「一つの戯曲からの創作をとおして語ろう!」vol.3 上演審査 公演情報 福岡市文化芸術振興財団「「一つの戯曲からの創作をとおして語ろう!」vol.3 上演審査」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    差があり過ぎる。
    なかなか面白い企画ではあった。

    残念だったのは参加団体(コンペに通って上演できた団体)が2団体と少なかったこと、力量差があり過ぎたこと。

    私が観た日は、village80%が先、柿喰う客が後の上演だった。


    ですので、上演順に簡単な感想を。
    演出のコンペなので、基本的には役者の演技力不足はあまり勘定に入れません。


    village80%は、全体に白のイメージ。白いシーツにコロスたちも白。
    コロスたちにゴキブリの羽音やセリフの反復などの「効果」の役割を持たせている。
    最初こそは目を引いたが、後半になるにつれ彼らの意味はどんどん消失し、芝居の面白味もどんどんなくなっていく。
    また、コロスたちの衣装は真っ白だったが、インナーのパンツは白ではなかった。
    これは演出意図だろうか、それともそこまで演出が行き届いてないだけか。
    後者のような気がする。
    台本自体に関してはただ素直になぞっているだけなので、演出との乖離が目立つ。
    特に、「ブラジルは~」からのセリフや「チェーホフです」のところは演出が浅すぎて読み込みが不十分なのが丸わかり。
    演出家の幼稚な自己満足を見せられた気になり評価できる舞台とは言えなかった。



    柿喰う客は最初から音楽とダンスで始まり、正攻法で見せない事がすぐに分かった。
    しかし、奇をてらっただけのものではなく、客を引き込むことをちゃんと考えている。
    台本も解体が行われ、「ブラジルは~」や「ゴキブリ~」などのセリフを違う役者によって反復させたりする。
    それはただ単に観客に目新しさによる面白さを感じさせるだけでなく、作品理解を促している。
    同じセリフであっても、別の役者が別の解釈でセリフをしゃべることにより、別の意味が生じている。
    また、それまで女たちによって演じられていた舞台に現れた男優、彼によりまた意味は大きく変貌した。
    いかにも韓国人というたどたどしい喋りと回りの俳優たちの反応で、長いセリフを飽きさせない。
    「チェーホフです」のセリフも、前段階でほかの俳優に喋らせておいて別の解釈を与えておき、最後に彼に言わせることにより、また別の解釈が生まれる。
    何度も同じシーンを、違う意味を与えながら重ねることで、観客への作品理解と深みを与えたことで成功した舞台だったと思う。




    今回の星は2つの作品の間を取りました。

    0

    2011/04/25 17:02

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大