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2022年度 1-10位と総評
-即興音楽舞踏劇- 砂の城

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-即興音楽舞踏劇- 砂の城

株式会社バール

実演鑑賞

初日、完全に呑まれて帰り道の記憶があまりない程でした。愛とは死とは生きるとは救いとは罪とは幸福とは正義とは、渦巻く渦巻くうねる、深淵の嵐だ。ひたすらに彼らに問いかける、ひらすらに自身に問いかける。とんでもない体験をした。観るなんていう与えられる受身な行為ではない。これは体験だ。呑まれた渦に翻弄された。観る毎に気が狂いそうになる。即興とはいえ知らなければ即興とは全く思えない。それくらい質が高い。むしろその時その場で生まれる感情を縛られずに解き放って乗せているから質感が生々しくてどろりとしてて熱くて厚い。この手法は俳優によって合う合わないあるかもしれないけれど、生の演劇の真骨頂なのではないか。一度として同じ回のない即興だからといって、間違い探しをするみた違うところを見つけるような観方は野暮なことだと思う。その日その時に生まれたものをその日その時その瞬間に素直に享受したい。それでも記憶に残る残像が過ぎって。あぁ本当に即興なんやなと知る。でもそれはまたもう二度と出会えない。映像にも残らない。儚い。

ひりひりとひとり

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ひりひりとひとり

東映

実演鑑賞

情報が公開されてからずっと楽しみにし続け。やっと観られた時の感動、期待を上回って素晴らしかった喜び。前半終わって休憩入る時にすでに泣いてました。はるおの心が大きな波になって押し寄せてくる。なんてパワー。一緒に揺さぶられる。剥き出しのこころの奔流にのまれました。わたしの人生なんて石ころだらけだけれど。石ころだけじゃないと思わせてくれる。こうして眩い宝石をくれる。生きられる。観たい演劇でした。感謝。

【cocktail:Gypsy】-カクテル:ジプシー-

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【cocktail:Gypsy】-カクテル:ジプシー-

竹内尚文プロデュース

実演鑑賞

少年社中の時とは別の意味で観終わったら駅まで爆走したくなる、観た直後の興奮が忘れられません。あまりのことに興奮MAX、呼吸も荒く、体温爆上がりしました!
ずっと口酸っぱくしてアナウンスされてたネタバレ厳禁の件、そりゃそうだと思いました。のちのちネタバレは解禁してくださってるけれども…正直したくないです、いまだに。全人類の初見の興奮を邪魔したくない、口を割りたくない!あの叫び出したくなるような興奮を漏らしたくない。それほど、でした。もう自分自身は二度と初見の興奮を味わえないだけに。
凄い、なんていうサスペンス、なんていう人間ドラマ。やられました…まんまとすっかり。

without SUN

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without SUN

ステージタイガー

実演鑑賞

毎年、この写専とのタッグ公演を近鉄アート館で観る時間は、宝物です。
開演前のロビーから、終演後の帰り道まで、多幸感に満ちてます。
これは未来の話であり、アンドロイドのいる世界線の話ではあるけれど。抱える悩みは今の世界線と同じではないだろうか。
先の見通せない暗闇。若者の奪われる限られた時間。将来に希望を抱くことのできない不安感。それでも。それでもだ。生きなくてはなないし、心を失ってはならない。頑張れ。頑張ろう。頑張る。それでも頑張り続けているうちに疲れてしまうこともある。その為にエンタメが在る。

天使は桜に舞い降りて

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天使は桜に舞い降りて

演劇の毛利さん

実演鑑賞

大好きな少年社中の毛利さんの新作。幸せでしかない。
ぐっとこらえて、大阪公演だけ・・・その代わり2日行きました。
思い出すと、桜見に行きたいなと思う。ちゃんと直に自分の目で。桜を感じに行きたい。
辛い事が蔓延し、負の感情が渦巻く今の世に。本当の強さとは何かを観る思いでした。黒に染まることなく己を保ち、赦すことの出来る心。強い。
桜の下にはたくさんの死も絶望もある。
その中で尚人間の再生を願う神と天使がそこにいて。それを観るわたしは演劇の再生を願い観続け集い続ける。観たい、そう願うままに魅せ続けてくれる存在に愛を捧げる。

サラサーテの盤

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サラサーテの盤

くじら企画

実演鑑賞

構成の素晴らしさに感嘆。これを1990年代に30歳前半で完成されたというのは偉業。演出も素晴らしかった情景が色濃く鮮やかで情緒豊かで…永い旅を共に終えた気持ちがします。とても良かった。観に来て良かった。

みはるかす、くもへい線の

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みはるかす、くもへい線の

コトリ会議

実演鑑賞

面白い!とても面白かったです!わたしの好きなテイストのお芝居なんですれども、近年あまり関西で観られなくなってしまったテイスト。
照明も演出も何もかも。アイホールでないと出来ない。その日その時その場所でしか体験できない、演劇が演劇たる所以な演劇。言葉の独特な味わいに心をここでないところへ連れ去られてしまう。もっと観たい。もっと攫われたい。唯一無二。

悪いのは私じゃない

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悪いのは私じゃない

MONO

実演鑑賞

めちゃくちゃ笑わせてもらいました!面白いこと言ってますよ〜みたいな圧なく、ナチュラルにサラッとなのにめちゃくちゃ面白い事放り込まれてきて、笑いを止められない(笑)
そんな風にして目一杯笑わせてくれた上で…大切なところで芯を捉えた言葉をくれる。芯を貫いてる言葉が心の真ん中にストンと矢の如く。首が千切れるくらい頷きたくなる言葉もあった。わたしを取り巻く現実がぐるぐるし出す。ちょっと泣きそうになった瞬間もあったのは…たぶんそういうことなんだろうと思う。たぶんとても辛いのだと。全てが丁寧で柔らかくそれでも鋭く。とても好きな演劇でした!

大皿インダハウス

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大皿インダハウス

オドリバ企画

実演鑑賞

とても良かったです!エピソードから、他者との付き合い方、他者との違いへの向き合い方、自分ひとりの時間の楽しさ、他者と共にある時間の楽しさ、色んなものを、人生を感じる事が、考える事が、想う事ができました。演じる俳優さんが皆さん凄い方ばかり集まってるので、そこに紛れもない説得力がありました。およそ隙というものが一切なく、とても演劇でありながらもリアルの時間がそこに流れてた。
なんでもあからさまにしてしまうんじゃなく。観ることで想起させてくれる演劇が好きです。後々まで記憶にも心にも残る。

痴人の愛・現代篇  君といつまでも 2022初夏版

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痴人の愛・現代篇  君といつまでも 2022初夏版

BALBOLABO

実演鑑賞

キャスト変わっての再演。今回は写専公演で映像効果が加わったことにより舞台上に奥行きと彩りが増しました。それはもう大変見事なものでした。
親子の微笑ましい愛情の話であり、男女の可愛らしい愛情の話であり。そんな暖かな箱庭から一歩外界に出るとそこは極めて政治的で血生臭い殺伐とした世界で一気に現実に連れ去られ。でもやっぱり純粋で美しい愛情の話で。初演から二回目また今夜は観て、やっぱ凄い作品や。

総評

2022年は観劇に出会って以来ずっと追いかけ続けてきた大好きな劇団の大阪公演が丸ごと中止になってしまい・・・一年の振り返りをすると共にその悲しみが戻ってきた思いです。
2023年はひとつでも多く零れ落ちることなく突き進めますように。

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