満足度★★★
横浜未来~、あひる~がらしさを。
規定の15分に対し確信犯的な5分オーバーで圧倒的な世界観を見せつけた横浜未来演劇人シアターが最初では後は大変だろうに。120分。
ネタバレBOX
簡単にそれぞれの感想を。
●横浜未来演劇人シアター
「ハマのメリーさん」の予告編として十分すぎるくらいの雰囲気、仕掛け、人数を投入してのパフォーマンス。20分の作品は全編をちゃんとみたくなる作り。
●青春事情
コント以上のテンションでコント未満のまとまりとオチ。15分の時間を意識したのはよいけど、勢いだけで押し切ろうとする姿勢は△。
●elePHANTMoon
見せる部分の時間配分を間違えた感じ。最初の設定を知らしめるパートと狂気が露わになってからの展開のバランスが悪く、見ていて未消化。リアルとそうでない部分の表現にも一貫性がないし。15分でも描けてない雰囲気を感じてしまった。
●あひるなんちゃら
緩さやすかし具合がこの劇団の持ち味としてうまく出ている。根津氏や黒岩さんがいなくても表現できることに感心。
●アイサツ
演劇の舞台裏をリアルっぽく描くことではたして観客に対して何を提示したかったのか、全くわからない。後半のグダクダ具合も含めあまりに内輪受けやら自己満足過ぎ。
●Mrs.fictions
突飛な設定は面白いが、それが生かしきれていない。話として前に進まずウダウダする様はわずか15分とはいえ時計を気にしてしまうほど飽きを感じてしまった。
満足度★★★★★
第三部を観劇しました。
事の外よい席だったので舞踊も飽きることなく細かいトコまで観れて。お目当ての「愛陀姫」は流石歌舞伎座を使ったエンタメに。176分。
ネタバレBOX
野田歌舞伎の蛇腹のセットや日本の史実に乗っけた脚本も面白い。それでいて筋はアイーダから逸脱していないのだからその手腕は見事。お約束の象も忘れてないし。
全編現代口語で敷居を低くし、その上で達者な歌舞伎役者が軽やかに面白く演じるのだから楽しくないわけがない。
主役はタイトルからすると七之助の愛陀姫なのだけど、意のままにならず翻弄される濃姫の勘三郎、そして頭から最後まで肝のシーンには必ず存在し、次を指し示す福助の細毛もある意味主役のような存在感を表していて全てのシーンが見せ場とも思える展開に仕上げていたのがすごいと思った。
満足度★★★
女性らしさを前面に出した動き。
しなやかだったりコケティッシュだったりちょっぴりエロティックだったりと雰囲気はプチ指輪ホテルっていう感じ。会場が狭い分臨場感は抜群。75分。
ネタバレBOX
レビューみたいに次々と雰囲気を変えていくのかと思えばそうでもなく。ハケたり暗転時にいったん流れが止まってしまうのはもったいないかなぁ。
中学生の女子二人の扱いがちょっと難しいかったかも。さすがに身体は柔らかいけど、表現としても実際にも成長過程の彼女達の舞台上での位置づけがはっきりしてなかったように見えてしまった。
最後、チラシのカタチにたどり着くまでの過程を再現していたのは面白かった。
身体能力が高いメンバーなので、彼女達の才能が有機的に結合されてもっと独自性が際立てばさらにすごいものが見られるような期待感は残った。
満足度★★
「タマゴよ、~」の方を観ました。
平行して進む2つの話の、集約までの距離があまりに遠く、過剰っぽい演技とデリケートな題材、細かい不整合に違和感も。91分。
ネタバレBOX
たぶん排卵誘発剤による多胎妊娠のことを描いたのだと思うけれど、それにしては状況描写も情景描写も色々な意味で軽すぎている気がして。
内側の世界と外側の世界は最初があまりに接点がなさ過ぎることと、途中で役者が役柄を兼ねたことが余計わかりにくく、終盤相互の話が絡んできてもあまり納得できなかったり。
個々のキャラの名前が最初から決まってたり、最初から一人が「登場権」を持っているのにコンダクターが選択に悩んだりと時間の流れと無関係に設定がなされている矛盾も合点がいかず。
結果観終わってすごく消化不良な感じでした。見せ方の工夫でもう少し感触は変わったかもという気もしました。
満足度★★★
つかさんのスタイルをそのまま今に。
'80年代のつか芝居を形を変えずにまんま演舞場に持ってきたよう。ストーリーはさすがに枠だけ同じで中身はほぼ新作という感じ。180分。
ネタバレBOX
つかさんが演出をしているからか、昨今の時事ネタをいれつつも自身の思想や思い入れが台詞に入り込みすぎてるようで、その点がちょっと気になったり。セットをほとんど組まず、荒唐無稽な話を台詞量で圧倒するスタイルは、今となっては古くさく、引き込まれると言うよりは一時代を築いた過去のものとして一歩引いて見てしまう感じだった。
また、会場も演舞場は合わなかったのか、舞台の幅も花道も活かしきれてなかった気がして。
役者は主役に抜擢された石原さとみはタッパもなく、思ったよりちんちくりん(失礼)な印象。ダンスを踊らせると上半身は頑張ってても足は上がってないし。声の張りもまわりと比べると弱いし。エロい表現が、という報道が先行しているが実際は衣装も台詞もそれほどでも。
真琴つばさを起用し、坂本龍馬を女に設定したことで、終盤の龍馬が墜ちてゆく場面の展開や雰囲気も全然違い、重みを感じなかったのが残念。ラストもそれで落ちたの?と思うような終わりだったし。
満足度★★★
面白くなる要素はあるんだけど、
ダムに沈む過疎の村を舞台に、男子中高生の稚拙な思考回路と関係性、行動力のまま大人になった若者達の生態を描いている。100分。
ネタバレBOX
基本的な話はオバカを通り越してしょうもない感じ。話自体に大きな進展があるわけではなく、笑いを取るわけでもなく、おなじような情景をグタグタ重ねているだけなので冗長にも思える。もうひとつ関係性を壊すような大きな事件等があった方が面白かったかも。
客席はフルベンチ席なので、これから行く方は身軽にするなり、荷物預けても大丈夫なようにご準備を。
満足度★★
作品の世界を描ききれずの感が。
作者が想定した異形社会をマクロ的にもミクロ的にも観客に提示しきれていないので、輪郭や主眼がはっきりしない分冗長に感じる。97分。
ネタバレBOX
舞台の食品工場がある村や今の業務を始める背景、そして工場の中の状況やの人間模様のどちらも確信を持って理解できたとは言い難い。
また、演じられる各シーンもストーリーを展開していく上では余計とも思える部分が多すぎ。その割に喫茶店のシーンで背景を一気に説明してお茶を濁してる感じもして、そのバランスの悪さが最後まで受け入れがたい壁を作ってたように思えたのが残念。
結局正常な人が抱える諸問題で神経が病んでいる様と病気のレッテルを貼られてるものの、幸せに感じて暮らしている人との立場的な逆転を話の中心に据えるのなら、最後の姉妹の会話や喧嘩をもっとクローズアップして、その上でこのシーンの落とし前をちゃんとつけてほしかった気がする。
満足度★★
しっかり作ってると思うんだけど
ちょっと長いなぁ。その割には全員のキャラが描き分けられてないし。エピソードを絞った上であと30分短くなったら観やすいと思う。121分。
ネタバレBOX
色々なエピソードを入れ込んだ結果、主人公同士の不器用だけど解り合える関係性というのがあまり浮かび上がらなくてちょっと残念。白と黒のコントラストももっとクローズアップしてもよかったかなぁ。
演出の指定なのか、全体として役づくりの色が統一されていなかったのが芝居として観づらくしていた気がする。特に中田顕史郎氏の役回りはおちゃらけ具合と色が中途半端で彼の持ち味を活かしきれていなかったように感じて。逆に狩野・牛水両氏の真っ直ぐな役柄と演技には好感。
満足度★★★★
期待通りのオバカ芝居に全力投球
衣装も色付けも極彩色のキャラ共がすごいスピードと回転でシーンをこなしていく。もはやストーリーはどうでもよいと思わせる出来に◎。83分。
ネタバレBOX
スタイリッシュと言いかねないような空間でのキャラの押出し勝負の応酬、くだらない内容を額に汗してまで全力で演じきる姿、真面目なシーンでも貪欲に小ネタで笑いを取りに行く姿勢と全てにおいてそのアンバランスさのバランスが絶妙。
リアルな会話劇が増えてきた中で、こんなに勢いばかりで圧倒するような作りの芝居は貴重ともいえよう。
客演の伊東沙保さんも高速の言い回しや動きもとてもハマってて、キャラとしても自然に馴染んでたみたいで◎。こんな雰囲気の伊東さんは観たことなかったので結構新鮮。
満足度★★★★★
台詞がすごく支配的なんだけど、
仕掛けが戯曲のそれを超えた瞬間から作品として大きく独歩。その方向性と意外性はかなり面白く、チェルフィッチュ関係なく必見かも。88分。
ネタバレBOX
元々の作品では役者の力量に因るところが大きいスタイルも別のアプローチが見事なくらいハマってる。仕掛けも含め、これらが戯曲を読み深めて、場を意識した結果、ちゃんと理由づけられて導き出されているところがまた奥深い。いや表現方法は全然おバカな感じなんだけど…(^_^;)
新百合ヶ丘でやったことはそのまま上野には持って行けない(それは観てみたらあまりに納得)そうなので、まずはある種成功とも言うべきこの新百合ヶ丘での公演はいろんな人に観てもらいたい気がする。そして上野ではどんな表現方法を見せてくれるのかがすごく気かがりでもある。
最初、技量も追っつかないのにまんまのスタイルで始めちゃったときにはどうしようかと思っちゃったよ~^^;;
(ネタバレ追加)
新百合ヶ丘Ver.の一番の特徴は途中休憩の後、劇場の外に客を連れ出して、新百合ヶ丘の街を見せながら続きを上演したことである。車も行き交う街の雑踏の中では劇場内と同じような語り口だと台詞も聞こえない。大きくなる声、大きくなる動きは必然と共に生まれ出てくる。それが過剰すぎたりミュージカルにまで発展する様にはあまりに馬鹿馬鹿しく、それがまた可笑しくもあり、違う感覚で違う芝居を観ているよう。劇場の中でチェルフィッチュの模倣のようなスタイルが徐々に表現法が大きくなっていくのはここに繋がってくるためだったか。
また神里演出は"帰る"ということに注目をしていた。
初日の金曜の夜はまさに新百合ヶ丘の駅から家路につく人々の前で渋谷の街から逆行してホテルに帰るシーンを演じる。同じように坂を上って帰るのにその道程の違い、そしてリアルに帰る人々がわずかに気にしつつも、でも足を止めない様子は芝居とのギャップもあってとても興味深く、舞台の背景として見事に成立してたのである。
満足度★★★
色々なことをぶちまけている感じ
伏線じゃなくて予防線を張りまくった上で心情、風評、物語、事実等をペアの形に乗せて吐露して混沌とさせてまとめた雰囲気に。75分。
ネタバレBOX
とりまく状況を全部逆手にとって提示したような印象。手法としてはかなり卑怯だし、話としてもイマイチ成立しきれてないし、今回はありかも知れないけどもう一度同じパターンは使えないなぁ、きっと。
会場は四方囲みの座席で中央にベッドというセット。上手ベッドサイドがメインの舞台となるため、通常舞台側の上手の後段の席あたりが一番観やすいかと。
しかし王子小劇場の演劇祭で、この順番、このタイミングでこのネタの芝居が上演されることにこの劇団の巡り合わせに何かあるのか、それともどこも同じような危険性を恒常的に孕んでいるということなのか、どっちだ?
満足度★★★★
芝居というよりはパフォーマンスか。
わかりやすいストーリーがあるわけでも、台詞が響いてくるわけでもないけど、色々な手法が合わさって見せる表現には面白さも。113分。
ネタバレBOX
紙のセットに墨の使った表現、白黒の映像が織り成すモノトーンの世界はなんか不思議な感じ。外国人の演出で筆・墨・襖という和の要素も面白い。また、声が共鳴する音の表現がすごく新鮮。
流れが理解しにくいので、後半に動きが大きくなるまではどうしても冗長に感じがちになってしまうのが残念。
女性の身体に墨が流れ滴り落ちる姿は視覚的にも刺激的かつ美しくも見えて○。
満足度★★★
まるでレディースコミックを見てるよう。
女性作家らしい女性視点での描き方。それは思考がダダ漏れしているような妄想と現実が交錯している展開も、性的描写も。79分。
ネタバレBOX
互いに秘め続けたが為か下半身の倫理感が違うし間違ってる姉妹の話。独白で語り始めるストーリーはスタイルは悪くないが、肝心の話の起点である妹の死について投げっぱなしなのが△。
エロの表現は野郎から見るとそれほど過激とも思えず。体位の連続的な変化は動きとして見事。
満足度★★★
若さ故の熱さや無鉄砲さがテーマ?
社会人になっても適応しきれずに自分スタイルを貫く人達の生態を描いたというのであればこれでいいのかもしれないけど…。113分。
ネタバレBOX
裏テーマとして今抱えてるクライアントの仕事や新しい大きな案件にある内容を描こうとしたのであれば、恋人、夫婦、結婚等の言葉をちゃんと定義づけて展開してほしかったなぁ(この部分のプレゼンに至る過程をBGMに紛れさせてきちんと提示してくれなかったことがすごく欲求不満)。そうじゃないと弟夫婦の関係性、一途な片想いの男、結婚早々離婚するクライアント等の存在や行動があまりに軽すぎる。
コピーライターの事務所という設定だけど、真偽の程はともかく普段使いの台詞が言葉を扱ってる人達のそれとは思えないほど乱れてる。そんな彼らのてにをはへのこだわりを主張されてもそれは説得力もないわけで。
大手の広告会社に転職した男だけが至極まともなことを語っている。仕事で怒鳴ることを除けば彼はキャラとしてちゃんと描けているのだから、彼とそれ以外との対比が主眼であるのなら…作風として自分には合わなかったということだろう。
満足度★★
近未来の、謎多き状況での物語。
場所、環境、人物の背景等は匂わせただけで謎めいた話は進む。終盤の展開は明らかにする点が違う感じであまり腑に落ちず。90分。
ネタバレBOX
説明しなくてもよいシーンを謎解きのように挿入してまとめあげたように見えても、基本的なことが解明されていないので物語としてすっきりしない。当日パンフにキャラの裏設定を書くのであれば基本的な設定含め最低限は舞台上で理解できるように提示してほしい。
主宰はもっとシリアスな演技が出来ると思うのだけど、緊張感ある芝居の中で自分の出番だけ場の空気とは関係なくどん欲なまでにおいしい笑いを欲しがっている姿勢がバランスを崩しているよう。
満足度★★
'80年代演劇を感じるつくり。
群唱、長台詞、ダンス、過剰なセリフ回し、唐突なシーンの強弱、意味ありげな主張等前世紀に流行った手法が山盛り。なぜ今このスタイル?98分。
ネタバレBOX
蟻の習性に人のコミュニティを重ねて提示するものの、強引な部分に説得力がなく、話自体も雰囲気で終わらせてて、ちゃんと落ちてないように思えるし。
パレードがテーマということで何度も場内客席の通路を練り歩くんだけど、その行為自体が目的になってしまって、客としても見にくいし、話の中での意味合いとしても薄かった印象。
なにより観ていて第三舞台やキャラメルボックスの影響を色濃く感じて、オリジナリティを感じなかったのがマイナス。
当日パンフに具体的に役名や役柄が書いていないので、初見だと役者の名前がわからないのも×。
満足度★★★
空間も話も繋がりがとても緩やか
ひとつのセットを共有しつつ色々なシーンが繰り広げられる。終盤、いろいろなことがまとまってくるまでは少し冗長に感じるかも。110分。
ネタバレBOX
すごく感性的にも女性的なものを感じます。そのせいか、劇中の台詞にもあるような「だから結局言いたいこと何?」みたいなスタンスで話を追って観ちゃうともどかしく感じるかも。
満足度★★
ダンス寄りとも、芝居寄りとも、
小道具を使った動きなんかは面白いんだけど、作品全体としてはまとまりを欠く印象。どちらかに傾倒した方がよかったかも。73分。
ネタバレBOX
ダンスとするならもっと動きが欲しいし、台詞を音と捉えるにはあまりに騒々しい。芝居とするならストーリーが弱く、台詞は速さ的にも滑舌的にも聞き取りづらく消化不良。パフォーマンスとしての完成形がイマイチ掴みきれなかった。
満足度★★★★
難しい設定をわかりやすく提示。
抽象的なセットで近未来なSFと敷居が高くなりそうなところを、人間模様のドラマを中心として最後まで興味を惹きつけてたのは○。126分。
ネタバレBOX
基軸が二つ、生と死についてアナログに向き合う若者達と、全てをID管理しているデジタル的な街の在り方。
役者さんは内田慈さんと安井順平さんが抜きんでてよい。若者の話は内田さんのキャラクターが引っ張り、町についての小難しい話については安井順平さんが飄々としながら語り部として絶妙に笑いを取りつつ、理解しやすく話を回している。
1/30コマについて問題を提起しつつ、解決する姿勢は見せつつも手つかずに終わらせてしまった点についてはかなり不満。若者達の方の寿命の縛りからの結末も納得いくものではないし。どっちかだけでもよいからスーッと落ちてくれていればもう少し感じかたも変わったのになぁ。
満足度★★★★
倫理観の全然違う三姉妹の話。
現実的な話とはかけ離れ過ぎている設定なんだけどちゃんと姉妹の物語を紡いでいる。男共の情けなさと女性達との対比が◎。117分。
ネタバレBOX
全6景。どうしてもSEXやら暴力やらの方に目が行きがちな作風だけど、今回は伏線が終盤に効いていたり、血縁関係すら危うい姉妹達の繋がりとがちゃんとクローズアップされるようなつくりになっている。けっしてハッピーエンドではないんだけど、三姉妹が築いてきたものがはっきりしたときに、こんな話もよいかな、とか思ってしまった。