みながわの観てきた!クチコミ一覧

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きっとずっと僕のすべて

きっとずっと僕のすべて

お菓子な家

pit北/区域(東京都)

2012/01/13 (金) ~ 2012/01/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

何度も観たくなる正体
私は学生劇団の「粗(アラ)」が大好きだ。
粗こそが学生演劇の持ち味であると言っても過言ではないが、この作品はその粗を巧妙に利用した、大変私好みの舞台であった。

稚拙な部分はあれど、時に鋭くイメージを切り取る台詞回しが心地良かった。
イメージの変化と解放、集約をここまで広げられる作家は珍しい。

駆け出しの学生劇団の中では間違いなく高水準にあると言っていいだろう。

よ~いドン!!死神くん

よ~いドン!!死神くん

ポップンマッシュルームチキン野郎

吉祥寺シアター(東京都)

2011/04/29 (金) ~ 2011/05/02 (月)公演終了

満足度★★★

肌が合わず
話題になっていたので仕事帰りに観劇。笑いのツボといってもいいものか、私にはどうもそれが合わなかったようである。元ネタが分からなかったわけでは決してないのだが、どうも「さめざめ」しながら見てしまった箇所が幾度かあった。しかしエンターテイメントとしてはしっかり構成されているので、初めて舞台を見る人などには文句なしにお勧めしたい作品であった。今作も再演ということなので、再々演もあるかもしれない。

ネタバレBOX

 ストーリーに関しては一つだけ。
 あれだけのことを過去にした先生が、どうして今のように更生するに至ったかについて、もう少し深く、一般論は避けて描くことができていたら表面以上により良い作品になっていたかもしれない。個人的にはそれがあの世界において最も見たかったことである。
平田オリザ・演劇展vol.1

平田オリザ・演劇展vol.1

青年団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/04/28 (木) ~ 2011/05/17 (火)公演終了

満足度★★★★

現代口語劇といえば。
「走りながら眠れ」を見てきた。平田オリザ氏の舞台を観るのは二度目だったのだが、今作でも氏の劇世界にどっぷりと浸かることができた。現代口語劇の巨匠とはいえ今作は明治時代が舞台であり、アナキストである大杉栄とその妻・伊藤野枝の「生活」を綴ったものである。

ネタバレBOX

 作品を評価する際にバックグラウンドの話を考慮するのはどうも苦手なのでその辺りは割愛するが、純粋にこの作品を観終わった際に感じたことは、「革命、愛、生理、その他行動――生きることにおける積極性」についてである。
 
 異国から帰国した栄の土産話の中からも、オサムシの習性の話からも、「本人の行動」と、「それを見る人」の両者の気配が実にユーモラスに漂ってくる。そしてその全体は切なさ、侘しさ、死の予感に包まれ、二人の存在の危うさが改めて意識される。
 
 そういったイメージが我々の普段の生活の中で感じる機微と上手く重なり合う際に、人々の心はぴくんと跳ねるのであり、それを体験するために私は劇場に足を運んでいると言っても過言ではない。

 本作で語られることは、いくらか「足らず」な印象を受けるかもしれない。しかし、その静けさこそが我々にイメージを抱かせ、思考させ、震えさせることがある。そしてオリザ氏はそういった理解の天才であると言わざるを得ない。

 日常的では無いはずのこの夫婦の間に、確かな「生活」を浮かび上がらせた良作であった。

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