満足度★★★
恐怖のコピペ演劇!
としか言いようがない。完全に筒井康隆の世界ですね。切羽詰ったような、奇妙に余裕のあるような、真面目でいてふざけたような、軽くて重いぎりぎりの文章が繰り返されるのが筒井文学ですが、それを忠実に再現している2時間半の演劇です。観ていてしんどいですが、筒井ファンにはたまらないかも。筒井文学自体がかなり実験的なものですが、この劇もかなり野心的。観客を楽しませることなど全く考えておらず、ひたすら筒井ワールドをコピーしているのには、いっそ潔さを感じました。人の記憶のやっかいさ、変える事の出来ない現実。どんなに自分にうそをついても、記憶を捻じ曲げようとしても、記憶と心に刻まれたトラウマは形を変え姿を変えて何度も何度も浮上する。ひたすらこの繰り返される記憶との戦いを演じた舞台でした。美術はかなりシンボリックで、おもしろかったかな。