満足度★★★★
女性女性して
女性の性欲や女性の性に対する関心を垣間見たようでした。
ネタバレBOX
性や身体を構成する食についての女性の立場からの話、かな。
昔は月経の血液を骨盤辺りで固めてトイレでひり出していたのだとか。ズロースが無く、腰巻きだけだった時代にはそうだったのかのかもしれないと、女体の神秘に妙に納得しました。
犬のフランシーちゃん改めハワイちゃんが可愛く、お母さんが公園で妊娠したために名付けられたという園子も楚々として美しく、紡ぎ出される言葉とのギャップに少しドキドキしました。
部屋に入ると映像に切り替わり、部屋を出ると実演に切り替わるパフォーマンスもスムーズで楽しかったです。
満足度★★★
全てが台無し
あの立ち姿は気色悪いだけでした。吐き気すら起こりました。
ネタバレBOX
自殺未遂をして言葉がしゃべられなくなって入院したままのK子(仮名)は美人とのことでした。スライドや配役表には女優のような名前が書かれていましたが、あれは人形の名前だったのでしょうか。女優が足りないのなら人形のままでいいじゃないですか。男が女物の下着を付けて美人のK子ですと言って後ろ向きですっくと立っていても気色悪いだけでした。吐き気すら起こりました。
K子を恋敵と思っていた女子生徒を頭にしたグループがK子の情報を出会い系サイトに流したのが自殺未遂の原因ではなく、落ち込んでいたK子に対して当の男子生徒がキスとか迫って身体を触ったからのようでしたが、何じゃそれ、レズビアンで男に触れられたのがよほどショックだったのか、よく分かりませんでした。
泡吹いて倒れたらやはり救急車を呼ぶか、せめて誰か付いていてあげるべきでしょう、普通は。結局、同級生たちは全員倒れましたが、眠っただけなのか死んだのか、それとも単なる比喩なのか、サッパリ分からずじまいでした。
満足度★★★★★
執着、依存
全体に前作品と同じような印象を受けました。
ネタバレBOX
子供の頃からいじめを受け、このお寺に入ってからも先輩たちからの暴力がトラウマになり、暴力を見聞きするだけで身体が硬直してしまうような英生(えいしょう)は過去を断ち切ることができず、むしろ過去に執着しています。
先輩たちの暴力を止めたとされる兄貴分の佑人(ゆうじん)ですが、実際は次のターゲットになることを恐れて暴力に加担していました。英生の先輩格ということでのみ自分を保つことができ、英生に完全に依存しています。
前住職が亡くなっていやいや跡を継いだように見えた女住職でしたが、彼女の言動は素晴らしかったです。やればできる教的な考え方についつい陥ってしまうことを悔いていました。そうなんですね。アドバイスするなとは言いませんが、先ずは話を聞いてあげることが重要で、他人にアドバイスできると思っている人は傲慢な人です。何かをすれば何かができるなどと言い出したらインチキ宗教の始まりです。そして彼女の潔さの真骨頂、もう一度暴力事件が起きたら寺を売るという約束を即実行しました。そんな彼女でも、過去の暴力事件も今回の暴力沙汰も本質を見抜くことはできませんでした。それも現実です。
新たに入った男の、相手の本性を覗き見る能力には恐れ入りますが、短絡的な行動には小人振りが表れています。もったいない限りです。
英生の立場からすると、英生と佑人は離れなければなりません。そのことを本能的に気付いたかのように英生は火を付けたのでした。
ところで、冒頭で女住職が天国という言葉を使っていましたが、そこは極楽浄土でしょうと思いました。
満足度★★★★★
【Bチーム】観劇
友人たちを絡めたことで楽しくアレンジされていましたが、物凄く生々しい不倫劇でした。
ネタバレBOX
上演前、サザンやSMAPなどのヒット曲が流れていましたが、開始直前には竹内まりやさんのOLの不倫を歌った「マンハッタン・キス」が流れ、切ない雰囲気に包みこまれました。素敵な入り方でした。
藤吉みわさんの熱演が光っていました。学生時代は恋愛に明け暮れていたと何かのアフタートークで聞いたことがありましたが、恋多き女性の体験を活かしたかのような生々しい不倫劇で、心の底から吐き出した本質を突いた台詞の数々は素晴らしかったです。
もっと早く出会っていればなどと、出会った順番で結婚か不倫かどちらかになるというような話はよく聞きますが、このお芝居ではそうではありませんでした。結婚によって男に包容力が増し、人間的に一回り成長したそんな男に惚れたということであって、もし男が結婚していなかったら恋愛感情に陥ることはなかっただろうと断言していました。
お腹まわりがパッツンパッツンでも、唾を飛ばすようなしゃべり方であっても、全てを受け入れてくれる上司を愛し抜いてしまったマチコでした。お腹が出ていると抱き心地がいいなどと言われると、あまりにも現実的でドキッとしてしまいます。
登場人物が全て女性というのも良かったです。友人グループ同士が敵対するのも面白かったですが、不倫は外見ではないと言いながら、喫茶店の店員にイケメン女子を配置する小憎らしさには感服しました。
決して二番目でもいいとは思ってはいませんでしたが、相手の家庭を壊すことには躊躇があり、最終的には男と別れることにしました。本心とは異なる気持ちを言っちゃたよーと嘆くシーンは真実味がありました。
ただし、赤ちゃんを産む決心はしました。養育費を請求するとすれば相手の家庭に影を落とし続けることになります。請求しないと生活は大変です。シングルマザーマチコは今後どう生きていくのでしょう。
妻のヒトミとマチコそれぞれに現れる妄想の相談相手についてですが、金魚のフクちゃんは赤いのに左前のおべべ姿で最初びっくりしました。羊のぬいぐるみメリーは、後半のダンスのキレが素晴らしく驚きました。
満足度★★★★★
何だか不思議
「やっぱり猫が好き」を見ているような感覚でした。
ネタバレBOX
大学のサークルではちょっと普通の常識から外れたような他愛もないじゃれあいのような日常が流れる中、主人公の女子大生はさらにもう少し振れ幅の大きい行動を取る不思議ちゃんなので、普通の常識を超えたみんなでさえ彼女に振り回されてしまうといった感じの話でした。
お父さんとの確執から、パン屋をしているお父さんのところでフランスパンを振り回して気持ちをぶつけ、メロンパンを大量に持ってきてしまったり、これが強盗、部室の様子を盗み聞きしていた他のサークルの男子をバットで殴ったり、これはやり過ぎ、サークルで何か実績を残さないといけないという気持ちから世界図形会議という学会の発表会への参加に拘ったりしていました。
実績を残さなくてもいい、仲間と楽しく過ごすことが大事と諭され、焦った気持ちが少し落ち着いたようでした。
閉鎖された特殊な環境の、ちょっと高揚したような人たちの常識で描かれたストーリーは、まるで「やっぱり猫が好き」を見ているような不思議な感覚を覚えさせてくれました。
役者さんが上手過ぎるとこの感覚は味わえないのかもしれません。そこそこの上手さだったことが功を奏したような気がします。ただ、劇団員の人はもう少しかなとは思いました。
満足度★★★★
似非には似非で
目の前の浅野温子さんはお綺麗でした。
ネタバレBOX
お陰様という誰にでも受け入れられる大切な気持ちをことさら強調して、またまた新興宗教を興したマリアの話。
挨拶が大切だとか、読書が大事だとか、否定できないことを掲げてコマーシャルをしている新興宗教には腹が立ちます。
大沢健さんからティッシュをもらったり、浅野温子さんや小野了さんも目の前まで来てくれたので悪く言えなくなるようなところも新興宗教の手法に似ているのでしょうね。
似非には似非でと、また一回だけインチキ宗教で金儲けさせてもらいました的なマリアの言葉でホッとしました。
ま、本シリーズはパロディですが、ホルモン異常者が開くこういう集会やインチキ宗教の勧誘には気をつけましょうということです。
満足度★★★★★
大雨、避難
非日常の中では人は高揚し、余計なことをしゃべってしまうものなのかもしれません。
ネタバレBOX
大雨で避難した今は地域センターとなっている出身高校の元校舎で、管理人をしている同級生や他の避難してきた人たちと一緒に過ごすことで、非日常の高揚した雰囲気のせいか、集まった人たちの嘘や秘密が暴露され、さらには高校時代に自殺した友人の死の真相が明らかにされる話。
買ったばかりというスマホ男の空気の読めない言動があまりにも異常で、ストーリーの進行上においてもちょっと浮いていて、やり過ぎの感はありましたが、若い人の中にはそこまで酷い人もいるのかなと最終的には受け入れることにしました。
知りたがりの割には何も知らないのねが意味深でした。
友人の死は自殺か他殺か謎めいたり、地元を離れない同級生の本当の理由や自殺の理由が自分に起因していたことが判明するなどミステリアスで面白かったです。さらに、過去の猟奇的な犯罪を隠蔽しようと新しい殺人が行われるところまでは想像していなく、狂気的な展開にはとても感心させられました。
満足度★★★★
蛙の子は蛙
実際にはあまり聞いたことはありませんが、知らないだけなのかもしれません。
ネタバレBOX
オカマになって母と自分を捨てた父親を恨み、今も続く亡き父が開いたオカマバーを潰そうと隣にキャバクラを開店させた息子の複雑な心境を描いた話。
いきなりの幽霊物。しかも、最初はママさんにしか見えないのかと思っていましたが、結局はオカマなら誰にでも見えて会話ができるという安直な代物でした。じゃあこの十年、何で見えていなかったのって感じです。
廃業を賭けてオカマバーとキャバクラで指名競争をしようということになりましたが、キャバクラができて閑古鳥が鳴いていたはずなのに、幽霊からショーのノウハウを伝授されたのでしょうか、それにしても相手は若い女性ですよ、オカマバーの方が勝った理由がよく理解できませんでした。
息子も父親の辿った道を歩みそうです。いったん彼を愛しているキャバ嬢と結婚して、子どもができて、そしてオカマに目覚めるのか、女装に目覚めるのか分かりませんが、そっち方面に行き、妻子を捨てることになるのでしょうか。もしかしたら、夫はオカマバーを、妻はキャバクラを経営することになるのかもしれませんね。
役者さんたちは真剣に演じていました。そのせいかちょっとどんよりめ、キャバ嬢も陰気過ぎでした。暗転もやたら長く、途中の歌も長過ぎました。
満足度★★★★★
面白くて素晴らしい!!
ビターなケーキに甘さ控え目のクリームを乗せ、その上にパウダーシュガーを大量にぶっ掛けたような感じ。
ネタバレBOX
少し重い話に、軽めのエピソードと、とんでもなく軽いエピソードをまぶしたストーリー。
弁護士事務所を閉めようとする正にその日に、担当した事件の被害者の娘から真実の開示を求められ、汚い手を使って殺人犯を無罪にした弁護士が自責の念に駆られ、弁護士を廃業しようと思い至った経緯が次第に明らかになっていくという職業倫理を問う真面目で重たい話を中心に、ストーカーと劇団主宰者の間の戯曲盗作騒動や中華料理屋夫婦の離婚騒動、さらには有名弁護士のカツラ疑惑騒動が絡んだ爆笑コメディ。
大物弁護士が頭に靴下乗せたり、包帯巻いたり、笑いっぱなしでした。
真相が明らかになり、娘も父親の実態を知りある程度の理解を示しましたが、弁護士廃業についての決意が変わらないところが職業倫理の重たさを示していました。
東京AZAЯASHI団の面目躍如といった感じの作品で大満足でした。
満足度★★★★
ハッキリさせないで
もやもや感を残してほしいと思いました。
ネタバレBOX
アフタートークでワハハ本舗の佐藤正宏さんが幽霊をお婆さんの方にした方が時代を変えたりするアレンジができて良いのではとおっしゃっていましたが、私もちょっと似たようなことを考えていました。
途中で、説明された前提のままでは面白くないなと考え、ラス前でお婆さんが敬礼してしょぼんと去って行く様子から、死んでいるのは本当はお婆さんではないかと思いました。
そんなもやもや感が心地良かったのですが、ラストで35歳の女性が奥の階段を登って行くシーンを見るにつけ、何もそこまでハッキリと死を明示しなくても良いのではないかと思いました。しかも、帰って来たヨッパライの曲付きで。
もしかしたら、アトリエ春風舎の構造故に階段を利用したのかもしれませんが、二人は別れるだけで十分でした。おらは死んじまっただー無しでね。
そしてもっと言うと、顔と身体を隠して意見を述べるネット社会に生きる若者そのものが幽霊のようだで十分のような気がします。何も幽霊物にする必要はないと思いました。
ところで、移動コンビニのお婆さんの、ウルトラマンとバルタン星人の会話路線の話は奥は深くて面白かったです。ド派手なリヤカーに取り付けられた法定速度走行の木片が法廷速度走行になっていたのはご愛嬌でした。
満足度★★★★
フェチ
全く趣の異なる川端康成の三作品ですが、連続性を持たせるちょっとした工夫がありました。
ネタバレBOX
『水晶幻想』 原作:川端康成 演出・振付:山縣美礼
女優さん一人によるダンスパフォーマンス。赤と黒の派手な衣装に対し、食卓には白のお茶セットにゆでたまご、天井から白い粉末を浴びながらの演技があり、最後はゆでたまごを口にくわえるシーンで終了。
白に性的なものを感じました。発生学を研究している夫と妊娠できない妻の関係と微妙な感情を描いた原作が基になっているとのことで、白い粉末は卵の殻を粉々にしたものでした。ちょっと吸い込んだかもしれませんが、骨元気と思って頑張ります。
『片腕』 原作:川端康成 演出・脚色:ノゾエ征爾
朗読劇風普通のお芝居。床には白い粉が散乱したままで舞台装置の置き換えが行われました。読み手のメガネに白い粉が付いていて読みづらいという設定から入って連続性を確保しました。
女性から片腕を借りて帰って家で何やら変なことして楽しみたいと思っている男の話。川端が晩年になって睡眠薬を摂取している時代の作品とのことで、こんな妄想を抱いていたのかもしれません。それにしても腕フェチ、色んなフェチがあるものです。
『少年』 原作:川端康成 演出・脚色:劉 亮延
下手側の奈落から突然飛び出した片腕が腕フェチ男の足をつかまえるというショットから入り、またまた繋がっていきました。
川端が50歳の頃、少年時代の日記や同級生清野とやり取りした手紙を基に構成した作品で、ダンスとくしゃくしゃになった厚手の紙に書かれた原作中の文章をアトランダムに読み殴るという男優さん一人によるパフォーマンスでした。
赤い文字で書かれた紙と黒い文字で書かれた紙があって、手紙のやり取りらしさを感じました。アフタートークで当時同性愛的感情があったことが分かりましたが、しっちょうさん、しっちょうさん、という言葉が多く、室長さんだとは思うのですが、女郎屋の女郎が最近ご無沙汰の馴染み客に書き送った手紙を読んでいるようで、あまり少年という印象は受けませんでした。
満足度★★★★
藪の中
ああでもないこうでもないの、ああでもとこうでもしかないのに、2時間10分は長過ぎると思いました。
ネタバレBOX
祖母の浮気が原因で祖父が自殺したとされる40年以上も前の事件を巡り、結婚を控えた孫娘が真相を探ろうと、分析力の優れた小説家に事件の解明を依頼する話。
藪の中のようにああでもないこうでもないがありましたが、祖母の日記と祖母の浮気相手とされる探偵の手帳が残されており一応の結論が出ました。祖母は作家だった祖父の浮気を疑い探偵を雇ったのですが、祖母に惚れた探偵が祖父の浮気をでっち上げ、あるいは藪の中の話ですから全くなかったかどうかは分かりませんが、もしそうだったとしてもことさら強調することによって祖母を自分に振り向かせた結果男女の関係になったようです。そして、妻の浮気にショックを受けた祖父は三島由紀夫の割腹自殺の影響もあってか、自殺したというのが真相のようでした。
祖母がとことんの淫乱症ではなかったことが判明し、孫娘は安心したようでしたが、小説家は実は探偵の息子で、事件の解明が主目的であったとは思いますが、恐らく孫娘には淫乱なおばあさんの孫という噂が立って、恋愛が上手く行かなかったり縁談が壊れたりした過去もあったのでしょう、何も知らずにぬくぬくと小説家然としている小説家が許せず、心の痛みを共有化させようという意図があって接近したのが本音だったのではないかと思いました。
Yは、最初日記に記された探偵の山中のYだと思いましたが、祖母裕美子や祖父雄二もYで思わせ振りにしておいて、ラストで三本の直線が交差する人間交差点みたいなオチが用意されていました。そんなもんどうでもいいわ、何とも小賢しい設定で、そんなこと考えているから無駄に長くなってしまうんだと思いました。
満足度★★★★
鎮火
消しても消しても種火は残る。
悪い噂を沈静化させるのは大変、ネット社会では二度と消えることはありません。
ネタバレBOX
推定容疑者というソフトで殺人顔とされた顔が自分そっくりだったことで、勝手に写真を撮られてネットにアップされ、世間からの冷たい視線を受け、嫌われ、就職内定も取り消された男の悲劇的なストーリー。
世間とは、溶け込んでいるときはいいのですが、ちょっと浮くと厄介なところです。
先日観た虚構の劇団 『グローブ・ジャングル』もネットで炎上した話でしたが、『グローブ・ジャングル』がコンビニの冷蔵庫の中に入って撮った写真が原因というひねりのない、時事ネタとしても陳腐な取っ掛かりだったのに対し、この作品では推定容疑者というアプリが元になったという発想力が豊かで、起点としては勝っていました。
いつまでも沈静化しないことや人生が台無しにされたことへの恨みから最初にアップした人たちへの復讐に燃える辺りも『グローブ・ジャングル』に少し似ていましたが、アップした人たちが男の出現に怯え、集団パニックで気絶したり、騒乱で殴られ気絶したところを、知的障害者の友人がブラックジャックの治療と称して刺し殺すという悲劇になりました。
死んだ猫を治療するというシーンでラストの惨劇は予想されました。そのための存在なのは理解できましたが、それにしても知的障害者のシーンが多過ぎて焦点がぼやけているような気がしました。俺お前や、ステーキを食べるシーンなどを省けばもう少しコンパクトにできたのではないかと思いました。
満足度★★★★
点火
鉄は熱いうちに打て。
有名になるのは大変、ちょっとでも名が知れたら第二、第三の矢が必要です。
ネタバレBOX
口コミ、ネット、マスコミに情報をリークするなどして、売れるためには何でもするプロダクション社長と彼に関わった人たちの話。
プロレスの業界用語を知っている少女にはプロレス風握手会で盛り上げさせることによってアイドルとしての認知度を上げ、次に企画した舞台では、作家と演出家の過去のいきさつや演出家がゲイであることなどを暴露しました。
多かれ少なかれ、芸能界ではよくあることなのでしょう。どんな大物女優でも、舞台の直前に妊娠が報じられたり、別の舞台の前に離婚騒動が起きたりすることがありました。有名になるのは大変なのですから秘密を暴露されたとしても、知名度が上がって美味しいと思って頑張るしかありません。
少女は最終的には希望通り歌手になれました。島唄風の歌を歌う地味目の歌手ですが、だとしても一度有名になったお陰です。
満足度★★★★
【Bランチ】観劇
子役さん、二食食ったよ、満腹だ。
ネタバレBOX
路地裏という洋食屋さんを巡る1984年と2010年の話。家族は血の繋がりではない、愛情の問題だというテーマのストーリー。
正志が正志だったところが驚きでした。子役さんもスラっと背が高く、絶妙の配役でした。
しかし、あんなヤクザな不動産業者があったとは。それこそヤクザがピンポイントでやるのならそんなこともあるのかなと思いますが、会社組織でやっているとは恐れ入りました。権利証が見つかったとしても印鑑証明書を偽造したり、権利証が見つからないときは保証人を立てて保証書を作成したりとかして、常に会社ぐるみで不正をやっているんでしょうか。
当日はBランチでしたが、AランチでもBランチでもはらみかさんと緒方有里沙さんが登場するのはいいですね。オレンジジュースを1リットルぐらい飲むとすれば交代でやらなきゃ身が持たないというのが本音かもしれませんが。
満足度★★★
【劇団鋼鉄村松!×宗教劇団ピャー!】観劇
両団体とも優勝はないと思いました。
ネタバレBOX
劇団鋼鉄村松 「家族がやたら恋愛に理解のあるロミオとジュリエット」(原作:ロミオとジュリエット)
親が恋愛に理解のあるという題名そのままのロミジュリ。ただし、恋愛と家同士の対立は別物ということで結婚には反対するため、原作そのままの流れで進行していきました。
ラスト、用意された薬やナイフは死に至るようなものではなく、やっぱり親たちは恋愛に徹底的に理解があり、反対したのは恋愛に味付けするためというオチでしたが、ラストを変えただけで全体を通してひねりが感じられませんでした。
宗教劇団ピャー!! 「リア王とジプシー」(原作:リア王)
女子生徒が三人の男子生徒に何かを言わせたところ辺りだけがリア王っぽかったでしょうか。
あとは、生理用品を身に付けたり、体位のようなポーズをしたりときわどいことをしていましたが、勢いでやっているので恥ずかしさなどは感じられませんでした。
劇団鋼鉄村松!はあまりにも原作に忠実、宗教劇団ピャー!はあまりにも原作からかけ離れているという感じでした。
先日観た劇団だるめしあんとMrs.fictionsのバトルはどちらも面白かっただけに少し残念でした。当日は劇団対決の投票はありませんでしたが、役者としては、アヒル口のジュリエット役の小山まりあさんが印象に残りました。
満足度★★★★★
【花總・山崎・未来・古川・山口の回】観劇
ラストは豪華絢爛、花總まりさんのベスは気品がありました。
ネタバレBOX
自分の幸せよりも責任を選んで女王になったベスの、波瀾万丈かつ恋もあった前半生を描いた話。
命の危機は何度もありましたが、姉で女王のメアリーは、もしかしたら全く血の繋がりが無いかもしれない妹ベスに対して、口で言っている割には殺すことに躊躇していたようにも思えました。メアリーの側近が、それこそ北朝鮮の金正恩並みに邪魔者は消すという考えに至りましたが、メアリーの夫としてスペインから来たフェリペの意向もあってベスは助かりました。
女王の座に着けたのはもちろん生きていたからですが、メアリーが年増のブスで子宝に恵まれなかったことと癌に罹ってしまって早世したためだったのも事実です。
楽曲的には牧歌的なものからスペイン風のものまで多彩でした。キャストスケジュール的にはかなり理想的な組み合わせだったと思います。花總まりさんは気品がありました。
歌唱としては亡き母アン役の和音美桜さんが素晴らしかったです。家庭教師ロジャー役の山口祐一郎さんの甘い歌声も健在で、愛に生きることの重要性を説くアンと、女王として国民の期待に応えるべきと説くロジャーの二人が相反する生き方をベスに同時に歌い聞かせる楽曲は素敵でした。
満足度★★★★
聞く力
初対面の聞き上手に何もかも話すのは危険です。
ネタバレBOX
人の話を良く聞く聞き上手で相手に取り入り、次第に話術と覚醒剤で洗脳して支配し、財産を搾取し尽くすと最後は殺害して死体を処分してしまう凶悪な女性に関わってしまった人たちの悲喜劇。精神的にも物理的にも怖い話でした。
オセロ中島さんの占い師と尼崎連続殺人事件の主犯の女性を一緒にしたようなイメージでしょうか。周辺調査をする辺りはホルモン異常のインチキ占い師のようでもあります。
三編のオムニバス形式、あるいは三幕物とも言える構成でした。一編目は光量的にも内容的にも暗く、偽刑事は明らか、よしんば刑事であったとしても違法捜査は明らかで、そこでああでもないこうでもないと時間を掛けて繰り返すのを見るのは辛く、少々不毛のように感じました。
ホストが浮気を隠そうと躍起になるドタバタ劇にどんでん返しが加わった二編目が明るく面白く恐ろしい小編だっただけに、これを一編目に持ってくることができたら一気に入り込めたのではないかと思いました。
満足度★★★★
凄い論理
頭の体操、面白かったです。
ネタバレBOX
冒頭での大きな箱を置く置かないのシーンは、如何にも不条理劇の体で面白くありませんでしたが、殺人事件が起こってから次第に面白くなりました。
死ぬことによって、その後その人が成すべきことをしないという罪によって裁かれ、生前に死刑に処せられるという凄い論理には感服しました。
例えば、頭痛を起こした女性がいるのに、その直前に死んでしまったため鎮痛剤を処方してあげることができなかった医者に対して、医者としての仕事が全うできなかった代償だと言って女性が頭痛になる前に犯人が医者を殺してしまうというようなことです。
死んでしまい、自分の面倒を見てくれなくなった妻に対する恨みから発想した考え方だそうです。他にも、死ぬことで料理を提供しなくなった召使いに対して、料理を提供しないという職務怠慢を罪として殺してしまったりしていました。
そしてその犯人も、本来存在しないと思われていた存在が、存在することを暗示したという罪によって、空から10トンのオモリか岩が落ちてきて下敷きになって死にました。普通の人間にできるような技ではありません。ゴドーは只者ではないことが分かりました。そして、誰もいなくなってしまいました。
犯人が殺された振りをするところなど原作に忠実、舞台には木が一本もゴドーらしくて良かったのですが、舞台中央奥に壁があって舞台裏に使っていたのは少し残念でした。ゴドーの話だけではないので仕方ないとは思いますが、あくまでも下手や上手だけから出入りする一本道がゴドーのような気がします。
体力的なこともあるのかなとも思いました。
満足度★★★★
本当に面白い話
やはり、ポーシャの頭の良さはいいですね。
ネタバレBOX
5分間の休憩を入れて2時間30分の大作でした。原作に忠実にやると、どうしても長くなるのは必定なのでしょうが、全体に少し早口かなと思いました。
アントーニオは鬱か躁鬱病でしたか、冒頭のシーンで知りました。普段はふさぎ込んでいても、バサーニオの来訪で急に躁状態になり、見境もなく保証人になってしまったのかもしれません。
ということで、アントーニオ役には痩せ型の人が適任なのかもしれませんが、肉1ポンドを切り取るシーンでは、肉を切り取るというよりも筋を切るという感じで、本当に1ポンドあるのかなと思ってしまいました。やはりアントーニオはもう少し肉付きのいい人がイメージに合うと思いました。