ペール・ギュント 公演情報 SUNBEAM MUSICAL KITCHEN「ペール・ギュント」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ババリました(^^;)
    家に帰れないかと思って終盤にはソワソワしちゃったよ(^^:)
    リーディングだから公演時間90分くらいかな・・と考えたのが甘かった。なんと休憩時間15分込みで3時間の長丁場。だから19時開演でも22時になっちゃう。こういった3時間公演の場合、先に教えてくれないとダメだよね。週末に観に行くべきだった。

    舞台は普通のリーディングではない。音楽と半分芝居がかった、リーディング劇。全ての役者の演技力は秀逸でまったく欠点はない。役者の感情移入が激しくちゃんと泣く場面で涙していた。ビルの6Fでの観劇は新宿の夜景も芝居に計算されており、やはり夜の観劇がお勧め。事前に公演時間を知らされてなかった為、-1とした。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    ペールは20歳。母親のオーゼと一緒に暮らしていたがペールは、王様になる、皇帝になると大きな事ばかり言うほら吹きで、仕事もせず喧嘩ばかりしていた。ある日ペールはイングリッドという娘の結婚式に、呼ばれてもいないのに出かけていきます。そこで、美しく、清楚で、手には讃美歌を持った可憐な少女、ソルヴェイグに惹かれ恋をします。

    その時ペールは花婿から花嫁のイングリッドがこの結婚を嫌がって、蔵に閉じ篭ってしまったと告げられます。何とかしてくれよ、と花婿に泣き付かれたペールは何と!花嫁イングリッドをかかえ、険しい崖を登っていくではありませんか!
    「花嫁奪略だ!」「ペールを殺せ!」村中は大騒ぎになってしまいます。

    一夜明け、すっかりイングリッドに飽きたペールはイングリを捨ててしまいますが村中が、村一番の富豪の娘を略奪したペールを探し、山々からは「ペールを殺せ」という声が聞こえ、ペールはそのまま山の奥深くに逃げ込む羽目になってしまいました。

    逃げ惑う中、ペールは一人の緑色の服を着た少女に出会います。彼女こそがドブレの国の王女、魔王の国の娘だったのです。ペールは彼女に結婚を申し込み、ドブレ王国を我が物にしようとし、魔王に会うため、魔の国・ドブレ王国に行く事になったのでした。

    そしてペールは魔王の宮殿で、魔王とその手下の不気味なトロル達の前での結婚条件に驚き、魔王の国から逃げ出そうとしますが、興奮したトロル達に追い詰められ、あと一歩で殺される!という所で教会の鐘が鳴り、トロルの国もろとも消え失せ、ペールは一命を取り留めたのでした。

    未だ追われる身のペールは山の中に雨風をしのぐ小さな小屋を作ります。するとある日その汚い山小屋にソルヴェイグが現れたのです。彼女は家も家族も捨て、愛するペールの元に来たのでした。ペールは喜びでいっぱいになり、穢れなきソールヴェイを王女の様に大切に、小屋に招き入れます。

    しかしそこに、魔王の娘が赤ん坊と一緒に現れます。魔王の娘は、その子はペールの子、もしソルヴェイグと結婚するならトロルの魔法を使ってでも邪魔してやる!と脅します。ペールはソルヴェイグを守る為、そして穢れ無きソルヴェイグにふさわしい自分自身を見つける事が出来るまで、旅に出かけます。これがペールの自分探しの旅です。
    ソルヴェイグには「取ってくるものがあるから、ここで待っていてくれ」と言い残して世界中を駆け巡る冒険に出かけるのでした。

    ペールは母オーゼの家に向かいました。ずっと姿をくらましていたペールの無事を見て、母は安心しますが、彼女自身、臨終の時を迎えようとしていたのです。死を恐れる母に、ペールは最後の優しい空想話で、彼女を穏やかに神の元に導きます。ペールの腕の中でオーセは静かに眠る様に息を引き取ったのでした。ここから本格的なペールの自分探しの旅の始まりです。

    時は流れ50歳になったペールはモロッコの西海岸にいました。彼は怪しげな商売で大金を儲けるも全財産を船に積んで地中海航海の真っ最中に航海を共にした4人の客人にペールの全財産を持ち逃げされてしまうのです。

    無一文になったペールは砂漠をさまよいます。ある時、ほら穴の前で盗賊の宝石や武器、豪華な衣装を見付け、運が向いてきたとばかりその盗品を丸ごと頂き、今度は予言者になりすまします。

    ベドウィン族の酋長の所で、大予言者としてもてなされるペールでしたが、その祝いの席で酋長の娘アニトラに出会い、すっかり彼女の魅力に夢中になったペールは、アニトラにせがまれるまま、宝石や貴金属を次々彼女に渡します。ついにアニトラはペールの財産が積まれた馬ごと盗む事に成功し、又もやペールは一文無しになるのです。

    ペールはその後エジプトにも行き、メムノン像やスフィンクスも訪れます。スフィンクスで出会った男に連れられ、彼はカイロの精神病院で皇帝として迎え入れられたりもします。

    こうして各国を廻り奔放に旅を続けたペールも、すっかり白髪交じりの老人になりました。今や金を掘り当て、充分な財産を得たペールは、故郷ノルウェーに帰るべく船に乗っていました。しかし、ペールの乗った船は激しい嵐に掴まり、沈んでしまいます。どうにかボートに掴まったペール。一緒にしがみついてきたコックを蹴落とし、自分だけ故郷に辿り着いたのでした。

    故郷で、ペールは皮肉交じりに自分の人生を振り返りながら、行く当てもなく森を彷徨う内、見覚えある山小屋を発見します。小屋からは何と!!ソールヴェイがペールを待ち続け歌う声が聞こえるではありませんか!ペールはたちまち自分の人生を後悔し、そこから逃げ出します。

    ペールの前に、死神の使者であるボタン職人と名乗る男がペールの前に現れます。
    ペールの人生は出来損ないで、天国にも地獄にも行けない為、柄杓に入れて溶かしてくる様に言い遣ってきたと言います。
    自分の人生とは一体何だったのか?答えを見つけるまで待ってくれ、とペールは嘆願し、すがる様に、道行く人に問いますが、誰もが、ペールの人生の無意味を気付かせただけでした。

    疲れ果てたペールが辿り着いた所は、あの山小屋でした。ソルヴェイグは、ずっと待っていてくれたのです。彼女はペールがいつも自分の信仰の中、希望の中、愛の中に存在していた、と言い、ペールを優しく包みます。助けを求め、彼女の膝に顔を隠したペールは、ソルヴェイグのその言葉に救われたのです。

    ソルヴェイグは静かに子守唄を歌い始め、ペールは彼女の膝の中で静かに息をひきとったのでした。

    ・・・っとまあ、こんなに場面転換の多い戯曲なので芝居での表現が難しくリーディング向きな物語なのだ。キャストらはきっちり豊かな表情で演じていたので直にその世界に入り込むことが出来た。場面転換が目まぐるしい分、スピーディーな会話でコミカルに表現していくので、3時間まったく飽きずに堪能出来た。そして奇想天外なファンタジー性抜群の物語に重なるように美しい女性陣のキャストらが目の前で、時には色気ムンムン娼婦のように、時には清楚な美しさを引き出しながら熱演していたので視覚的にも楽しめる。

    またペール・ギュント役の石母田史朗が出ずっぱりな舞台だったがひじょうに素晴らしい演技力だった。またこの舞台を補佐的に盛り上げた生音楽と生歌も功を奏していた。灯を巧みに操った演出も絶妙で全体的に美しい舞台だったと思う。ここで衣装にも手を抜かなければ完璧だったと思う。

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    2011/07/13 13:49

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