しあわせな世界
カラスカ
TACCS1179(東京都)
2010/10/21 (木) ~ 2010/10/24 (日)公演終了
実はそこに居ました、
みんな聴いてました、ちょうどそこで会ったので連れてきました、などなどご都合主義大行進。だけどこの芝居は、そのへん考えず、キャラを楽しむ型の作品と割り切って観なくては、ナナさん(「7さん」と言うべきか?)の立場などない。それでいて、最後にはなんとか感動モノっぽく持っていけてるのは、子供の心情などの人間の「共通項」がちゃんと描けているのと、「妹」が好感度高く描けたせいなんだろうなあ。
三十女
ペテカン
赤坂RED/THEATER(東京都)
2010/10/13 (水) ~ 2010/10/21 (木)公演終了
台本がないせいなのかはわからないけど
(というか、すべてがアドリブとかではない場合の「台本がない」とはどういうことか? 多人数が参加した“脳内台本”作りをしたのとは違うのか? 印刷物がないと台本はないといえるのか? そもそも台本って……? うーん、私が制作現場をまるで知らない素人なせいか、奥が深い……)とにかく、セリフそのもので説明するのではなく、セリフとセリフの間や呼吸で、言いたい事を表現する場面が多くて、気持ちがよかったです。
性的敗北
シンクロ少女
王子小劇場(東京都)
2010/10/15 (金) ~ 2010/10/17 (日)公演終了
複数の話が並行するような形で進むが、
どの話も今まで何度かどこかで見聞きしたようなストーリーだ。この歳になると(なにぶん中高年なモノで……)仕方がないのだが。上演時間が1時間半くらいで、いくつかの物語となれば、各話はより短くエッセンスになるので、なおのことその印象が強くなってしまう。しかし、そこに「性的敗北」というくくりを与えられただけで、いつものサラダに新しいドレッシングをかけたように少し新鮮だった。どうも、その“正面からグサリ“みたいな荒業がが気に入ってしまったらしい。それはともかく、対面式の客席の設定というのはどうだろう。役者の後ろに観客が見えていると、それが舞台装置のようになって、どうしても舞台上の出来事と「社会」の関係のようなものに思いが至ってしまう(時には、あっ、あの人水飲んでるなんて、それはそれで楽しいのだが)。この内容なら、私は、舞台上の人物の中に心を沈めて観ていたかった。セリフのアンサンブルみたいな難しさもあったけど、役者がどこかギクシャクしていたり、ラブシーンに熱がない感じがしたのも、その影響があるかも?(この辺は上演重ねるごとに良くなるだろうけど)
ブリテリ・マイルーラ GOLD
はちみつシアター
劇場MOMO(東京都)
2010/10/13 (水) ~ 2010/10/17 (日)公演終了
女、女……女!?
出演するのは素敵な女性から……素敵な女性まで(ゴホッ、ゴホッ、すみません風邪気味で)。男以上に男前の男役から、女以上に……(ゴホッ、ゴホッ、すみません)……まあ、そういうことで、正直、ストーリーもセリフも演技も緩い印象でした。でも、この劇団の場合、芝居はショータイムへ突入するための“前座”かも。ショータイムは気合の入り方や一体感が違うもの。それに、男性客にとってはビジュアル的サービス度が高いので、ストーリーなんてもうどうでもいいや気分で楽しんじゃいました(おいおい!)。それでも、芝居がもう少しキリッとすると、ショーもより良く見えると思うなあ。
異邦人
カンパニーデラシネラ
シアタートラム(東京都)
2010/10/07 (木) ~ 2010/10/13 (水)公演終了
発想が良くて、
工夫があって、出しゃばらず、出し惜しみなく、シャレていて、バランスよく無駄のない舞台。それでいて出演者それぞれの個性が際立っている。もう、カミュの「異邦人」なんてどうでもいい(おいおい!)くらい、美しく素晴らしい舞台でした。あの出演陣で片桐はいりさんが、どう溶けこむのかと思っていましたが、存在感が光り、その光で他の出演者たちの影が一層くっきりするような感じ。物語が呼吸するための酸素を与えるような、まさに欠かせない存在になっていました(少しセリフの聞きづらいところはあったけど)。ステージの上も、観客席も、同様に幸福な空間だったのではないでしょうか……。
火蝶於七
快楽のまばたき
タイニイアリス(東京都)
2010/10/08 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
若いのぉ(老人・談)
全体的に“若い”感じ。物語の内容には“爛熟”が合っているけど、実際の芝居はまだ熟しきれずに随所に固い部分を残している果実のような印象でした。台本や役者もそうですが、例えば舞台に使われていた簾(?)なんかも、もう一押しして味のあるものになっていれば、芝居そのものがずっといい感じになるのに、というもったいなさを感じました。ただ……(以下は、ネタバレになっちゃうかな)。
『仮面舞盗会 序ノ舞』『仮面舞盗会 終ノ舞』
LED
恵比寿・エコー劇場(東京都)
2010/10/07 (木) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
「序の舞」の方ですが…
開演前の音楽、お客様へのお願いからして江戸川乱歩してました(笑)。怪人二十面相、黒蜥蜴、青銅の魔人、人間椅子(?)、平井太郎(!?)らが次々に登場。沢山の乱歩的欠片の詰まったおもちゃ箱のようなイメージ。田中精演じる明智小五郎が、力まず、薄っぺらでもなく、適当に気取っていて魅力的。一瞬、天地茂が出て来ちゃいそうなムードもあったけど、乱歩らしい妖しい暗闇をチラチラさせながらも、気づいてみれば中学生でも楽しめる健全な内容(とっても素敵な黒蜥蜴のお姉さんだって、どこか健康セクシー!)のエンターテイメント作品。あの空間とあの上演時間で、あれだけ“乱歩”してくれたら、“大好きな駄菓子をありがとう”的満足感でした。ただ、ずっと仮面が飾ってあるセットなのは疑問。それ自体は確かに乱歩的ではあるけれど、仮面のインパクトがありすぎて、終始同じ場所にいるような印象でしたね。
アソビバコ!☆Asovivako!vol.2
WANDELUNG
MUSICASA(東京都)
2010/10/06 (水) ~ 2010/10/06 (水)公演終了
遊び場っ子の広場!?
これって即興劇対決の興行!? 児童館のリクリエーション!? 演劇同好会の余興!? 俳優のトレーニング!? それをいかに本気でやるかが勝負どころか。ルールは練られているが、まだ穴も多いかな。それでも、本気で挑んでいる、楽しんでいる感じが場内を一つにしてゆく。即興の緊張感もいいなあ。観客には出場者の知り合いなどが多そうだったけど、知り合いがいればもっと楽しめるだろうなあ。これが芝居だといわれても困るような位置取りだけど、どこに行くのかな。進化しないと飽きるけど、洗練されても面白く無くなっちゃいそうだ。こっちはそんなこと考えず、楽しい遊び場の「遊び場っ子」になっていればいいのかな?
柔らかいモザイクの街
サラダボール
アトリエ春風舎(東京都)
2010/09/23 (木) ~ 2010/10/06 (水)公演終了
ありきたりな寄木細工
主人公の、言ってしまえばありきたりな人生の断片だと思う。その断片をいくら寄木細工のように(あえてモザイク避けてみました!)つなぎ合わせても、やっぱりありきたりな人生にしか成らない。そんな、ありきたりな人生を描いているのに、もっと観ていたかった。場面転換・気分転換・リラックスタイムのシーンよりも、ありきたりでいいから、もっと彼女の人生のかけらを見ていたかった。
オーマイ ゴッド ウイルス
劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2010/10/01 (金) ~ 2010/10/17 (日)公演終了
豪華でせこく、ゆるくて楽しい
三宅裕司さん本人が言うように、「重いテーマをいかに軽く描くか」、「豪華なセットにせこいギャグ」の精神です。緩さと無駄さとバランスの悪さもいつものままです。だからこそ、重い気分にならず、三宅・小倉の軽妙な掛け合いも楽しめる。去年で30周年だもんなあ。それでも、相変わらずのSETです。
トキワ荘の夏
劇団俳小
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2010/09/29 (水) ~ 2010/10/04 (月)公演終了
ねじれ荘な夏?
学校で観に行った演劇を思い出したのは何故だろう? 演技が硬いせい? まあ、それはともかく、観ている間ずっと不思議な違和感がつきまとっていました。物語はすべてフィクションといい、登場人物は手塚治虫、石森章太郎、赤塚不二夫ではなく木塚修身であり、秋森良太郎であり、赤坂不二朗らです。実在の人物・団体とは何の関係もないと断っています。しかし、肝心なトキワ荘がトキワ荘のままなんですね。トキワ荘に居るのはやっぱり手塚治虫であり石森章太郎であり赤塚不二夫なんですよ。他の漫画家がいたら、そこはトキワ荘ではないんですね。トキワ荘なのに手塚ではなく木塚という漫画家が居るというダッチロール状態というかねじれというか、立ち位置の中途半端さが、ある意味、私とってこの芝居の全てでした。せめて「トキオ荘」や「タオレ荘」だったら、何があってもいいし、また違った感じがしたのだろうなあ……(宣伝効果を考えると変えられなかったとか?)。
箱入り彼女博覧会
NICE STALKER
ギャラリーLE DECO(東京都)
2010/09/29 (水) ~ 2010/10/03 (日)公演終了
バカになってしまいました
それも、思いっきり。5人のメールアドレスを買わせていただきました。そこまで含めて、初めてあの芝居が完結するのではないかと思ったもので(まだ、確認メールしかもらっていないので、実態はわかりませんが)。会場に入った瞬間から芝居が始まっているような、演劇のショートショート集を観るような、若手お笑い芸人のコントライブを観るような、新幹線には成れなくてもディズニーリゾートラインには成りえるような、ズバリ言えば……ズバリ表現出来ないような、そんな“ようなような感”を満喫しました。私的には“全然有り”です。
ジーンズ -gene(s)-
劇団銀石
ザムザ阿佐谷(東京都)
2010/09/29 (水) ~ 2010/10/03 (日)公演終了
深海の進化論!?
ダーウィンがイメージの海に潜るという発想が気に入りました。でも、途切れなく、テンポよくセリフが続く心地良さがある一方で、同じテンポとセリフまわし(動作も似ている)が続くことで、登場人物の個性がメリハリなく沈んでしまっているように思いました(いくら海底とはいえ!?)。舞台に置いてある同じブロックのようなパーツを組み替えて様々な形にして使うところの工夫は面白かったです。公開されていた台本と比べられるのも一興でした。
美しい手
スポンジ
サンモールスタジオ(東京都)
2010/09/23 (木) ~ 2010/09/27 (月)公演終了
レコードもある素敵なお店です
すぐにジャズ喫茶として営業ができそうなセット。ほぼ、その店だけで繰り返される会話(それにしてもみんな、同じ店に集合しすぎ!(笑))と、流れ続ける音楽と煙草の煙。いいやつ風だけど、情けない性格の、どこにでもいそうな悩みを抱えた主人公。友人にかかってきた電話の内容が、本当はなんだったのかなど、はっきりとわからない部分もあったけど、かなりスタイリッシュな大人の雰囲気の芝居でした。
11月15日の夜空に
劇団Peek-a-Boo
あうるすぽっと(東京都)
2010/09/23 (木) ~ 2010/09/26 (日)公演終了
心も洗濯(柔軟剤入り)してるぜよ!
もう評価も実績もあるせいか、荒削りなものから感じるハラハラ感はないけれど(良い意味でも悪い意味でも)、きめ細かに工夫された内容はしなやかで、気持ちのいい完成度でした。
底抜けカンガルー
ぬいぐるみハンター
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2010/09/23 (木) ~ 2010/09/27 (月)公演終了
危うく脳味噌が…
最初はシュールで脳味噌の底が抜けそうでしたが、キャラクターが立ってくると、個性的な登場人物の会話の中に筋が見え始め、やがて霧の中から姿を現したその筋が二転三転する感じで面白かったです。特に、“不気味ふてぶてし怖いキャラ”(?)のモモンガの謎の可愛さには惚れちゃいそう!?(えっ、あれは神戸アキコさんの演技じゃなくて、素?)
セイム・タイム
劇団ヨロタミ
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2010/09/22 (水) ~ 2010/09/26 (日)公演終了
クロッキオ~それぞれの夏~
NO LAUGH NO LIFE
日暮里サニーホール(東京都)
2010/09/19 (日) ~ 2010/09/21 (火)公演終了
今の季節にぴったり!?
まず、ホールの大きさに比して大きなセットに驚きました。本当に海の家を建ててしまったみたいなんだもの。内容は、愚直なまでにわかりやすく、愚直なまでに熱く青春していました。一口にいうなら、青春引きずり末期(そういう意味では、海の家が舞台だけど、真夏でなく、今の季節にぴったり!?)さわやかあったか娯楽作品という感じで、楽しませていただきました。
『笹の音の小夜曲~セレナータ~』
劇団40CARAT 【第36回公演『ダーリン×ダーリン×ダーリン』9月15日[金]~9月17日[日]阿佐ヶ谷アルシェ】
シアター風姿花伝(東京都)
2010/09/17 (金) ~ 2010/09/19 (日)公演終了
語る資格はないのですが
正直に言いますが、私上演中に何度か寝オチしちゃいました。だから、内容を語る資格はないとは思います。でも、言い訳させてください。あの薄暗い場内でのナマ演奏、気持良すぎ! 私同様の状態の方を、何人も見かけました。期待することがあるとすれば、音楽の気持よさに負けない、目の覚めるような新鮮さと心引っ張りヂカラのある物語になってくれるといいと思うなあ。(あるいは、ときどき目覚ましのベルのような音楽にするとか……おいおい)