HIDE AND SEEK
パラドックス定数
ザムザ阿佐谷(東京都)
2008/04/24 (木) ~ 2008/04/27 (日)公演終了
満足度★★★★
骨太な脚本を土台に、さらに広く飛躍する可能性を感じた作品。
江戸川乱歩と横溝正史と夢野久作が同じ部屋でともに語るというだけで、相当に面白いです。しかも彼らの代表作の登場人物(明智小五郎、金田一耕助、呉一郎)まで同じ次元に出て来るのですから、愉しみはさらに増します。
ザムザ阿佐ヶ谷の和風空間で大きな赤いカーテンを使って、探偵推理小説、幻想怪奇小説のムードを上手に作っていました。※私は最前列で堪能しましたが、後方の席からだと高さがあるので見え方が違ったかもしれません。
これまでの公演との違いで顕著なのは、まず笑いが多いこと。役者さんは緊張が途切れない丁々発止のやりとりだけでなく、どたばたパロディにもチャレンジしています。感情を内に込めることで密度を上げる演技を、貪欲に外へと開放する方向にも広げたのは、大いに歓迎したい変化でした。また、「前回あの役をやってた役者さんが今回はこんな役!?」という驚きも良いスパイスになりました。
パラドックス定数というとワン・シチュエーションの会話劇という印象でしたので、今回のように次々と場所が変わるのは新鮮。脚本・演出を手がける野木萌葱さんの力量を再確認できました。集団としての厚みも増してきていると思います。
色んなタイプの男の魅力を様々な角度から見せてくれます。キャストに絶世の美男子が揃っているわけではないけれど、今流行りの“イケメン芝居”に似たところがある気がしました(笑)。私は敢えて気取る姿勢が面白いと思いますが、それが鼻につくお客様もいらっしゃるかもしれないな~とも思いました。
約2時間の上演時間は、会場の環境から考えても少々長すぎた気がします。
恋人としては無理
柿喰う客
ギャラリーSite(東京都)
2008/04/13 (日) ~ 2008/04/13 (日)公演終了
満足度★★★★
計算された“悪ノリ”にもっとスムーズに乗っかれたら
イエスと12人の使徒のお話でした。フランスで新約聖書ネタを上演する勇気にまず乾杯(笑)。5人の役者さんは全員が黒装束です。「ヘッドフォンをしている」のはユダ、「マフラーをしている」のはピラトという風に簡単な目印で役の違いを示し、持ち物や被り物を変えてスピーディーに入れ替わりながら演じます。
5人の男女が次々と演じる役を変えていくのはもちろん、役柄の口癖や発音を演じ分けていく面白さもありました。セリフにはだじゃれやギャグがこれでもか!と言わんばかりに盛り込まれており、独特の単語の並び方に脳みそがくすぐられるような感覚を覚えました。
観客を圧倒する大量の早口なセリフや、いきなり緊張感の頂点から始まることについては、演出に工夫が必要な気がします。観客が自ら進んで入り込むように誘導してもらえたらなお良くなると思います。
演技については、きびきびと動いて言葉の重みも表現してくれる達者な人と、そうではない人との差が目について残念。特に大声を張り上げっぱなしにするのは、個人的にとても苦手です。
開演前はフランスでの劇団員の様子を撮った映像を流していました。長時間のフィルムをしっかり編集したサービス精神は素敵だと思いますが、あのはしゃぎっぷりには引いちゃう人もいたんじゃないかと、少々心配になりました(笑)。屋根にワンワンニャンニャン(だったかな)と書かれたお店は、私もパリで見つけて笑いました。
おしるし
プリエール
赤坂RED/THEATER(東京都)
2008/06/03 (火) ~ 2008/06/08 (日)公演終了
満足度★★★★
CoRichの評判が良かったので観に行って、当たり。
安心して楽しめるお芝居。一筋縄ではいかないのも素敵。田村孝裕さん作・演出なので気になってはいたのですが、私もチラシのビジュアルで二の足を踏んでいました(笑)。
億万長者婦人故郷ニ帰ル。
JAM SESSION
「劇」小劇場(東京都)
2008/04/15 (火) ~ 2008/04/20 (日)公演終了
満足度★★★
情熱を持ってストイックに演劇に立ち向かう姿勢
ほぼ何もない八百屋舞台で、小道具、大道具も最小限。役者さんの身体を使って劇的なうねりを生み出して行きます。走って、叫んで、スピード感に満ちたエネルギッシュな舞台でした。情熱を持って、ストイックに演劇に立ち向かう姿勢を感じました。
ただ、初日だったのもあって、役者さんは全体的に段取りを守ることで精一杯のように見えました。どうしても許容できないミスがあり、ラストの盛り上がりを信じづらくなったのが残念。あと、選曲も少々奇抜すぎる気がしました。
1990年代に入ってから、価値観がひっくり返るような事件が沢山起こっています。何を頼りに生きていけばいいのかを、誰もがはっきりとは答えられない世界になっている気がします。そんな中、資本主義社会において不可欠な「お金」に、興味や欲求が集中するのは自然なことだと思います。でも「お金」を中心にした(全てを金に換算していく)生活って、人間には合っていないと思うんですよね。お金と違って命は割り切れないことだらけですから。
約50年前にスイス人が書いた『億万長者・・・』は、どちらかというと今の日本人にとっては縁遠い作品だと思います。でも、お金で正義が買えるのか、お金と命はどちらが大事なのかという命題をテーマにした今作は、今の日本で上演することに大いに意義があると思いました。
「卒塔婆小町」「葵上」
三条会
三条会アトリエ(千葉県)
2008/05/24 (土) ~ 2008/05/30 (金)公演終了
満足度★★★★★
往復で4時間ぐらいかかるんですが、
至福の帰り道でした。面白すぎてもんどりうっちゃうYO!
観たのは5月30日(金) 18:30「卒塔婆小町」Bプロ/20:00「葵上」Aプロ
風のつめたき櫻かな
文学座
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2008/05/22 (木) ~ 2008/06/01 (日)公演終了
田中さんの青空
演劇集団円
ステージ円(東京都)
2008/05/15 (木) ~ 2008/05/25 (日)公演終了
日本語を読む Dプロダクション「太郎の屋根に雪降りつむ」
世田谷パブリックシアター
シアタートラム(東京都)
2008/05/14 (水) ~ 2008/05/17 (土)公演終了
スケッチ・オブ・ザ・ピザ・ナイト ~香ばしい、春の一夜~
劇団競泳水着
王子小劇場(東京都)
2008/04/01 (火) ~ 2008/04/07 (月)公演終了
満足度★★★
むずがゆい可笑しさがクセになる
王子小劇場を横長に使って5つの演技スペースを設けた、春の一夜のお話でした。20代前半の若者なら誰もが経験するであろう恋や将来の悩みを描いた、イマドキの青春の1ページ。シリーズ名にあるとおり、若くて初々しいタレントさんが出演するトレンディー・ドラマ的な世界を実現していました。
“胸きゅんなトキメキ”と“なりきりおバカ”の境目をしたたかに狙っているんだと思います。私はまんまとハマった派(笑)。「あ~、こういうコ、いるいる!」と思いっきりうなづいて、勝手に連帯感。本当はドラマで見たことがあるだけで、会ったことはないのにね(笑)。
若い役者さんがセリフの後でクスっと照れ笑いをしたり、思わせぶりにうつむいたりする演技が可笑しくてたまりませんでした。この、むずがゆいような、くすぐったいような可笑しさはクセになりそう(笑)。
ただ、演技にしても演出にしても、完成度はもっと高めて欲しいところ。例えば役者さんの演技をもっとわざとらしいものにして、作品の意図をよりわかりやすくしても良かったのではないかとも思いました。そのへんの調整は難しいですよね。
humming2
ポかリン記憶舎
cafe MURIWUI(東京都)
2008/03/18 (火) ~ 2008/03/24 (月)公演終了
満足度★★★
空気を動かす魔法を間近で見られる特別な時間
祖師ヶ谷大蔵から徒歩7分ぐらい商店街を進んだところにある、空中庭園のカフェでのお芝居は、客席が20席そこそこの小さな会場での特別な時間でした。私はマチネの回に伺いました。カフェの外のお庭も舞台になりますので、ソワレだと全く違う雰囲気になったのでしょう。
小さな部屋に恋の喜び、せつなさがいっぱいでした。場所(=カフェ)を愛し慈しむ心が強く伝わってきて、後半は笑いのスパイスもうまく効いていました。
カフェの中と外の遠近感を使った演出にドキリとさせられ、声と言葉、身体の動きで空気を自在に動かすのはまるで魔法のよう。
観客が出演者やスタッフと気持ちを合わせて確信犯的に楽しむ種類の、今、ここでしか体験できない演劇空間です。作品の舞台であるカフェと同様、“敷居が高い”ことも合わせて味わうのがオトクな鑑賞方法だと思います。
ミュージカル「火の鳥~鳳凰編」
わらび座
新宿文化センター(東京都)
2008/04/25 (金) ~ 2008/05/04 (日)公演終了
満足度★★★★
澄んだ声と真っ直ぐなことば
手塚治虫の漫画「火の鳥~鳳凰編~」が2時間で描けているのが凄い。
プレビューよりも格段に良くなっています。
素朴で清楚。作品にこめられた意味と感情が鮮やかに伝わってきます。一人でも、恋人同士でも、家族連れでも楽しめると思います。
イープラスでA席5000円が3500円!(S席は6000円) 破格です。
わらび座、手塚治虫、火の鳥、栗山民也。このコラボは必見でしょう。
5/4(日)まで!
焼肉ドラゴン
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2008/04/17 (木) ~ 2008/04/27 (日)公演終了
BALM in GILEAD(バーム・イン・ギリヤド)
the company
新宿シアターモリエール(東京都)
2008/04/04 (金) ~ 2008/04/20 (日)公演終了
葦ノ籠~アシノカゴ~
黒色綺譚カナリア派
青山円形劇場(東京都)
2008/03/19 (水) ~ 2008/03/23 (日)公演終了
満足度★★
空間演出には個性が感じられたが、目指すものを実現しているとは思えなかった。
黒色綺譚カナリア派の作品は以前に一度拝見したことがあります。“アングラ”と呼ばれるジャンルは個人的にあまり得意ではないのですが、AOYAMA FIRST ACT(青山円形劇場が、同劇場を初めて使う若手有望劇団を後援する企画)に選ばれたのは、同劇団が今注目を集めていることの証明ですし、作・演出・主宰の赤澤ムックさんが若くてきれいな女性であることも含めて、その動向が気になる団体のひとつです。
円形劇場をほぼ円形の状態で使用し、ステージ上部には崩れた橋(?)の一部が天井から吊り下がっており、「第一幕~タイトル~」と書かれた垂れ幕が、幕の数の分だけ、客席後方の壁をぐるりと囲むように掛かっていました。ムービング照明を多数使っていたことも、劇場の個性を生かす演出だったと思います。大音量のハード・ロックはなかなかに刺激的で、快感でもありました。
役者さんの演技については疑問が生じることが多かったです。河原で暮らす老婆たちには小劇場界で目を引く役者さんもキャスティングされていましたが、特に個性を発揮するわけではなく、アンサンブルとしての完成度が高くなかったのが残念。
初めての円形劇場、しかも中劇場に進出するのですから、公演を実施すること自体のハードルが高かったことは言うまでもありません。役者さんについては初日ゆえの硬さもあったと思います。
ミュージカル「火の鳥~鳳凰編」
わらび座
パルテノン多摩【旧情報】(東京都)
2008/03/28 (金) ~ 2008/03/29 (土)公演終了
満足度★★★★
力のある美しい歌声に涙
とにかく歌声に圧倒されました。澄んでいて美しい、そして声量も文句なし。オープニングの合唱でまずノックアウト。自分の出番だからじゃなく、作品のために、歌のために歌ってる役者さんによって作られているミュージカルだと思います。プレビュー2000円はオトク過ぎ!来月も行きます。
ミステリア・ブッフ
TPT
ベニサン・ピット(東京都)
2008/03/22 (土) ~ 2008/03/31 (月)公演終了
満足度★★★★
台本・演出が素晴らしい!
90年前のロシアの戯曲が今を描く演劇として新しく生まれていました。上演時間は約2時間45分(15分の休憩を含む)と少々長い目ですが、こんなに壮大な世界ですから納得です。対面式客席のベニサン・ピット。衣裳が豪華でおしゃれ!
新・こころ
劇団フライングステージ
駅前劇場(東京都)
2008/03/19 (水) ~ 2008/03/26 (水)公演終了
満足度★★★★
「こころ」を読み直したくなります
フライングステージならではの解釈で「こころ」の隠された(?)世界を見せてくださいました。すごく面白かったです。上演時間は約2時間10分。ポストパフォーマンストークも濃密・充実。
シナトラと猫(改訂版)
MCR
駅前劇場(東京都)
2008/03/11 (火) ~ 2008/03/16 (日)公演終了
満足度★★★
思いっきり笑えました~♪
MCRは作・演出の桜井智也さんのギャグが個人的にとってもツボ!MCRというと「笑える!」という期待を胸に劇場に伺います。そして今回もまたその期待を裏切られることはありませんでした。これでもか、これでもかと細かく笑いの種がまかれ、気持ちよく刈り取られていきます。豊作っ!
今回は3本それぞれの主役が生まれて死ぬまでを描いているそうですが、私が拝見したのは奔放な母親を持った三姉妹の次女「椎名」(黒岩三佳)が主役。「虎雄」「猫」も椎名の人生に少なからず関わる人物(猫)として登場するので、彼らが主役のバージョンも観たくなります。
特徴的な個性を持つ登場人物たちが、それぞれにちゃんと自己主張をして存在しているので、おのずと人と人との関係性が現れてくるんですよね。作品全体の印象としては一見コント風ですが、人間関係もしっかり描かれているから、物語の中までぐっと入り込んで楽しめるのだと思います。
オペラ流刑地にて
東京室内歌劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2008/03/14 (金) ~ 2008/03/16 (日)公演終了
ムネモパーク
NPO法人アートネットワーク・ジャパン(ANJ)
にしすがも創造舎 【閉館】(東京都)
2008/03/14 (金) ~ 2008/03/17 (月)公演終了
満足度★★★★
おじいちゃま・おばあちゃまが超カワイイ!
脱力系ドキュメンタリー。87分の1スイス模型も圧巻。3/17(月)まで。英語&ドイツ語上演で日本語字幕です。