんなふうに助け合い、愛し合って生きられたら素敵だな…」、「うらやましいな…」と
    思わせてしまうのも、光希の芝居の特徴なのかもしれません。

    その兼ね合いが、難しいところですね!

    ご意見は、今後にぜひ生かしていきたいと思います。

    まだまだ至らぬところの多い私たちですが、これからもどうぞ、お見守りくださいますよう、
    心からお願い申し上げます。





    2011/08/11 00:37

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