満足度★★★★
モノの怪たちの祝祭
タイトル『prayer/s』の「/(スラッシュ)」が気になっている。
登場人物たちが、お互いに関わりたいと願いながら関わることができない、一人一人が「遮断」されている象徴として、この「/」が置かれているように感じるからだ。
彼らの言葉が「pray=祈り」であるのならば、その祈りは誰にも届かないようにも思える。もちろん「神」にも。
半裸の男女たちは、めいめい、何かに向かって、誰かに向かって語りかけてはいるが、その意味内容も抽象的で、果たしてそれが本当に「祈り」なのかどうかも分からない。
しかし、そこにはこの時空間に、現実に、肉体に縛られ追い詰められて、自由になれない人間の精神の、根源的な「痛み」があり「叫び」がある。
その叫びを口にできただけでも、彼ら、彼女らは幸福なのだろう。特にストーリーのない点景のみの舞台で、陰鬱な暗闇の中で演じられていながら、そこには人々が織りなす「物語」があり、苦しみの後にささやかな開放感が漂っている。