満足度★★★
善意と悪意
スカッとはしないですが、それが日常ですね。
ネタバレBOX
息子が教師を辞め引きこもりになった原因や娘がぐれた原因が、高校時代に妻子ある先生と交際して妊娠し、卒業後結婚した自分にもあったと悩んで失踪した母親と、精神的に参っている息子や娘。悪意のある人間や親身になってくれる友人と接するうちに、息子や娘に母の帰宅を願う気持ちが次第に高まっていくという話。
教師になった息子に悪意をもって噂を流して追い詰めること、お父さんの教師時代の事実を混ぜながらどんどん膨らませていく…、炎上ですね。いくら否定しても、直接は関係ないけれどもちょっとした真実を混ぜることで否定しにくくなる、現実社会における炎上は逃げ場が無いため、本当に怖いと思いました。
息子を格好いい時代の姿と引きこもって太った姿に分けて役者二人で演じたのは面白かったです。いずれ格好いい姿に戻りますからとアドリブ的に言っていたので、再就職したり、母親が戻って来たりするのかなと思っていましたが、戻りはしませんでした。
決して解決したわけではない終わり方、世の中そんなもんです。
満足度★★★
二人によるお芝居
そして、大半が一人によるお芝居でした。
ネタバレBOX
明治時代に国際結婚をした光子と、反ナチスで多様性を認める汎ヨーロッパを主張する息子リックの半生記。
母光子と息子リックだけが舞台上に登場し、その他の人物はそこにいると想定する手法。一方を思い出す際に離れた位置にもう一方が立っているというシーンはありましたが、それぞれに生活があるので二人が会話するのは、社交界でリックが女優イーダと出会うシーンと、リックが国外脱出を前にして光子に会いに来るシーンぐらいのものでした。
リックとリヒャルト、愛称だと分かっていながら、あれっ別人だっけかなと思ってみたり、やっぱり同じ人だよなと思い直してみたりしました。光子の台詞に長男の話と次男の話があって、そこにいる男優がどちらなのか混乱してしまってからしばらく続きました。一人一役ということを再認識してからは得心しましたが、それまでは光子はともかくそのような決め事があるとは知る由もありません。
満足度★★★★★
ウワーッ!
そう来たか、ニャン、ニャン。
ネタバレBOX
カメラを取り上げられ、タバコをやめさせられた夫が、随分と優しいことを遺言に書いているなー、大人だなーと思いました。
そうしたら、勧進帳だって!ウワーッ、のけ反りました!!
もっとも、現代の勧進帳は白紙ではありません。長男がパソコンで打ったものでした。そして、一千万円のシナリオとは。
元々の遺言は、長女を溺愛していた夫ですから妻と長男には冷たい内容だったのでしょう。それを母親を喜ばせるためと称して、妹を丸め込み不動産を母親に相続させるという内容に改ざんしました。
演劇界に進んだ長男は嘘と真実、虚構で生きるようなことを学生時代から実践していました。しかも、役者ではなく作家の道を志していました。すごい伏線です。
と思っていたら…、長男の嫁の言葉、まだこれからよ、まずは長男名義で建物を建て替えて、土地はじっくり待つ的な言葉に、それまで嫁はおどおどしていて、しかもお芝居全体が家族のバラバラ感を描いたようなストーリーだったので、一気に遺産相続のドロドロの真っただ中に叩き込まれ、おとなしそうな嫁のもう一つ上を行くシナリオライター振りに驚かされました。
思い出シーンで、猫ちゃんがタバコやめなさいって言っていたから可愛いんで、妻がネチネチ言ってたら、見ていても嫌になっていただろうなと思いました。
何かブツブツ言っている母親、そんなこともあったな、あるなと思いました。
満足度★★★★★
臨場感あり!
真面目で真摯な面はありました。…
ネタバレBOX
レシピエントの状況が同条件の場合にどちらに移植するかを決定する市民による審議会が法制化された社会での話。
Aの斎藤ゆりちゃんとBの相川ゆうきくんが対象でしたが、事前に家族によるプレゼンテーションがあったというのが何とも情緒的です。そして、医学的には同条件というものの、家族構成や経済状態が随分異なっていました。
途中、移植医療の必要性を巡るそもそも論があったり、ドナー側のことを考えたりする局面もあり、単純に行かない奥の深さが分かります。
一人っ子か、きょうだいがいる子かを斟酌する意見も出ましたが、生物学的に考えると重要な要素のようにも思えました。一人っ子を助けるとするとAのゆりちゃんになりますが、結局はAのヤンキーの娘よりも、お姉ちゃんのプレゼンが好印象を与えたBのゆうきくんが選ばれました。
公が責任を民に押し付けるための制度ですから、決まりさえすればどちらでもいいのですが、最後は、土壇場でドナーのお姉ちゃん(小学生)が反対して移植自体が中止になりました。
「あゝさらに子どもが少なくなる」と少子化を嘆く審議会委員の本音が出て終わりました。やっと大人を説得したのに、小学生に反対されちまったよってなところでしょうか。
満足度★★★★
水蒸気むんむん
二日続けて音楽劇、一つはミュージカル、もう一つは妙ージカル。別に妙とは思いませんでしたが。
ネタバレBOX
中学生の時から、恋愛、結婚、浮気もあったよ、そして一区切りの作曲の旅に出掛けて崖から落ちて死ぬまでの、音楽好きでおっぱい好きの男の恋愛的な出来事を中心とした一生の話。
明るい楽曲が主で、全体を楽しくしていました。6組の男女が恋してラブホに行って親しくなって結婚の挨拶をするようなときに使われたラップ風の曲も良かったです。
歌と踊りで熱気に溢れ、舞台は水蒸気が充満しているように感じられました。
主宰者の客いじりみたいなのもあって、最前列は少ーし要注意かも。それにしても女性陣が濃いのが印象的でした。
満足度★★★★
三人は
素敵でした。
ネタバレBOX
幸せと不幸が交互に押し寄せてきて可哀そう。
ジキル&ハイド、エマ、ルーシーの歌声は素晴らしかったのですが、普段は迫力あるのに、スースーシューシュー音漏れして、腹減ってるのかな、アンサンブルの人の方が上手いなと思わせる人がいて、そこのとこのキャストだけが不満でした。
満足度★★★★
身構えた割には
意外に分かり易く、不条理ってこともないような。
ネタバレBOX
イギリス・バーミンガム、ベッドが二つ置いてある地下室に入ってきたスーツ姿の二人、先輩格で几帳面なベンとがさつなガス。会話の内容やピストルを所持していることから、彼らは組織に雇われた殺し屋で、直前に女性を一人殺してきた様子が窺える。新聞には年寄りが車の下に入り込んで死んだり、女児が動物を殺したりの殺伐としたニュースが載っていて、ベンは自分たちの存在意義が霞んでしまうと嘆いてみせる。
地下室への差し入れはマッチだけで、しかもヤカンに火を点けようにもガスは遮断されている。次の仕事が来るまで待機しなければならないのに、それなりに組織に貢献しているであろうに、なぜだろう、待遇が悪過ぎるように思える。
気が滅入っているところに料理用エレベーターから料理の注文が来る。ガスの持っているお菓子などを上に上げたりもするが、元々この建物がレストランだったというだけのことで、上の階にいる組織の誰かがからかっているのだろう。
料理用エレベーターの脇には伝声管があり話はできる。ガスが流しの方に水を飲みに行ってしばらくすると、伝声管から呼び出しがあり、ベンが出ると、次に部屋に入って来る人間を殺害せよとの司令が下る。ベンがピストルを構えて待っていると、ドアが開き袖のちぎれたワイシャツ姿のガスが飛び込んで来る。…で終了。
流しの奥で通路を見付けたガスは組織の誰かに待遇の悪さを訴えでもして、殴られて地下室に逃げ帰って来たようにも見えますが、事態はもっと深刻だと思います。不覚にも上層部の顔を見られてしまった組織としてはガスを生かしておくことができず、ベンに殺害を命じたのではないでしょうか。
殺し屋はあくまでも組織に雇われた末端の存在です。雇い主との接点は無いに等しいくらいのトカゲの尻尾以下の存在です。雇い主の司令に従うプロの殺し屋としてベンは必ず撃つでしょう。
ところで、二人が最初に部屋に入ってきた時点でストーリー性を感じました。二人の意志で入ってきたのですから理由があるはずで、次の展開も本人たちはある程度予想しているはずです。不条理劇だったら、二人は初めから部屋にいて何で俺たちここにいるんだろうって顔をしているだろうなって思いました。
満足度★★★★
コータ氏熱演!
特に、【静かに殺したい】は、ドタバタでスピード感がありました。
ネタバレBOX
【静かに殺したい】 彼なりの殺しの掟…、無差別殺人はしない、相思相愛の彼女を対象にする、手首を記念品として保存する、一つの処理が終わるまでは次の女性に手を出さない、美学ぅ。静かに感傷に浸っているところに友人たちが現れて、ドタバタでスピード感があって面白かったです。
ただ、見つかって殺すは少し安直過ぎる解決策のようで、何とかごまかし切ってほしいと思いました。
ちょっとおとぼけの女性が同じ性癖だったとは、恐れ入りました!
スケルトン風呂の中の体がコツコツとプラスチック音がしたのは気のせい?ご愛嬌?!
【異性人】 他人と手をつなぎエネルギーを循環させなければ死んでしまう宇宙人と、その宇宙人に命を救われた地球人との友情物語。他の例では、地球人のエネルギーを吸い取ってしまうこともできてしまうことから、地球人とペアを組むには十二分な信頼関係が必要です。
命を救われた彼には彼女がいて、地球人同士の恋愛には宇宙人は邪魔な存在です。ラスト彼女によって二人は物理的に引き離され、宇宙人は誰か助けてーと大声で叫びます。観客の人間性を試すようなお芝居があると、どう対応したらいいのか悩みます。
以前観た相武紗季ちゃんのお芝居で、登場人物の反応を見る実験をしているのかと思っていたら、最後に観客の反応を調べる実験でしたと言われ、やられたーと思った経験がありました。アフタートークで質問があり、もし観客が飛び出してきたら暗転して終了しますとのことでした。そういうことも想定はしているようですが、飛び出さなくて正解でした。結局は彼女が戻ってきて三人が手をつなぎエネルギー循環が再開されメデタシ。
彼女との日常シーンに膨らみがなく、逆に彼を一方的に好きなゲイの友人の独白などにはあまり意味も感じられず、少し冗長な感じがしました。中編二本立てということで、時間を合わせたからかなと思ってしまいました。
満足度★★★★
裏悲しいドサ回りの世界
哀愁漂う、しみじみとした雰囲気がよろしゅうございました。
ネタバレBOX
どの業界にも一部のトップと多くの底辺の人たちが存在する。ザザは全国のキャバレーを回る演歌歌手、底辺の方だけど、後ろ足で蹴飛ばして独立した弟子が結局は頭を下げてザザの元に戻ってくる、ああ底辺の下にもいくらでも人がいるんだなと痛感しました。
営業風景、楽しかったです。ザザのオリジナル曲、そんなに悪いとは思いませんでしたが…。
ザザは本当に売れないことを卑下し、後悔しているのでしょうか。ザザには、ザザを贔屓にしているキャバレー経営者がいて、それなりに幸せなんじゃないでしょうか。
もし本当に売れようと思っているなら、相応の行動をしないといけません。オリジナルでもカバーでも、インディーズでもネットでも何でもいいから、とにかく楽曲を公表しないとね。
満足度★★★
夢か現か、
タネ明かし付きファンタジーという感じでした。
ネタバレBOX
非合法なことで生計を立てるのも変と言えば変なわけで、全てが夢かとも考えられますが、時計屋から後ろ指を刺されてもいいから外に出なさいと言われたポリー(メアリ)はラスト外に出たように見えましたので、現実だと思いました。
ポリーはメアリの持つぬいぐるみでした。時計屋が全ての殺人の様子を丁寧に再現していましたが、着物を着た女性は実質的には同じ人ということは何となく分かっていましたので、丁寧さがむしろしつこさに感じられました。
おじいさんは生前、若者に元気を出させるために麻薬を作っていると言っていたらしいのですが、反社会勢力を助長させることのないことだけは願っておきます。
満足度★★★★
今日の日本への警鐘
閉塞感のある社会が産んだちょっといびつな近未来日本の話、これまでのひょっとこと比べて随分分かり易かったと思います。
ネタバレBOX
閉塞感のある社会だと独裁者が出てきてしまうのか、その結果思いつきを法律化してしまう制度ができ、不都合なところは“泳ぐ魚”という実行部隊が強引に取り仕切っている近未来日本の話。
避難地区指定に伴い立ち退きを強行した際に“何でも敏感症”のミミを好きになった無痛症の“泳ぐ魚”メンバー牧野の悲恋物語はこの社会のあだ花として後世に語り継がれることになるのでしょうが、本質は思いつき法下の社会と制度の崩壊の話でした。
“泳ぐ魚”もやはり官の組織でした。植物人間から臓器を取り出して移植するという思いつき法に従うと、ミミのお母さんも対象になりますが、今上天皇も対象になるという若手の意見に対し、空気を読むという形で恣意的に解釈する上層部は、法律の文言に従って例外なく遂行するという目的よりも、組織の存続を優先させる官の本質を具現化する方向に進んで行きました。
お母さんを守るミミを殺した牧野が失踪した後すぐに政変が起き、思いつき法は廃止されました。閉塞感に包まれた社会では迅速な意志決定が望まれるのでしょうが、行き過ぎや矛盾が生まれる恐れがあることを我々に警告しています。
本人たちのいない結婚式は古い因習のようでした。
群舞は統制がとれていて素敵でした。
満足度★★★★
一本の筋と、
それにまつわるサブストーリーも面白く、良くできたストーリーでした。
ネタバレBOX
腎臓が本人の意識を持って、回りくどいように見える方法ですが、結局目的を達成しようとする話。
弟が姉に腎臓を移植したいと願い、二等親間では認められないので、まず借金の連帯保証人として取り立てに来た街金の幹部の体の中に、自分は自殺、幹部は付近で交通事故に遭うことによって入り込み、次に幹部は姉との婚姻届を勝手に出した後、組織の抗争で死ぬ…。さて姉は一等親である夫の遺言に従って腎臓移植を受け容れるかというところで終了。
腎臓の意志です、さあお姉さんの中に入りましょう。
腎臓が宿主を動かす、それどころか周囲の環境にも影響を与える不気味さが真骨頂ですが、幹部の性格がオタクっぽくなったり、それこそアキバ系アイドルが登場したり、裏社会の雰囲気もプンプンしていたりで、良くできたストーリーでした。
満足度★★★
第三者に検証される再現性が重要
シェルターでの出来事と男の意識との二重構造は片方の単純さをさも難しそうに見せるための手段のようでもありました。
ネタバレBOX
心が弱くなっていた引きこもり男が、巨大隕石が近づいていて10年後に地球に衝突する確率は50%だと聞かされ意識が飛んで植物人間みたいになってしまったので、家族は一般シェルターへ移らずに地下に自家シェルターを作って住んでいます。そのシェルターでの出来事と引きこもり男の心の中の話。
当該隕石を発見した学者は即座に国と話し合い、直径は実際よりも大きく、衝突確率100%を50%で発表し、真実と国の隠蔽体質との狭間で傷つき、結果としてこのシェルターを隠れ家にしている様子。
なんでこんな数字を公表することになったのか分かりませんが、全世界が検証して真実はすぐに明らかになりますよ。変ですねー。それに数日前ならどうなるかぐらいはっきり分かりますよ。変ですねー。
それに恐竜だって全部が即死したわけじゃないしね。
本来衝突に際して恐怖におののくか達観するかの普通に意識ある人間が割と単純に描かれ、植物状態の引きこもり男の方が訳の分からない複雑な感情を持っているように描かれていて、そもそも二つの話を一緒にしたところに無理があったのでしょうか。
満足度★★★★★
人間だもの
神田っていいじゃない、神田の飲み屋さん大好き!
三つのバラバラと思われた調査・取り調べが進むにつれ次第に…
ネタバレBOX
事故調査委員会の聴き取り、地元米を売らない米屋の調査、大学生二人組の窃盗事件、これらの大元が原発事故と分かるに従って現実味が増幅していきました。
攻め方が上手く、実態を調べ尽くしました。しかし、最後の発表となると、国民にどのように届くのか良く分からない、本音と建前の使い分け素晴らしかったです!
官同士の調査は阿吽の呼吸で文章が纏まっていきますね。原発を監視する立場の人々が真っ先に避難したことについて真実をあぶり出しました。しかし、トイレのついでに廊下から眺めることを、近づけないが遠くから原発を気にしていたと報告書に記載する、決して嘘ではないですもんね。
地元の米が売れないから新潟産の米を売り始めた米屋を責める組合の図式かと思いきや、地元産の米を新潟産と称した偽装販売だったことが判明。
大学生二人組は車を使った単純な窃盗の容疑者かと思っていたら、原発事故で避難して住人のいなくなった地域を窃盗する醜悪な事件を犯した男たちだったということが判明。
今年は地元の米の出来が良かったとか、大学生の一人は台風で両親を亡くしていて、被害者の人数で援助に差がつく現状への義憤があったりして、一寸の虫にも五分の魂的なところもあり、少々心が痛みます。
官は馴れ合い、組合は他の組合員のことを考え、警察は取り調べ過程に問題があったかもしれないと言って、それぞれの調査結果どおりに行かないようです。
『ジレンマジレンマ』の最初のジレンマは調べられる側のジレンマ、次のジレンマは公表するに当たっての組織が抱えるジレンマ、ああ汚い現実を見せつけられた素晴らしい作品でした。
満足度★★★
いくらストーリーテラーと言っても
あまり理屈に合わないことを作ってもなぁと思いました。
ネタバレBOX
弁護士として、何が求められているのでしょうか。
資産家のおばあさんがいて、血の繋がる子孫はいないのに以前可愛がっていた女の子が産んだ子供を探す…、おばあさんを介護する人を探すのと、おばあさんが以前可愛がっていた女の子が残した手紙と写真をその子どもに手渡すのが目的だとしたら、遺産相続人を探すような期待の持たせ方がはたして適切なのか疑問でした。
遺産相続を期待して良い子振っていた人が、実は遺産はあげないけど、それなりの報酬を払うので介護してくださいと言われ応じるのか。ま、今回は心優しい人がいてそのように事が運ぶようですが、現実味がありません。
弁護士はおばあさんがしゃべり出すと話を聞きましょう的な、ことさら正常な人と接している風を装っていましたが、どうやらおばあさんは認知症のようです。そもそも今回の依頼自体正常な判断からなされたものか分かりません。成年後見人を立てるべきだと思いました。
見つかった子どもにしても、お父さんの実家でしばらく育てられていたというじゃないですか、それを天涯孤独だと思い込んでいるなんて信じられません。育てた孫と連絡を取ろうともしない実家って、いったい。そもそも、住民票を見れば本人だって気付くはずです。
スタート時のリビングルーム、スリッパぐらい履いたらいいのにと思いました。
集められた女性の一人が弁護士の上着を着て主人公を追い返そうとしたシーンは、その時は弁護士だとは思いませんでしたが、資産家の事務方に見え、金に目が眩んだ人だったらいたたまれず帰ったのではないかと思わせる心理を突いた作戦で秀逸でした。
おばあさんの着物の着こなしは、認知症を考慮したとしても、合わせ方が足りないというか、全体にだらーっと横に広がっているような感じでした。足を開いて腰掛けているのも悪いのですが、裾も八の字のように広がり気味で、だらしなく見えました。
満足度★★★★
アハハハ!
もっと深刻な話かと思っていましたが何とも楽しいお話でした。
ネタバレBOX
現実の中で恋愛するのは稀なことで、みんな妄想しているんだとか、モテたくて演劇の世界に入ったのにモテないので辞めたいとか、演劇人が非合法なドラッグのような存在で一般人からは毛嫌いされているという位置付けに笑ってしまいました。
ヘタウマとはこういうものかと思わせる出来栄えでした。役者さんたちはぼーっと立っているだけでさほど動きがなく、口だけ動いてツッコミが入る、それが何とも面白く、癖になりそうでした。
踏み絵を避けるため劇団員が体を張って重なり合うのも、本当は何メートルもの高さになっているかのように観客側が想像しないといけない、ざけんなですが許せます。
カニ缶工場にも笑ってしまいますが、その妹が実は演劇人にだけ見える妄想だったとは…。それまでつじつまが合っていたのか確かめようもないまさかの展開でした。
ラストシーンの、少し神経が参ってしまった役者の夢でしたチャンチャンは、ちょっと拍子抜けでした。私には、役者たちが精神病院の廊下にいて、そばを看護師さんが歩いている絵が浮かびました。妄想してしまいました。
満足度★★★
【チーム煌星】
ファンの集い的な…
ネタバレBOX
月に住む天女に拐われた父親牽牛を助けるため仲間と冒険した天女レダは、父親を救出したものの天女を殺したことによって永遠の命を捨てることになってしまいました。しかし、地上で知り合った人間と恋に落ちたレダは共に老いていくのもいいかなと思いました、という活劇冒険譚。
しかし、後ろで不老不死の薬を持つ兄がいて、欲しけりゃいつでもあげるよと言っている何ともハッピーな都合のいいお話でした。
満足度★★★★★
彼女たちの年齢になると思うこと
人間の弱さ、悲しさ、友人の大切さを教えてくれる作品です。
ネタバレBOX
「なんで私の好きな人は死んでいくんだろう。」、56歳の役、岡本麗さんの台詞に涙しました。
「ネガティブな発想は気分から、ポジティブな発想は意志から生まれる。」、どこかで聞いたことのあるような気もしましたが、訪問販売員役の加納幸和さんのこの台詞にも心打たれました。
エネルギー消費量を考えると、人間はネガティブになりがちなことが良く分かります。
そして、そこに付け入る人がいることにも納得です。ま、生き甲斐が無く、覇気が無いように見えたからだとは思いますが、なんで八百屋の親父に夜中の12時までに死ぬなんて言われなきゃいけないのか!!
12時を迎えるにあたり、やっぱり身構えていた主人公役の松金よね子さん、分かっていても気にする弱さが人間にはあります。八百屋の親父、最低です。
そもそも占い好きの風潮そのものが大嫌いな私です。占いを放送しておいて、オセロ中島問題を取り上げているテレビ、いい占いと悪い占いがあるようなことをテレビが言ったときには私はのけ反りました。
八百屋の親父は登場しないので、彼を叫弾するシーンの無い大人なお芝居でしたが、一発ガツーンとやってやりたいものです。
ところで、登場人物はいい人ばかりでした。訪問販売員なんか一癖も二癖もあって良いと思いましたが、自殺を考えたこともある心優しい人なんて、ちょっと出来過ぎです。
満足度★★★★
やっぱり
クーニーは面白いけど、いつもよりは後味が悪いのかなと。
ネタバレBOX
両刀使いということになっても、とりあえず重婚はバレなかった、メデタシメデタシ。…と言えるのでしょうか。
ハッピーという終わり方じゃないので、少し後味が悪いような感じがしました。
ウインブルドンとストレイタムの二部屋を同じ舞台で使い分けていたので、ストレイタムの上着がウインブルドンに残っていたときはあれって思いました。
ゴミ箱も、これから新聞紙を捨てるのにその中に既に新聞紙が入っているのは変だなと思いました。もう一つのゴミ箱を使うとか暗転時を使って空にするとか必要でしたね。
男優さんたちの困った顔は良かったです。
満足度★★★
悩むべき人が
悩んでいないような…
ネタバレBOX
過失致死を起こして死なせた人間は別に悩んでおらず、死んだ少年の母親がただひたすら悩んでいるという図式にはがっかりでした。
最後の炎とは焼身自殺のこと、パトカーに轢き殺された少年にちょっと関わった退役兵が悩んで自殺する、分からないではないけど、もう少し過失致死を起こした側、轢いた警官の心理面を取り上げてほしいと思いました。