○○トアル風景 公演情報 はえぎわ「○○トアル風景」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    道程
    道程

    表面的には緩くてバカバカしい。しかし全体的な構図は人間の一生の道程を扱った遥かなる空間の強い作品。はえぎわの舞台はシュールな表現の中にもちょっとした残酷さも含ませながら、こちらの感性にドカン!と殴りこむような風景だ。だから、「ああ、あるある、解るわかる!」なんつって納得しながら観てしまうのだ。物語のテンポは凄くいい。小さな舞台で見せる世界感は意外に大きくて、相変わらず笑いこけた。終盤ではホロリ・・とさせながらも、その期待を裏切るように下ネタに突っ走る!照明、音響、構成など絶妙!
    ってリズムも乗ってきたところでネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    男と女のスポーツでの戦いから舞台は始るが、個々の人生も自分との戦いといっても過言ではない。そうしてmusicの場面からなんとなく学生時代の彼らを連想してしまう。そういった風景は壁に書かれた文字や絵で想像したのだが、次々と書かれていく文字には男と女、就職、結婚、家族、子供、果ては世界の情勢までも映し出されていく。だからこれから始る舞台も一つの男女の営みから始り、家族となって、死ぬまでを扱うのかな?なんて先読みをしてしまう。

    そんな大真面目な文字の羅列の中、早速笑いを仕掛けるノゾエ。男女の恋愛から結婚、家族となって、いつしか夫婦に会話がなくなり夫婦の危機も訪れる。世の中の厳しい現実の描写だ。そうして契約社員である長男の解雇騒動。こちらも上司が放つ残酷な言葉は非現実のようで現実味を帯びている。この部分でも妙にハマッテ失笑してしまう。

    そんな欝を抱えて父の元にやってきた長男は全世界を敵に回したような感覚になり父親をこれでもか、と傷つけてしまうのだった。そんな折、父親が急死してしまうと長男は父へ放った言葉に後悔し、また父を想う感情と自分の生き方への不満と不安が入り乱れ抑えていた感情は決壊し号泣してしまう。そして、その絶望を受け止める母のセリフが宇宙的に壮大で説得力があり力強いが、その次に待ってる下ネタで、一気に荘厳新たかな気持ちが崩壊してしまうのだ。笑

    67年連れ添った夫婦も、そして父と息子も、言葉をケチらずもっと話しておけば良かった、とコミュニケーションの取り方を考えさせられる一方で、自らの穴に逃げ込む人たちの闇も表現しながらと、盛りだくさんの舞台だった。

    それでも彼らの未来は無限に開いていて同時に無限に閉じているのだが、くすんだ若者も、離婚した夫婦も、父の残像も、めくるめく大人世界の出来事ならば、それは美しく調和のある人生なのかもしれない。

    素晴らしい駄作を超えた舞台!次回も観たい。笑いのコネタが満載でかなり可笑しい。しかしその世界感はきっと大真面目なのだとも思う。

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    2011/07/08 18:02

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