u-noの観てきた!クチコミ一覧

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キル

キル

NODA・MAP

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2007/12/07 (金) ~ 2008/01/31 (木)公演終了

満足度★★★

脚本の巧さと遊び心を再認識。
三演でも新鮮で風化していないストーリーと端々に見られる言葉遊びの妙はさすが野田さんというところか。少し長めの2幕142分。

ネタバレBOX

役者陣は中心にいる妻夫木聡・広末涼子・小林勝也の三人に打ち出しの弱さを感じ、脇を固める役者陣とのパワーバランスが悪かった印象。勝村・高田・山田、村岡等が過去の作品にとらわれず好演してただけに、台詞を喋っている感の強い妻夫木、声から作って自分らしさが見られなかった広末、感情がみられず血筋の業を感じられなかった小林の三人が残念で仕方がない。
メリー

メリー

国分寺大人倶楽部

王子小劇場(東京都)

2007/12/21 (金) ~ 2007/12/24 (月)公演終了

満足度★★

細かいディテールが受入れられず。
美術も含めた舞台の設定が気になるくらい大きな壁になって、それ以上物語に入り込ませず、後半の大技さえも不発感が。103分。

ネタバレBOX

(完全ネタバレです。)


設定が全然理解できず。
舞台はどこか地方(福岡?)の予備校の談話室みたいな感じなのだけど、喫煙ブースあり、勉強してる者あり、赤本あり、大学パンフあり、講師・職員もも出入りして作業してたりといったいどんな目的の部屋か皆目見当つかず。

主人公のえいじは現役で東京の大学に進学したりゅうじに羨ましさを持ちつつも友達関係が続いているという地方の地元に残っている予備校生という設定だと思うのだが、地方の予備校にしては資料やパンフは全て東京の大学のものだし、大学受験用の予備校なのに廊下には東京の私立高校受験のための貼り紙が。設定としてはあまりに意味不明。会話では背景をそれほど語っていないだけに余計、物語の設定をきっちり具現化するようなセットや小道具を仕込むべきでわ。

話自体も暗転でシーンを切り替えるのだが、その時間の進み方の提示が不親切な上に、ムダに入れ替えてみたりして、余計見づらく。各シーンのエピソードも1つの作品として繋がりを感じるものでもなく。

終盤、この物語自体舞台という名の箱庭で、物語からハズれた者は存在しないことになっているという大枠をぶち壊すような大技を仕掛けているのだが、ネタを提示してから同じシーンをもう一回りさせるのはただ冗長にさせるだけ。あまり効果的には機能していないように思えた。

各キャラクターもそんなに背景を描かれているわけでもなく、なにか大きく展開を担っているわけでもなく、ほぼ全員が使い捨てのような雑なプロットの上にあるのも話を上辺だけに感じさせるようで…。

タイトルもあまり本筋を反映するわけでもなく、同名のキャラもちゃんとクローズアップされてるとは言い難いので、ここら辺も中途半端。

現代のリアルな若者の現代口語での作劇というだけで、たしかに今作はポツドールやsmartball等とは違うものであるけど、それは同列させるのがおこがましいほどあまりに作品として作りが雑だからというのが要素として大きいと言えよう。
WORMAN

WORMAN

マヤ印

森下スタジオ(東京都)

2007/12/20 (木) ~ 2007/12/23 (日)公演終了

満足度★★★★

何を書いてもネタバレになっちゃう。
入場前から次の展開が全然読めず、ワクワクしながら次々と繰り広げられるパフォーマンスを楽しむ。かっちりよりも曖昧さを楽しむが吉。83分。

ネタバレBOX

とにかく当日でもよいから足を運んで自ら楽しんでみることをお勧めしたいです。ボーターレスになったなかでのボーターの在り方がかなりいろいろと考える余地を与えてくれると思うから。
ぷりずむてん

ぷりずむてん

Prism

BAR BASE(東京都)

2007/12/15 (土) ~ 2007/12/16 (日)公演終了

満足度★★★★

個性派女優3人の戯れごと。
演劇系?メイド姿に出迎えられた小さなBARで、カウンター越しより近い距離での通路型小品をいくつか。時間を感じさせない位楽しい。

ネタバレBOX

もはや定番のコーナーとかキャラもいるのだけど、その定番も楽しみつつ、新しいユニットでの化学変化も楽しみつつ。引き出しが多い濃ゆい女優陣に終始圧倒されっぱなしな印象。作品毎の温度差も面白かった。
悪霊

悪霊

壁ノ花団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2007/12/12 (水) ~ 2007/12/16 (日)公演終了

満足度★★

小難しくて理解すらままならず。
現実離れした設定や背景に、異国の散文的な文学っぽい作りは共感の糸口さえ見つからず。役者の力量だけでは辛い。82分。

ネタバレBOX

作り上げた世界観に展開する物語、どちらも一貫性すら感じられず、その壁が最後まで取り除かれなかった印象。
内田さんも金替さんもその魅力を発揮できていたかというと、その点にも疑問が。
振り返ってみても、題材となっているドストエフスキーの「悪霊」やクリストフの「悪童
日記」等の作品とのリンクも見えずじまいだった。
Million Blue #01

Million Blue #01

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2007/12/06 (木) ~ 2007/12/11 (火)公演終了

満足度★★★

人恋しい想いで繋がる短編5つ。
現実と紙一重のSFだったり不条理だったりが集まって。それぞれテイストの違いはあるものの、身近に人を感じたくなる作品ばかり。90分。

ネタバレBOX

話と話の間に差し入れられる唯一の連作の『あいボ』が 独り者の心情の変化をうまく表してて◎。女性作家だからなのか、微妙に男性を弄ぶような台詞が端々に鏤められてるのが観客としてもつい気になってしまったり。

観客席以外の3面が小さな楽屋になっているセットも面白い。
わが闇

わが闇

ナイロン100℃

本多劇場(東京都)

2007/12/08 (土) ~ 2007/12/30 (日)公演終了

満足度★★

風呂敷を広げすぎて大味過ぎ。
決して胸が空くような話ではないし、破天荒なナンセンスでもない。下手に落とし処を設けた結果、逆にまとまりを失った感が。199分。

ネタバレBOX

笑いは小手先なものと個人技によるものばかりで連鎖が感じられず。キャラも使い捨て感が強く、説明を多用してまでここまでダラダラと長く、話を大きくして焦点をぼかしてしまうのにも疑問が。これを描けてる脚本とは思いたくはないなぁ。
『鱈。』の(へ)

『鱈。』の(へ)

Hula-Hooper

7th FLOOR(東京都)

2007/12/10 (月) ~ 2007/12/20 (木)公演終了

満足度★★★

フロア全体を使ってのパフォーマンス。
歌と芝居と特別フードと、やりたいことやこだわったことを全部ぶちまけるようなイベント。客よりホスト側の方が楽しそうに見えた。137分。

ネタバレBOX

割りきって(開き直って?(^_^;))ハジけている演劇部はよいとして、音楽部のパフォーマンスがイマイチだった感が。オリジナル曲も含めもっと存在を前に出してもよかったような。

全体的に間延びして尺が長くなってるよう。舞台上のセット転換の時間はフロアの芝居で繋ぐなり、もっと工夫がほしい。
五月の桜

五月の桜

青年団リンク 二騎の会

こまばアゴラ劇場(東京都)

2007/12/05 (水) ~ 2007/12/09 (日)公演終了

満足度★★★

自分本位な気持ちのぶつけ合い。
人を思いやっているようで、実はそんな自分が一番、みたいなキャラがバリアー張りまくりで相手を受け入れず、思いを押しつけて。93分。

ネタバレBOX

決して気持ちがすぐれるような芝居ではない。個々の人物に感情移入できる訳でもないが、組合せの違いによる緊張感の差や、少しずつわかっていく背景の解き明かしは見応えがある。何も背負っていない天明留理子さんの無遠慮で脳天気な役柄が地方の狭い地域を象徴しているようで◎。
女の果て

女の果て

ポツドール

赤坂RED/THEATER(東京都)

2007/12/05 (水) ~ 2007/12/09 (日)公演終了

満足度★★★★

ダメな人達の自己正当化の応酬。
インモラルな状況下で、互いが正論を説く度に現状とのギャップがあからさまになり、それが面白みに繋がっている会話劇。104分。

ネタバレBOX

設定とか時間毎に区切っての状況提示とかは普通のポツと同じような枠組み。このシリーズは女性の会話に重きを置いているところが特徴か。台詞がある分ポツの本公演より見やすく分かりやすいかも。

白神美央嬢の存在がここでも大きく。ワンメイクではなく、色々な立場の女性を演じられるという意味では彼女はポツのには不可欠な存在になつているかも。
新♀世界

新♀世界

スパンドレル/レンジ

王子小劇場(東京都)

2007/11/29 (木) ~ 2007/12/03 (月)公演終了

満足度★★

描きたい世界が全然見えない。
舞台となる場所の時代背景、外界の提示が弱すぎるため、起こる事件や事態との関係性や展開の必然性が少しも伝わらない。114分。

ネタバレBOX

前半は淡々と進むだけの展開は情報量も少なく、意図も分かりにくい。プロットをしっかり作った上でちゃんとわかるように提示すべき。

近未来的な話で、戦争をも起こしてるような国内事情で無精子妊娠症でできた子供を政府主導で抹殺しようとするなんて全然意味不明。天皇の出産云々のエピソードも全然効いてないし。

消えものの扱いが見ていて不快にしかならない。もっと見せる舞台として考えられなかったか。

最後の方の大仕掛けや生音も目先を変えるものではあるが活かしきってるかというとそうではないし。他の要素を入れる余地があるならもっと脚本で勝負してほしい。
東京裁判

東京裁判

パラドックス定数

pit北/区域(東京都)

2007/11/29 (木) ~ 2007/12/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

緊張と緩和が調和したエンタメ。
大きな題材のここを切り取ったか、というピンポイントの選択で、その全景をも想起させる、フィクションに見えない真実味あるフィクション。82分。

ネタバレBOX

緊張感ある芝居は基本ながら、時折織り込まれる笑いが見事なバランスを生んでいる。史実がある以上結末は分かっているのだけれど、彼らなら何か変えていけるのでは、と思わせるような展開だった。シンプルながら最後まで舞台から目を離せなくなるくらいのめり込ませる話の作りは秀逸としかいいようがない。これぞ野木作品の真骨頂。
ふたつの向島2-東京⇔上海-

ふたつの向島2-東京⇔上海-

トリのマーク(通称)

現代美術製作所(東京都)

2007/12/01 (土) ~ 2007/12/02 (日)公演終了

満足度★★★★

壁面を360°使って世界を構築。
青いテープだけで上海の移り変わりが次々と表現されていく。そして重なる日本との似たところ。久々登場のキャラも嬉しい。36分。

ネタバレBOX

絵柄を作りっぱなしにするかと思ったら、転用したり、またテープ使う場所を戻ってみたりと前のテープアートの時と比べると動きに変化が。とても面白いし、あまり他に似たようなのも見ないのでこれはトリの通常公演より観た方がよいかも。
14.√1.90

14.√1.90

toi

ギャラリーLE DECO(東京都)

2007/11/27 (火) ~ 2007/12/02 (日)公演終了

満足度★★★★

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タイトルに書いたような数字表記できる言葉や五・七・五の文体、語尾にダジャレの縛り等の言葉遊びで話を紡ぐ。ストーリーもなかなか。75分。

ネタバレBOX

言葉遊びが全員、というわけではなくルールを決めた相手とだけという匙加減が過剰にならなかったり、後半シリアスなシーンで面白かったり。

娘のサヨコの自分で決めた縛りのルールをさりげなく会話に入れ込んで見せて、もう一回そのペアリングで見せてくれる、その明かし方がなかなかにくい。

最後の話の落とし方は、見せ方も含めてとてもきれい、というか上手いと言った方がよいか。鮮やかでちゃんと余韻残して。

★3つ半ぐらいなんだけどアイデアとその展開にオマケ半分。




(タイトルは"話にはいっぱい仕掛け入ってんパー"と書いたつもり(^_^;))
ナツひとり ー届かなかった手紙ー

ナツひとり ー届かなかった手紙ー

松竹

新橋演舞場(東京都)

2007/11/01 (木) ~ 2007/11/26 (月)公演終了

満足度★★★★

ちゃんと演舞場的なエンタメに。
昭和と共に生きた女性の半生を、多くの不幸とその中の僅かなよい話を涙に結びつけ、最後まで興味を失わずに見せてくれる。231分。

ネタバレBOX

さすがに10歳から80歳過ぎまでのストーリーをなめるために、ちょっとしたエピソードは最後まで語られることなく書きっぱなしで暗転~時代が飛んで、みたいなものも少なくなく。

笑いはさすがにベタな面があるものの、沢田雅美を伯母に起用しての意地悪なシーンや、森光子の声の出演での姉妹の涙のシーンなんかは十分に万人が楽しめるように作られている。

原作が橋田壽賀子ということが引っかかってたけど、仲間由紀恵の周囲の男達を演じた宇津井健、生瀬勝久、三上市朗等の好演もありこれはこれでありな作品に仕上がってたと思う。
脈拍のリズム

脈拍のリズム

ユニークポイント

学習院女子大学 やわらぎホール(東京都)

2007/11/23 (金) ~ 2007/11/25 (日)公演終了

満足度★★

人の気持ちは…分かるわけない。
娘の交通事故、その当事者と周辺の人々の物語。これ、何ひとつけりがついていないと思うのだけど。描きたいことが不明。79分。

ネタバレBOX

作者が実際事故で身内を亡くした当事者でない限り、この戯曲もフィクションでしかないわけで。そんな中で渦中の夫婦以外の他人はあくまでも他人事、のような描き方はリアルを求めた結果なのか、それとも意図したことなのか。チラシには遺族の方々にも観てもらったと書いてあるが、だとしたら最後に告げられる悪意は、感情を逆撫でする以外の何者でもないような気がする…。
傷は浅いぞ

傷は浅いぞ

柿喰う客

王子小劇場(東京都)

2007/11/14 (水) ~ 2007/11/26 (月)公演終了

満足度★★★★

突き抜けたおバカは面白い。
八百屋な土台だけのセットで圧倒的な台詞の量と肉体だけで勝負するスタイルは勢いにまかせて最後まで突っ走ってて◎。84分。

ネタバレBOX

下手にセット組んで、出捌けや立ち位置を意識するんだったら、どうせ会話しない演劇なら、ここまでいさぎよくシンプルにした方が断然よいと思う。80年代のつかさんや鴻上さんみたいな理想や思想が入っていないのも今っぽくていいなぁ。

最後のシーン、アフタートークでは脚本家の中屋敷氏としてはここから始めたと言うが、作品的にはこのシーンなしで大きな嘘をつきっぱなしで終わった方が潔くてスッキリしてると思うのだけど。

内容としては「15 minutes made Volume 2」の時と比べて鞘花の物語がちゃんと紡がれているところがよかったかなぁ。

会場は舞台を大きく取ったため客席はちょっと前後に狭い感じ。それでも高さのクリアランスは前列を気にしないでよいくらい十分な視界を確保していたので、この構造は◎。さすが王子を知っている劇団だと思わせてくれた。
長い夜の過ごし方

長い夜の過ごし方

ZuQnZ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2007/11/21 (水) ~ 2007/11/25 (日)公演終了

満足度★★

よい話を描きたいっぽいんだが、
死を意識した色々な立場の人達の物語を紡ぎたいのはわかるのだけど、基軸がはっきりしないので全体として散漫な印象に。83分。

ネタバレBOX

どの話もおなじようなボリュームで並列に進み、エピソード同士の絡みも少なく、また与えられる情報も少なめなために描きたい全景というものが見えにくい。どれか1つの話に重きを置いて、それに対して枝葉のように他のエピソードを絡めていってもよかった気がする。

あと、夜の話ばかりとはいえ、照明が全体に暗すぎ。特段リアルさにこだわったようにも感じなかったし、明かりの強弱もよいアクセントになるのだから、もう少し気にしてほしいなぁ。
コントローラー

コントローラー

北京蝶々

早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)

2007/11/16 (金) ~ 2007/11/23 (金)公演終了

満足度★★★★

構造も○だが、構成がしっかり。
SFチックな設定だけど、舞台として仮想と現実をうまく見せている。2つの物語の時間軸が大きく変化してからの展開が面白い。86分。

ネタバレBOX

過去のデータを入力して、現在・そして未来を予測するネット上のシミュレーションゲーム。これを使って友人との現在の状況・関係性を変化させようとする主人公。でも人を操作しようとしてその実自分のことは客観視できてないかために自身の行動は制御できないし、予想もできていない。そのもどかしさ、裏腹さ加減がうまく描けていたと思う。
ミーコのSFハチャメチャ大作戦~ベルンガ星人をやっつけろ!~

ミーコのSFハチャメチャ大作戦~ベルンガ星人をやっつけろ!~

猫田家

アトリエヘリコプター(東京都)

2007/11/21 (水) ~ 2007/12/02 (日)公演終了

満足度★★

プレビュー:チープさ炸裂は諸刃の剣。
本公演より一足早く。意識してのチープな作りは、そのぬるさを笑えてる時はよいが、あまりしつこいと見所も失うことに。93分。

ネタバレBOX

基本設定の歌手の範疇でパロったり、歌で遊んでるところは面白かったが、不条理の演劇に走ってしまってからはただ完成度の低い、ダラダラしたつながりのないシーンの連続で芝居自体の求心力もなくなって×。最後の夢オチ的な落とし処も腑に落ちず。

セットもわざと学芸会に毛が生えた程度にしたのだったら、もっとそれも活かした方がよかったように思う。

なにより、バンドとしての歌の部分をもっと見たかったなぁ。

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