満足度★★★
あまりにも平凡、あまりにも普通
浅利慶太は、「作品の中でキャスティングの重要性は60%」と、
語っていますが、この作品に関しては、100%。
スティーブン・キングの持つ原作の雰囲気にしても、
キャシーベイツ主演の映画にしても、
いづれも同じ、劇画チックというかベタベタなタッチで
展開する、いわばキャストの個性があれば
セットも照明も音楽も、何もいらない作品。
娯楽の殿堂、庶民の味方、コマスタジアム制作の作品なので、
どこにもヒネりもなければ、思想やテーマといった
小難しいことは、一切ありません。
作家や演出家の想いの欠片もありません。
そう、観客に考えさせてはいけないのがコマ流。
観客がポスターやチラシから想像出来る範囲の事を、
シンプルに、そつなく展開すのが流儀。
その点では、どこにも間違いがなく、どこにも抜けはありません。
でもねぇ、これは自分自身の問題なんだけど、
少しくらい新鮮味というか「あ、こんな見せ方もあるんだ」と
感じる部分は欲しいんだよね。作品の個性というかねぇ。
あまりにも平凡、あまりにも普通、どこにも冒険心がなくって
微妙なイライラ感が出てきたりして。
地方公演も多いし、これが正当法、間違いがないのは
わかっているんだけど、なんだろう、この後味の悪さ。
もう一つ。
これも個人的な意見だけど、
渡辺えり子改め渡辺えり、とか、竹中直人とか室井滋とか白石加代子とか、
いわゆるキワモノ役者を中心に据えた作品って、
なんだか品がなく見えるんだよね。
いわゆる個性派俳優の方は、あくまでも脇役で、作品にスパイスを
与えてもらうのが筋道かと。
これを、あっと驚くようなキャストで見せてみらえれば、
楽しいだろう、と思います。
心の移り変わりとか微妙な表情なんか必要なく
思いっきり大げさなギョウギョウしい芝居をしていれば
いいだけの作品なんだから。