雨模様の観てきた!クチコミ一覧

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グローバル・ベイビー・ファクトリー Global Baby Factory

グローバル・ベイビー・ファクトリー Global Baby Factory

劇団印象-indian elephant-

調布市せんがわ劇場(東京都)

2014/03/26 (水) ~ 2014/03/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしい!!!
難しい問題を自然な流れで筋道立てて描き、真面目にしかも面白く仕上げた秀作でした。

ネタバレBOX

代理出産という難しい問題について、依頼する側、受け入れる側、報道する側の立場から焦点を当てた素晴らしい作品でした。ついでに言うと、精子ちゃんや卵子ちゃん、胎児にもスポットが当たっていました。

不自然さは全く感じられませんでした。結婚なんて全く考えていなかったキャリアウーマンの砂子が結婚に至る過程から代理母を依頼するに及ぶ経緯も自然な流れでした。

インド取材もされたということで、インドにおける受け入れ側の事情やクリニックの様子も良く分かりました。自宅で静養しながら普段の生活を送っているのかと思っていましたが、クリニック内で食事や健康面を管理されながら暮らしていることを知り、まるでお蚕さんのようだと思いました。お腹の子に感情移入し過ぎないという心の持ちようには、胎児の成長には逆効果なような気もしますが、代理母の大変さが窺えます。

報道側が指摘した搾取という言葉は重かったです。しかし、インド人に1百万円払うのが搾取で、アメリカ人に30百万円払うのは搾取じゃないのか、自宅が建てられるぐらいのお金を払っても搾取と言われるのかと考えてしまいます。

そもそも論については本当に難しい問題だと思います。自分の遺伝子を残す方法があるのなら利用したいという気持ちは分かります。依頼する側が我が子には他人の産道を通ってほしくないからと帝王切開を希望するというのも良く分かります。しかし、そこまで行くと、餌を与えて太らせて、太ったら腹を切り裂いて取り出すまさにフォアグラ工場のようで、依頼する側も真摯な気持ちを持つことが大切だと思いました。

インドから赤ちゃんと一緒に帰り普段の生活に戻った砂子ですが、日常生活に急に一仕事増えてしまったような負担感を感じ、本当は赤ちゃんに対して愛情を感じていないのではないかと示唆させるような一瞬の間がラストシーンにはありました。よっこいしょと言いながら動いたり、それこそ腹を痛めることがやはり母性の醸成には必要なことなのかとガツンとやられましたが、そんなことを言い出したら養子の親子関係は成立しなくなり、決してそうではない、これから真の母性が芽生えるのだと信じたくなりました。

ところで、精子や卵子が登場すると、普通はおちゃらけてしまって失敗するものと思っていましたが、ストーリーに上手く溶けこんでいました。精子というと男性という発想になりますが、女性が演じたのも効果的だったように思います。簡潔な着ぐるみも良かったです。

夫の勤務先が包装資材に関する会社というのも、子宮頸がんの説明や精子を採取する際の小ネタに利用されていて、考え抜かれた演出に感服しました。

難しい問題をこんなに面白く描けるなんて本当に素晴らしいと思いました。
僕はそれを、青と呼ぼう。

僕はそれを、青と呼ぼう。

姫君

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2014/03/26 (水) ~ 2014/03/30 (日)公演終了

満足度★★★

【<RED>チーム】観劇
配役について考えさせられました。

ネタバレBOX

子供の頃に経験した親友の死を自分の責任だと強く感じてしまったために、その親友が現実に存在するように、そしてその親友と自分が入れ替わったような妄想を見ている女性を治療する話。

他の人には見えない女性は可愛いのですが、現実に存在する方の主役の女性が登場した途端、<RED>チームの姉御のような人なので主役は彼女以外考えられないのかもしれませんが、ブラジャーで締め付けた背中の側面辺りが段差になっているのがセーターの上からはっきり見て取れ、いきなりげんなりしてしまいました。

友人を救うために他人を疑ってかかるという割には渡された薬を簡単に飲んでいました。複雑な妄想ではありますが、薬の効果もあってか、他の人には見えていないことが指摘されると彼女は素直に受け入れたようでした。説明して理解できるのなら、じゃあこれまでの長期間の治療はいったい何だったのかと不思議に思いました。

ロボトミーなんて怖い言葉も飛び出しましたが、せっかく治りかけているのに可哀想なことです。
『あら、救急車』   『夜まわり隊』

『あら、救急車』   『夜まわり隊』

ATラボ

高田馬場ラビネスト(東京都)

2014/03/27 (木) ~ 2014/03/30 (日)公演終了

満足度★★★★

【土屋直子さんの回】観劇
ギィ・フォワシィ作品、毒があって面白し。

ネタバレBOX

『夜回り隊』   異常に粘質的な男に絡まれてしまった男の悲劇。

捜査権もないのに捜査すんなって。しかし、一方的にイジるだけの話と言えばそれまでで、オチでもあれば良かったのですが。暗転してから何かあったようですが、虐められた子どもが両手を振り回して暴れ出すくらいじゃ大逆転とは言わないし。


『あら、救急車』  思わぬシュールな大逆転。

死ぬ死ぬと言っている人ほど元気なのかな。他人の部屋で死ぬなんて確かにはた迷惑。
VS(ヴァーサス)

VS(ヴァーサス)

演劇チーム 渋谷ハチ公前

赤坂RED/THEATER(東京都)

2014/03/21 (金) ~ 2014/03/30 (日)公演終了

満足度★★★★

ゲイサービス
最近の韓国演劇かと思いました。

ネタバレBOX

ラスト間際の悲劇に結びつけるためには必要だったと後で理解しましたが、冒頭のシャワーシーンはゲイや女性向けへのファンサービスかと思わせるぐらい長く退屈でした。

スパーリングとはいえ、二人がリングでグローブを交えることが永久にできなくなったのは切なかったです。

それにしても人の心は複雑です。っていうか、舎弟がボクシングの道に進むことを最後まで憎々しく思っていたのならともかく、舎弟の独立を許し、もう一人の舎弟にも足を洗うことを勧めるくらいのヤクザが、自分がボコボコにされたことや舎弟の気持ちを動かしたことへの逆恨みで元プロボクサーを刺し殺したりするものでしょうか。

「空飛ぶ広報室」で存在感のあった高橋努さんですが、為にすることがあってのシャワーシーンという感じでした。少しわざとらしかったということです。
学校の催眠室

学校の催眠室

enji

OFF OFFシアター(東京都)

2014/03/21 (金) ~ 2014/03/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

最高、素晴らしい!!!
当日パンフレットに初稿は捨てたとありましたが、それも関係してか想像していた内容とは全く異なっていました。そして、それは大成功でした。

観劇を予定している方はネタバレを見ないでください。

ネタバレBOX

もう一つの『楽屋』であり、もう一つの『飛龍伝』のようでもありました。

食堂のオバちゃんが元女優小野文子の幽霊と分かったときにはハッとし、何かもやっとしていたものが晴れ、一気にホロッと来ました。一番感動したシーンでした。

舞台は少し傾きかけた太陽映画の撮影スタジオのバックヤード。後でピンク映画の女優さんだと分かりましたが、得体のしれない女性がうろうろしていても誰も気にも掛けない雰囲気があったことが文子を幽霊と気付かせない最大の要因でした。素晴らしい煙幕の張り方にしてやられました。

私は幽霊物が嫌いです。幽霊と話のできる都合のいい人がいて、さらにその人が幽霊の言葉をみんなに伝えることによって問題が解決するという安直な方法が大嫌いですが、本作品では劇作家が文子の言葉を伝えようとしたときに、みゆきが全く同じ言葉を喋り始め、直接伝えなくて済みました。

監督との長い付き合い故に監督を奮い立たせる気持ちは全く同じということで、そう来なくっちゃと思いました。ただし、その後で文子の言葉を劇作家が口伝えで伝えた箇所があったのは残念でした。

刑事を他の監督の組の人と勘違いしたのも理解できます。今なら単なるストーカーでしょうが、安保闘争が終わり、ロマンポルノを始めようとする70年台初頭なら成り立つ話だと思いました。

さらに、SMの練習が終わっても天井に輪になった縄が残っていたこと、華奢な助監督、文子が主演になるはずの映画が過去に一日だけ撮られて中止になったことなど、無駄な部分が全くなかったのも素晴らしい点でした。偉人が出てくるような妄想シーンもなく、余計な部分もありませんでした。

面白くて、ホロっと来て、健康的なエロチックさもあって全てが完璧で、今年観た作品の中で一番でした。
東京パフォーマンスドール PLAY×LIVE『1×0』(ワンバイゼロ)  NEW VERSION エピソード1&2&3

東京パフォーマンスドール PLAY×LIVE『1×0』(ワンバイゼロ) NEW VERSION エピソード1&2&3

キューブ

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2014/03/24 (月) ~ 2014/04/08 (火)公演終了

満足度★★★★★

【エピソード1】鑑賞
ようやく全員の顔と名前が一致するようになりました。

ネタバレBOX

9人体制に対応させるためのニューバージョン。これで本編にTPDDASH!!から応援が入ることはなくなりました。

みんなかーいくて、入場時に配られた無線で発光するリストバンド型ライトが時々光り、DAY×DAY、SO、STEP×STEP♪とノリも良く、アンコールではみんなでJust Weekend Paradiseと声を合わせ、楽しかったです。
組曲『演習』

組曲『演習』

ENBUゼミナール

シアター風姿花伝(東京都)

2014/03/25 (火) ~ 2014/03/26 (水)公演終了

満足度★★★★

やはり演習か
卒業生のためには長編をやり遂げさせてあげた方が良かったのではないかと思いました。

ネタバレBOX

当日パンフレットによると、準備体操のようなシーンも入れての12編の短編集。

良く言えばほさかようさんのエッセンスが詰まったものとも言えますが、悪く言えば過去の作品から小品を寄せ集めてきただけのようで、新鮮さや、今回のために、卒業生のためにという熱意は感じられませんでした。

男女間の嫉妬を描いた話かと思ったら幼児に対する母親の感情を表現したものだったというヘンゼルとグレーテルを元にした話は記憶が曖昧ですが、女社長と秘書の話は鮮明に覚えています。

メールの語尾の「ね」などを愛情と考え、プロポーズされたように思い込む女性の話とか、浮気の兆候通りの行動を取る彼女の話、先ず身近なものを書いてみるといった話も記憶にあります。最後まで行くと悲しいので途中までを延々と繰り返すロミジュリは、まさに『深海のカンパネルラ』と同じです。

皆さん、受講生から役者あるいは作家・演出家へ進まれるということですが、演技力は備わっていたと思います。
マジカル十条

マジカル十条

ポリタン煉瓦亭

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2014/03/19 (水) ~ 2014/03/23 (日)公演終了

満足度★★★★

そこそこの人情話
何かまあるくなり過ぎのように感じました。

ネタバレBOX

写真屋の主が帰ってくるというのでてっきり男の人かと思っていましたが、20代後半ぐらいのさちこという女性でした。ちょっと驚き。

写真屋を諦めた後で隣の豆腐屋を手伝っていたときにさちこが結婚を意識したこともあるそこの若旦那、会社勤めをしている弟とその恋人、それにとんかつ屋のご主人夫婦が彼女の帰りを待っている一日の話。

その間に、喧嘩の絶えなかった弟と恋人は結婚を決め、奥さんの浮気を心配していたとんかつ屋のご主人も疑いを消し去ることができ、いよいよ帰ってきたさちこに豆腐屋が馬鹿野郎と声を掛けてエンディング。

万人受けするようなそこそこの人情コメディに仕上がっているではありませんか。腕を上げたというか、地下鉄に拘るあまり、地下鉄の駅かJRの駅か微妙な中野駅の近辺を舞台にして、白っぽい色と青色のワンピースを着たアンドロイドを登場させるような話に、色々ツッコミを入れていた頃が懐かしいです。

地下鉄に拘る必要もありませんが、こんなにまあるい話でなくても良いのではないかと思いました。
男の60分 -2014-

男の60分 -2014-

ゲキバカ

王子小劇場(東京都)

2014/03/19 (水) ~ 2014/03/23 (日)公演終了

満足度★★★★★


2014年版ということはそういうことだったのね。

ネタバレBOX

本田圭佑がサッカーに目覚めたきっかけを記した話。嘘ぴょーん。でも結局のところはそんな感じなのぴょーん。

一応正しくは、少し行き詰まった劇作家が母の死を聞いて実家に帰り、母が大切に保管してくれていた小学校時代の作文を見つけ、仲間たちとの思い出を思い出し、ラスト、母親に産んでくれてありがとうと感謝する話。

初めと終わりはまあ良くも悪くもありきたりで固定していますが、その中間の仲間たちとの思い出の部分はコント集のようなもので、公演の都度、ネタを加えたり削ったりできるフレキシブルな作品です。汎用性があります。

怪獣に壊される直前の摂津の町の建物に居合わせた人たちの様子を描く怪獣ごっこという遊びは一つ一つがコントになっていて、幾つも幾つも作れるので延々と続きました。時間稼ぎにもなりますが、面白いので納得しました。

Kと名乗った少年は理論派でしたが野球はからっきしダメでした。サッカーボールが出てきた段階で、あれだけ顔が似ていればKとは圭佑だとすぐに気付きましたが、有名な小学校時代の作文も上手く利用したりして最高でした。現在の姿もホントそっくりでした。

圭佑に努力の大切さを教え、未知の領域へと誘ったのが劇作家のお母さんだったというのが凄いところです。劇作家もお母さんからこのように諭されて入れば良かったのにと思いますが、他人の子にだから言えるということもあり、自分の母親からだといい加減に聞いてまるっきり覚えていないということもありますね。

劇作家の実家を摂津に設定したのもそういうことだったのですね。
『Ravine wolrd』 『人格形成手術』

『Ravine wolrd』 『人格形成手術』

劇団東京パレット

pit北/区域(東京都)

2014/03/20 (木) ~ 2014/03/22 (土)公演終了

満足度★★★

『人格形成手術』観劇
面白いサスペンスでしたが、ツッコミどころもありました。

ネタバレBOX

脳内に亡くなった人の脳の一部を移植することで亡くなった人の人格が蘇る、即ち二重人格にするような手術を開発した医者と、手術を受けた人たちや研究室のメンバーを巡って展開するサスペンス。

相思相愛の関係なら他人の身体で生き続けることに満足しますが、そうでない場合は悲劇です。12歳の少女にとっては美人のお母さんであっても醜く年老いた老婆のように感じてしまうようで、結局自殺してしまいました。

そして、その医者も実は自分が殺してしまった恋人であった女医の脳の一部を移植しており、今や身体は女医に乗っ取られていることが判明し、そもそも人格形成手術を開発したのも女医だったのではないかというどんでん返しは面白かったです。

役者さんたちの演技はまだまだこれからだと思いました。

ところで、上司を訪ねて来たお客さんから名前が聞き出せなかったのならともかく、聞いていたのに知らない人とだけ伝えて、「まあいい、通しなさい」と言われた後に、ドアを開けて「久我原さんどうぞ」という部下の台詞には度肝を抜かれました。皆さん、正直、就活もまだしていないくらいの学生さんなんだなと思いました。そして、大正大学、王子と来れば、久我原じゃないだろう、西ヶ原だろうとツッコミを入れたくなりました。

他にもツッコミどころはたくさんあるのですが、そもそも開発したのが医者であれ女医であれ、医者の脳に女医の脳の一部を移植する手術をしたのは誰だったのでしょう。手術方法を事細かに記載したノートでもあったのでしょうか。第三者の医者にやらせ、その後で殺してしまったのでしょうか。色々考えてみました。
南京・Nanjen

南京・Nanjen

メメントC

Geki地下Liberty(東京都)

2014/03/21 (金) ~ 2014/03/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

たった一つの言葉
全ての始まりでした。

ネタバレBOX

「捕虜は捕らない」、全てはこの指令から始まっていました。

それまで泥水をすすり、泥水で炊いた飯を食っての行軍を経てようやく辿り着いた日本軍が、国民政府の首都南京を攻略したら幹部たちは逃げていて、残された大量の国民軍兵士を前にして捕虜にしないとなるとどうすればいいんだということになります。無茶な指令でした。

中国人経済学者が四ヶ月もの間死体の処理をしていたという言葉も衝撃的でした。南京陥落直後の混乱時ならまだしも、狂気がそんなに長く続くものかと本当に驚きました。ただ、四ヶ月は分かりましたが、一日何人と計算して四ヶ月だから云々という計算が成り立つわけでもなく、あるいは成り立つのかも知れませんが、本当の被害者数については把握できませんでした。

心は仏に、身は天皇陛下に捧げる、胡散臭い従軍僧を通じて当時の折り合いの付け方が垣間見られたようでした。

もっとも彼の場合は軍内部の不穏分子を探るスパイも兼ねていたようですが、そして南京陥落一番乗りの端っこにもいて事態の全てを知っているはずで、結局大虐殺はあったのか無かったのかと観ている側も少しイライラしてきたところでの「捕虜は捕らない」発言があり、中国人学者からの四ヶ月発言が続き、とうとうリベラルな日本軍宣撫工作員も隠蔽に走ることを決意するという、ラストの怒涛の流れには息を呑みました。

登場人物それぞれに背負っているものがあり、その辺りの描き方が本当に素晴らしかったです。
夜の来訪者

夜の来訪者

03

ザ・ポケット(東京都)

2014/03/19 (水) ~ 2014/03/23 (日)公演終了

満足度★★★★

どんでん返しというよりは
一連の流れの乗って自然に流れていったという感じでした。

ネタバレBOX

一人の女性にまつわることなのか、複数の女性に関することを一人の女性の話のように見せかけたのかは別にして、婚約祝いの席に居合わせた裕福な人々は地獄の門番のようなグール刑事にそれぞれが出会った女性に対して行った行為を正直に話しました。後悔した人もいれば、後悔しなかった人もいましたが、Gool刑事のolをくっつけるとdになり、神に問われ、懺悔した人としなかった人がいたということでしょう。

その後、警察関係者に刑事の在籍を確認し、病院に自殺者の搬送の有無を確認しましたが、そのこと自体がグール刑事の狙いでした。電話で確かめさえしなければ最後に電話が来たり、刑事が来たりすることはありませんでした。自らが公にしたのでした。このことをどんでん返しというのかもしれませんが、そこまでの感じはありませんでした。

トンネルの入口と出口のような舞台で、暗転後に入口と出口を入れ替えたような役者の配置の変化は心地良かったです。

ちょっと素人臭い面も見受けられましたが、ゆっくりしゃべることでギリギリ持ちこたえていました。
久保田万太郎 「弥太五郎源七」「一周忌」

久保田万太郎 「弥太五郎源七」「一周忌」

みつわ会

六行会ホール(東京都)

2014/03/18 (火) ~ 2014/03/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

年に一回
しみじみ浸ります。

ネタバレBOX

『弥太五郎源七』  57歳弥太五郎源七、ちっちぇー野郎だぜ。

しょぼんと自宅で座っているシーンが延々と続き、それでもそれが様になっているのが大したもんでした。

若い新三にいいようにあしらわれ、以後顔役としての権威も地に落ちたことを恨みに思い新三を殺害。帰りに寄った居酒屋で亭主夫婦に返り血を見られたことで夫婦も殺害。この時点でも堅気に手を出す小さい男だと思いましたが、弥太五郎の犯行との噂が広まり、子分からの自訴の勧めに納得したはずなのに、捕吏が来ると逃走しようとしてしまうちっちぇー野郎でした。

『一周忌』  若くて美人の後家さんは誰も放っておかないということでした。

夫が亡くなって丁度一年、未亡人の許へ保険屋さんが来て雑談をしているところからスタート。関東大震災の数年後も今も、保険屋さんはしつこいものです。

肉付きも良くなり肌ツヤも良くなった後家さんのところへは、お姉さんの旦那を始めとして下心の有無に関わらず男どもは集まり、また再婚話もこれからたくさん来ることでしょう。

35分ほどの短編でしたが、お寺へお参りに行くために着物を着替えるシーンがあり、話をしながらやり慣れたように帯を締めたりするのも大変なことだと思いました。
ショパンの馬鹿!!!~別れの夜~

ショパンの馬鹿!!!~別れの夜~

劇団東京イボンヌ

ワーサルシアター(東京都)

2014/03/18 (火) ~ 2014/03/23 (日)公演終了

満足度★★★★

転・結
思わぬ事態も起きました。

ネタバレBOX

ジョルジュ・サンドに食われるようになってから作曲が進まなくなったショパンが、彼女と別れようと考えてシューマンやリストを呼んで相談する話。

本作品はコメディと宣言したことと、シューマンは気狂い、リストはハンサムで演奏会では失神者が多数出た、ショパンは天才などと各人の特徴を一言で言い切ってくれたお陰で素直に楽しむことができました。ピアノ演奏や声楽についても音楽鑑賞という余計なことを考えずに済みました。

優柔不断なために堂々巡り、進展が無く少々ダレたところでミステリーに発展し動きが出ました。

ジョルジュ・サンドが連行され、ショパンに音楽が降ってきましたが、全ては彼女の手のひらの上での出来事でした。ミラーボールに音符の形をしたライトを当てると、客席中が音符で満たされるのですね。素敵でした。
海に降る雪を魚達は知らない

海に降る雪を魚達は知らない

ユニット TOGETHER AGAIN

劇場MOMO(東京都)

2014/03/18 (火) ~ 2014/03/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

あの手この手
原発建設予定地における40年前の地上げの様子が生々しく描かれていました。

ネタバレBOX

あの手この手で反対運動を懐柔していく様は凄まじく、基本的にはお金ですが、40年前の50百万円がどんなに高額かと考えると、先般の普天間基地移転問題で沖縄振興予算と称する毎年何千億円ものバラマキを約束された仲井真知事がコロッと寝返ったように、本気になったときの当局のバラマキのスケールの大きさには驚かされます。

借金をさせ、返済できなって土地を売らざるを得ないようにしたり、就職先を斡旋したり、更には反対運動が高じて一部に暴走する人が出て来ることを想定して、器物損壊事件などが起こるように巧みに誘導し、田舎じゃ警察沙汰などは珍しいことですからそれを取引材料にして恩を売って懐柔したりと、ありとあらゆる手段が使われたことが分かりました。

鈴木がタイムスリップした先が魚の村と呼ばれた地区だったのですが、イサキとかメバルと言われても誰が誰だか、顔と名前を一致させるのに結構苦労しました。

未来が分かっていたとしても、人々に真実を伝えることは困難です。原爆投下の前日に広島で叫んでも、騒乱の罪で警察に捕まったり、気が狂っていると思われたり、精神病院に連れて行かれたりするだけという言葉が印象的でした。スズキは、持っていた新札や平成という年号の入った硬貨をせめて置いて帰ってほしいと思いました。メルトダウンした核燃料の処理が終わった後で、その下から熱で歪んだ500円硬貨が出て来たらなんて。

年配の役者さんが多く安定感はありましたが、もっと青年らしい人もいればと思いました。瞼の母的な出生の秘密話が織り込まれたのも、やはりちょっと年齢が高いせいもあってかなと思ってしまいました。
ろだん

ろだん

643ノゲッツー

OFF OFFシアター(東京都)

2014/03/13 (木) ~ 2014/03/18 (火)公演終了

満足度★★★★

なんだよー
こっちが主かよーって感じでした。

ネタバレBOX

いきなり、ご主人と浮気して妊娠したので100万円払ってくださいから始まって、ご主人が行方不明なのは中国マフィアと関わったせいみたいな展開になり、すわっ事件かと思っていると、結局は中国に進出した工場が中国から撤退するときにはもめるものだという話になって、この一連の嘘の騒動を企んだ黒幕のろだんっていったい誰なんだ、意図は何なんだと考え込みました。

っていうか、ちょいちょい絡んでいた変なプータローの女の人が死んだ祖母をそのまま自室に隠していたことが明らかになって、なんだよー、年金詐欺かよー、脇役かと思った方が主役だったのかよーと驚いた次第でした。
スマートコミュニティアンドメンタルヘルスケア

スマートコミュニティアンドメンタルヘルスケア

青年団若手自主企画 河村企画

アトリエ春風舎(東京都)

2014/03/11 (火) ~ 2014/03/17 (月)公演終了

満足度★★★★

すげぇー
やる気のないやりたい放題、ひでぇーな。

ネタバレBOX

生徒の中にずば抜けた秀才がいるわけでもないし、どうせ複式学級だもの、通り一遍の授業をしておけばいいや、中華人民共和国が大好きで、朝日新聞が大好きで、そんな意味の言葉を生徒に復唱させて生徒の人格形成に影響を与えてやろう的な先生のぶっ飛び方は尋常ではありませんでした。

それに対して生徒の方は、こっくりさん的な遊びや結界を張っての悪霊退治ごっこ、魔女裁判的な仲間いじめばっかりで、ぶっ飛んではいましたが、独創性のないぶっ飛び方でした。先生を見習いなさいって。

心の隙間に悪霊のようなものが入り込むと恐れる生徒に、隙間があって何が悪い、みんな影響を受けている、影響を受けるのが嫌だったら心を捨てることと説く先生。先生による心の卒業式を経て、生徒たちは心を捨て他人に関心を示さない人間になりましたが、しばらくすると、苦境に陥った人を助けるという綺麗な終わり方で終わりました。

最後までひでぇーなままでいてほしかったです。
キャンディー

キャンディー

フルリールスタジオ

フルリールスタジオ(東京都)

2014/03/14 (金) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

やはり透明感と言えば
相楽樹さんいい!

ネタバレBOX

中学時代の親友で、高校進学を機にスポーツ推薦で東京に行った子と地元に残った子に別れた二人の女子高生の私生活を、それぞれの自室のシーンで描いた話。

東京では、テレビドラマ「高校教師」の世界に憧れて、念願叶って高校の先生を彼氏にしたと思ったら同居しているお姉ちゃんに取られてしまったり、地元では登校拒否になって引きこもっていたら親切な同級生が色々面倒見てくれるので友だちになったのは良かったのですが、そうしたらその子は同性が好きな女の子でビックリしちゃったりと、なかなか上手くいきません。

相楽樹さんがそんな女の子の役でこちらがビックリしてしまいました。

鮎川桃果さんが演じたお姉さんは内面も外面もホワンとしていて、先生の気持ちが移ろうのも分かります。とは言っても、リベンジ告発があるからというわけではありませんが、常に考えながら行動しないといけません。

生理が来ないというので登校拒否の原因と関係あるのかと心配しましたが、初潮が遅い人もいるとかで取り越し苦労でした。結局登校拒否の理由は何だったのでしょう。

ライティングはスタジオの天井に普通に設置されている蛍光灯、もしくは蛍光灯型LEDのみでした。お化粧との関係でしょうか、特にLuckyColor’sのお二人のお顔の色がライティングと合っていないように感じられました。
仮面狂想曲

仮面狂想曲

戯六遊

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2014/03/14 (金) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★

仮面を外すとお終いだし、
仮面のままではいつまで経ってもスカッとしないし。

ネタバレBOX

復讐屋と、復讐屋の仕事を知りながら情報源として利用する刑事の、世を欺く仮面を被った二人の話。今回は、復讐屋が依頼人からの依頼に派生させ、10年前の真の連続婦女暴行殺人犯を別件で警察に逮捕させることによって真相を明らかにするという感じのストーリー。

シリーズ化する気配もありますが、熱血女刑事は結局空回りで、しかもダークな刑事が熱血女刑事に恋をするという設定では、毎回事件を解決したとしても心の底からスカッとすることはできません。残念です。

二人を闘わせ、どちらが死んでももう一方が殺人犯になることで手を汚さずに両者への恨みが晴らせると考えた依頼人の発想は良かったです。傍からロシアンルーレットを楽しむような感覚が味わえました。
Blue Marble

Blue Marble

STEPS Musical Company

座・高円寺2(東京都)

2014/03/14 (金) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★

脇の甘いSF
ミュージカル仕立てでやるにはこれくらいがちょうどいいのかもしれません。

ネタバレBOX

赤く汚れた22世紀の地球、人類は人類移住計画の一貫として光速を超えるロケットを開発していて、その1号機の試運転実験に関わる話。

太陽フレアの異常活動が原因で起こった事故で大怪我をした赤ちゃんたちを救うために、同じ事故で死んだ赤ちゃんの手、足、目、耳をそれぞれ失くした4人の赤ちゃんへ移植しますが、その後に死んだ赤ちゃんが蘇生。サリーと名付けられたその赤ちゃんは、失った組織を機械に置き換えながら成長し、ロケット開発及びパイロットを養成する学校ブルー・マーブルに入学します。移植を受けた側のキャサリンたちも入学しました。

その後、パイロットに選ばれたサリーは100光年先まで行ったものの事故で帰還できなくなりましたが、キャサリンがロシアのロケットで救出に向かい成功。地球の方向を見ると、そこに届いた光は21世紀のもので青い地球が見えました。

サリーがサイボーグだということがバレて一悶着ありました。知らなかったこととはいえ、ケチを付けたのが移植を受けた側だったというところが如何にも皮肉。入学時にメディカルチェックは無かったんかいとツッコミを入れたくなる辺りが、SFをミュージカル仕立てでやるにはピッタリの脇の甘さ加減でした。

音程が合っているのか分からないような低音でいきなりボソボソ歌い出すのは実力的に無理があります。かと言って、半音ずれた音を大声で聞かされるのも苦痛です。特に男性がひどかったです。

女性陣の顔が皆さん個性的だったのが良かったです。

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