「カリガリ紳士」+「ジュリアーノ警部2nd#2」 公演情報 劇団芝居屋かいとうらんま「「カリガリ紳士」+「ジュリアーノ警部2nd#2」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    終盤に起こるシリアスなどんでん返し
    ひじょうに素晴らしい舞台だった。鉄橋下を根城とする一件ホームレスの男が、謎のノートを頼りにある事件を追う心理サスペンスだったが、屈折度の高い歪んだシリアスもの。この劇団は岐阜県から毎年、東京にやってきて年に一回の割合で公演するという。来年も必ず観たいと心に決めた。元)新宿芸能社で現)昭和芸能社の中山と高橋を観られて嬉しかった。

    以下はネタばれBOXにて。。


    ネタバレBOX

    ある事件の張り込みの為に、電車の鉄橋下で暮らす刑事のレン。レンの手元にはいつ誰が何の為に置いたのか解らない一冊のノートがあった。そのノートにはこれから起こりうるレンの未来が書き綴られていた。ノートに引き寄せられるかのように、レンを中心に深く関ってくるホームレスらと同僚の刑事・山根。

    やがてノートに書いてある通りに事が進むように登場人物たちが現われる。物語が進むうちにレンは暴力団・市川会と政治家・横田を利用する悪徳刑事で山根の妻・ミナに横恋慕する男のように描かれ、「ミナが自分の手に入らないなら、いっそ殺してしまおう」と決心する。またそのように思い込んでいたレンだったが、終盤に、精神病院にレンを見舞いに訪れた山根は狂人と化したレンに、「市川会と横田の内通者だったのは俺だ。それを嗅ぎつけたミナが俺を止めようとして事故にあって死んだ。」と耳打ちする。

    しかし、自分がミナを殺したと勘違いして病み狂人となったレンは今も心の闇を抱えながら自分の妄想の世界で刑事として生きている。そこにはホームレスの仲間達と狂っているゴローが居る世界だ。だけれど現実の世界ではホームレスらとその他の登場人物の全てが狂人だ。ゴローは精神科医なのだった。

    現実の世界では狂人でも妄想の世界では真逆なのだ。勘違いしながら生きるのも人生なら、どちらの世界が本当なのかも解らない。序盤に撒かれた伏線を終盤で見事に捩らせながらの回収だ。

    ゴローの狂人ぶりも屈折した演技力も素晴らしかった。そうして脚本を書いた後藤卓也の物語りも素敵だ。終盤で狂人となったレン役もお見事だった。
    前向きに生きようと思いながらも精神的に病んでしまう弱者の病巣の表現力も素晴らしかった。来年も観たい。

    0

    2011/08/06 11:54

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大