おどくみ 公演情報 新国立劇場「おどくみ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    すっごいリアル
    青木氏の作品は、本当に観ている人を苛立たせたり、憤慨させる
    人物を出してくるのが上手いよなぁ。 褒めるとこなのか、微妙だけど。

    好きなのは母娘。 息子は言いたいことは分かるけど、
    同性なのでどうしても客観的に観られず、厳しく点付してしまう。。

    ネタバレBOX

    次郎や祖母、息子のような人物って程度の差こそあれ、本当に
    自営業系の家には多いよ。 あ、あと母親みたいな人ね。
    「子ども」のままの人と、それを支える「大人っぽい」人。
    相反するようで支え合ってる関係性が、一種、DVの構造に似てる。

    ほかならぬ自分が自営業系の家に関わりがあるから分かるけど、
    サラリーマン家庭と違って、一家皆で家業を支えているから、
    「甘え」や「もたれかかり」の構造が生まれ易いんだろうね、多分。
    「たった一人の弟」って言葉、多分サラリーマン家庭だとあそこまで
    リアリティとか生々しさを持たないと思う。 そこまでみんな余裕ないし。

    結局、「家」という所属する場所があるから、みんな選択出来ずに
    共依存の関係に陥っているわけで。 その「家」の既範たるものは
    既に寝たきりで意志を表すことすらおぼつかないような祖父の、
    「長男は家を守らなければいけない」とかいう、既に今では
    一昔前の古臭い観念。 

    半ば死人となった存在が、まだバリバリ生きている家族を
    差し置いて家を「規定」しているのが、凄い皮肉だけど、
    こういうことって昔は多かったのかなぁ? 

    現に、祖父が死んだあとは、みんなそれぞれの生き方を
    曲がりなりにも「選択」しているわけで。

    家という「胎内」からの脱出、自立の話だったのかな、と
    私は感じました。

    正直、天皇関係のネタはあんまり興味持てなかったけど、
    人をうんざりさせたり、怒らせたり、ムカムカさせたりする
    青木氏の筆致は健在で、感情も相当揺れ動いたため、
    満足です。 良い作品でした。

    最後、「私を看取らせる」って言葉、すっごく意味深で重かった。。

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    2011/07/09 09:34

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