DUST CHUTE UTOPIA 公演情報 PLAT-formance「DUST CHUTE UTOPIA」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    コミ箱の中味を並べてみると
    初日を観劇。

    作り手が自分たちの感性や色を貫いて
    したたかに描き切った印象がありました。

    観る側の尺度からのいろんなはみ出し具合に
    ぞくっとくるような実存感や説得力があって
    舞台からやってくる圧迫感があまりないにも関わらず
    気が付けばがっつりと惹かれておりました。

    ネタバレBOX

    ソリッドな舞台の中央に
    いかにもという大きな金属製っぽいゴミ箱。
    開演前からそれを調査するような外枠があって
    舞台が始まるとゴミ箱の中身が
    姿を現わしていく態。

    大きくいくつかのシーンの括りがあって
    それぞれがとてもルーズにつながっている。
    で、一つずつの描き方に
    作り手の独特のタッチがあるのです。

    うまく表現できないのですが
    具体的な肌触りをもった部分と
    具体性をもたず、でも毛穴から染み入るように観る側を染めていく
    空気のようなものがしなやかに混在していて・・・。
    たとえば冒頭の工場でつくられていた
    「トゲム」、と呼ばれるものの概念が
    わかったようで、
    でもそこには社会的ブームといった単純に物の概念を超える姿や
    さらには観る側の想像力を踏み越えた領域が
    用意されていて。
    あるいは
    ビデオとテレビをつなごうとすると亀甲縛りになるというくだりも
    馬鹿馬鹿しいとおもいつつ
    実際に演じられる姿に
    さらなる印象が生まれていく。
    突き抜けた可笑しさがあって
    腰を据えて笑いが醸し出されていくのですが、
    そこには良質な笑いがもつ抜けの良さに加えて
    舞台の空気を染めていくような力があって。

    キャンディーズを彷彿とさせるキャラクターの名付けも
    そこから何かが機能するかというと
    そういうわけでもないのですが、
    でもその名前がなにげに舞台の空気を縛る。
    韓国からの留学生の引っ越しそばの顛末などは
    べたな可笑しさががっつりあって
    でもそれだけが浮き立つことがない
    場の空気の密度がしっかりと作られていて・・・。

    いろんな尺でちりばめられた笑いに
    絶妙なセンスというか洗練があって
    でも、単発的に笑うという楽しみだけではなく、
    観ているうちに作り手のトーンに従属し、
    舞台に漂う空気の濃淡が
    そのままナチュラルに感じられるようになっていく。
    ゴミ箱を上からあさっていくような
    シーン間の時間の逆転が
    個々のシーンがもつ、
    どこか欠けたり、
    濃淡がデフォルメされたようなテイストとともに
    したたかに舞台全体の広がりを醸し出して。

    観終わって、ちょっと鳥肌が立つような感じすらありました。
    この感覚、常習性があるような気がしてちょっとやばい。
    個人的に、とても惹かれる作り手や演じ手の感性が舞台から伝わってきて、
    単純に笑えるとかおもしろいという言葉では表しえない
    舞台上の世界全体での、
    表現の秀逸さを感じたことでした。









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    2011/05/22 08:02

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