雨模様の観てきた!クチコミ一覧

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「男の果て」全公演終了いたしました。ご来場ありがとうございました!

「男の果て」全公演終了いたしました。ご来場ありがとうございました!

元東京バンビ

OFF OFFシアター(東京都)

2013/03/09 (土) ~ 2013/03/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

渾身の出来
ギャグ満載、しかもワンシチュエーションコメディの王道を目指してるっぽいところに好感が持てました。

ネタバレBOX

あれま、随分スーツ姿がお似合いなことと思ったらはやしさん、やってくれましたストーカー的変態男。あの赤いパンツ見覚えあるような。あんな青い食べ物を食べていたら、千秋楽には身体を壊しているのではないかと心配してしまいます。色が黒いのは日焼けじゃなくて肝臓のせい、いきなり笑かしてくれますアダチさん。冷や汗タラタラでかっこつけしーの脱糞男石川さんが加わっての再スタートに先ずはお祝いを!

タマゴサンドを巡る放置プレーが一本通っていて、事件があって、誰も死なないところにワンシチュエーションコメディの王道を目指しているっぽさを感じることができました。

頼りなげな若い女性から、修羅場をくぐってきたような女性、世間知らずの奥さんまで幅広い女優さんを集めたのも素敵でした。

シャクレのしゃべりには大笑いしました。

ただ、説明セリフが多かったのがちょっと引っ掛かりました。また、女性が起業した商売は斬新なものかと期待を持たせていましたが結局はデリヘル業だったこと、金を盗むのに灰皿で殴りつけたことは王道から外れ、これでは他に売れませんと思いました。
若手演出家コンクー2012 最終審査  

若手演出家コンクー2012 最終審査  

一般社団法人 日本演出者協会

「劇」小劇場(東京都)

2013/03/05 (火) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

【サリngROCK(大阪府)の回】観劇
席はいくつか空いていましたが、客の入り具合とは別に突劇金魚(大阪府)『絶対の村上くん』 は色々想像できるとても面白いものでした。

ネタバレBOX

13歳で町の小説賞に優勝した友人に憧れて文豪を目指した村上君が、結局友人の才能に嫉妬したからなのか、あるいは友人宅で飼っていたニワトリが臭かったからなのか、恐らくそのような理由で友人一家を皆殺しにでもしたのでしょう。そして、死刑囚となって独房で暮らしながらも絶対に変わらない目標である小説家を目指し続ける話。

エガちゃんとアンガールズ田中を足して二で割ったような村上君は精神を病んでいるように見えます。時々訪ねてくる友人やニワトリのヘンリーは妄想なのでしょう。そんな彼が死刑になることは無いのかもしれません。もしかしたら絞首台に登ったこと自体が妄想なのかもしれませんね。

色々妄想できる広がりのある話でした。

さて、若手演出家の賞は審査員の方々にお任せするとして、観客賞は総合的に判断してサリngROCKさんに○を付けました。
若手演出家コンクー2012 最終審査  

若手演出家コンクー2012 最終審査  

一般社団法人 日本演出者協会

「劇」小劇場(東京都)

2013/03/05 (火) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★

【中村房絵(広島県)の回】観劇
天辺塔(広島県)『箱』 、意味不明でした。

ネタバレBOX

さわさわさわさわ…、さわさわさわさわ…、漫画『カイジ』の「ざわ…ざわ…」と同じじゃないですか。なんじゃこりゃー、よくも堂々とやれるもんだと思いました。

300年前っていったい何でしょう。浦島太郎のような舌切雀のようなお伽話風パフォーマンスがありました。こふく劇場『お伽草紙/戯曲』は劇団うりんこの公演で観たことがありますが、1700年頃にお伽噺が生まれたとも思えませんし、全く分かりませんでした。

そもそもダンスのキレも大したことはなく、中身は意味不明、逆に彼女たち四人がかわいそうです。最終審査に残した事自体が不思議でした。

せめて出演者の名前ぐらいは記載してほしいと思います。
若手演出家コンクー2012 最終審査  

若手演出家コンクー2012 最終審査  

一般社団法人 日本演出者協会

「劇」小劇場(東京都)

2013/03/05 (火) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★

【鈴木アツト(東京都)の回】観劇
劇団印象-indian elephant-(東京都)『青鬼』。満員でしたが、劇団チョコレートケーキのときのようにお尻をずらすほどのことはありませんでした。

ネタバレBOX

『青鬼』を観るのは二回目でした。一回目のときは食育という言葉が思い浮かびましたが、今回は少し教訓臭いと感じました。「教訓」を受けたために「教育」のイメージになり、食べ物に関することだったから食育と考えたような気がします。

いけ好かないストーカーのような同僚の男、殺されそうになったときの目の覚まし方は絶妙でした。

豚を食べても豚にはならない、人を食べても人にはならない、結局は北極ヒメイルカを食べて人間に戻るでした。手の甲の青い色が少し薄れるくらいあると良かったかなあと思いました。

テネシーの女たち

テネシーの女たち

Theatre Polyphonic

シアターシャイン(東京都)

2013/03/07 (木) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

うら悲しい
テネシー・ウィリアムズの五つの短編、構成の仕方が素晴らしかったです。

ネタバレBOX

五つの短編を全く別々に演じるのかと思っていましたが、アパートのいくつかの部屋で起きた出来事のように構成するなどして一つの作品にまとめ上げていて素晴らしかったです。ただ、2時間10分という時間を考えると、少し異質な『財産没収』はカットしても良かったのかなとは思いました。

病気で働けなくなり、いまさら無心もできないであろうに男に手紙を出そうとする女。しかし決して本気じゃないから出したと思い、来てくれると思うくらいを夢想して慰める『バーサよりよろしく』のうら悲しさが好きでした。

窓から見える赤い工場は印象的でした。ここから得られるお金でこの街の一角は回っているのですが希望が見えません。職にはありつけるものの非正規雇用のような工場労働者の様子を見ると、男にとって家庭を持つまでには至らない今の日本のようにも思えます。

アパートの女主人の義父の台詞、「工業製品が売れなくなったときに売上を増やすためにどうするか。価格を下げて中流家庭にも販路を広げるようにすると思うか。そんなことはしない。生産を抑制して品不足にして価格を釣り上げるんだ。」、金持ちだけの消費に頼っていると、いずれ大恐慌になります。

という訳で、時代は大恐慌の直前辺りかなと考えながら見ていましたが、テネシー・ワルツも流れていたし、やはり戦後なのでしょうね。いつの世もお金にはパッとしない人々がいるものです。

ところで、タバコを吸うシーンであえて細身の巻紙を使うことで、火を付けなくてもタバコを表象することができていました。とても素晴らしい演出であり、心配りだと思いました。
秘を以て成立とす

秘を以て成立とす

KAKUTA

シアタートラム(東京都)

2013/03/01 (金) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

家族愛
誰にでも起こり得ることかもしれません。家族愛を感じました。

ネタバレBOX

多重人格物は嫌いですが、自己のコップの容量を超えるストレスが押し寄せ、胸の辺りにあるコップから水が溢れ出し、キューンと心臓に染みてしまったとき、粗暴な人間や生真面目で理想的な医者、さらには子供の頃、自分の嫉妬から発したいたずらが遠因になって事故死した姉の人格に陥ることは理解できました。

傍から見ると同じかもしれませんが、よくありがちな多重人格物のように他の人格が本人を押し退けて表に出てくるというよりは、本人が他の人格の世界に逃げ込むといった構図に見えたことがストンと腑に落ちた理由のような気がします。

脳梗塞で急死した近所のおじいちゃんについて、守田医師の処方ミスではないかとの遺族からの抗議に耐えかねて彼らが現れたわけですが、姉の死を引きずっていた子供の頃にも彼らは現れていたようです。成長するにつれコップが大きくなるというのも分かります。しかし、どんなにコップが大きくなってもそれ以上のストレスが押し寄せてくれば溢れてしまいます。今回の経験を通してさらに一回り大きなコップになったようですが、不安は残ります。

誰にでも起こり得る鬱、この家族の温かさが心に沁みました。

ただ、謎の少女の存在や粗暴な下宿人ハリオなどにモヤモヤし、早く真実が知りたいと思ったのも事実ですが、少しタネ明かしが早かったような気がします。もう少し後まで引っ張っておいてほしかったと思いました。赤城医師に代わり守田医師による再現シーンは、周りの人にはこう映っていたんだというビジュアル的な面白さはありましたが、本当に必要だったのでしょうか。
公の園

公の園

dramatic department

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2013/03/03 (日) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★

のが入るだけで…
初演の内容を結構覚えていました。それだけ印象の強い作品だったということが分かります。

ネタバレBOX

公園で出会った三人が話をしていく内に三人が三人とも詐欺商法に騙された過去があり、その経験を活かして金儲けのために公の園という新興宗教を立ち上げようとする話。

作者は、霊感商法や占い師などの、人を不安に陥れて金儲けをする詐欺師たちに騙されるなよという強いメッセージを発信していると思いながらも、お陰様という言葉の宗教的な意味合いをことさら強調するあたりなどに、あわよくば私たちを変な世界へ引きずり込もうと企んでいるのではないかと思わせるような胡散臭さも漂わせていて何ともシュールでした。

ま、インチキ宗教や占いは所詮こんなもんだ、嫌なことを言われても気にすることはないと思って、引っ掛からないようにしてほしいと思います。

初演のとき観たのは若手公演でした。今回は浅野温子さんを間近に見られて嬉しかったです。腕を広げ、二の腕を堂々とさらけ出すのは自信の現れなんでしょうね。二十いくつの子供がいるというマリア役、若過ぎると言いたくなりました。

そんな浅野温子さんの客イジリ、すぐそばまで来てました。いじられたかったなあ。
月の剥がれる

月の剥がれる

アマヤドリ

座・高円寺1(東京都)

2013/03/04 (月) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★

まあビックリ
すっごい提案、宣言でした。

ネタバレBOX

好みの問題だからしょうがありませんが、せめてウォーミングアップ的な群舞だけは止めてほしいと思いました。ウォーミングアップは始まる前に済ませておけよって感じです。

戦争による殺人に反対するため、自国の軍隊が殺した数だけ自殺する組織「散華」、すごい発想です。終いには原爆を落としたため、散華の会員では足りません。全員死んで解散です。なんのこっちゃ、大笑いです。散華の勧誘の仕方とか、幹部が最後の総動員で死ぬまで生き延びていたという不自然さに、新興宗教の臭いがして気色悪かったです。

さて、こうした一連の騒動を受けて総括して、日本の若者が主導して決定した宣言が、武力による解決はしないどころではない、自殺を禁じ、怒りの感情も禁止するというものでした。

憲法改正に活かしてほしいですね。
若手演出家コンクー2012 最終審査  

若手演出家コンクー2012 最終審査  

一般社団法人 日本演出者協会

「劇」小劇場(東京都)

2013/03/05 (火) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

【日澤雄介(東京都)の回】観劇
超満員。椅子席の客までずらされて、おしりのカーブと背もたれのカーブの変なところに座らされて、もう少し長かったら腰の筋を違えるところでした、プンプン。

さて、この人気は企画全体としての人気なのか、それとも 『熱狂』・『あの記憶の記録』に続く劇団チョコレートケーキの『親愛なる我が総統』だからこそのものなのか、私としては週末に答が出るのでそれまでのお楽しみということにしておきます。

ネタバレBOX

ヒトラーが台頭してきた頃の『熱狂』、アウシュビッツ強制収容所の初代所長ヘースの予審の取り調べの様子を描いた本作『親愛なる我が総統』、そして、アウシュビッツで働かされたユダヤ人兄弟が過去の記憶を思い出す『あの記憶の記録』、これら三部作全てを一番最初に観ることのできた者の一人として大変嬉しく思いました。

ヘースにとってヒトラーは雲の上の存在で、心酔し切っていました。ヒトラーから直接指示を受けたわけではありませんが、ヘースは総統の意志を慮ってガス室を作り大量殺戮を行い、ヒトラーも暗黙の内に了承していました。ヒトラーにも人道的戦争犯罪の責任があるとするこの構図、日本ではどうだったのかと重く突き付けられました。

大量殺戮は間違っていたと認めたヘースですが、アウシュビッツで働いていたユダヤ人が自分の妻の死体を見ても淡々と仕事する無感情な反応を覚えていたことから、ユダヤ人は劣った民族だと今も考え続けていて、総統と同じくドイツ人優位思想に変わりはありませんでした。それが、極限状態になれば人間は皆そうなることを教えられると彼は混乱してしまいます。

そう諭すポーランド人たちも、ドイツの支配からソ連による支配へと変化していくことに抗うことなく順応していく様が、同士という言葉が自然に使えるようになることで上手く表現されていました。

狂気のまま死ぬのも幸せだったのかもしれません。悪魔ではない人間ですから、一応人間としての正しいことを改めて教え込まれ、理解し、それ故苦しみ、そして絞首刑に処せられる…、已むを得ないことですが、正義の裁判も残酷なものです。
虚言の城の王子

虚言の城の王子

空想組曲

吉祥寺シアター(東京都)

2013/03/03 (日) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

じゃあお前はどうなんだ!
素敵な舞台衣装、先ずは見た目綺麗でした!

ネタバレBOX

白と黒のチェック柄のアイテムは、帽子のカーブや大きさなどとってもメルヘンチックで見た目が綺麗でした。王冠もしっとりした金色の布地でできていて上品でした。

例えば、ヒモ男に付きまとわれていたことに気付き、包丁を手にした女性は王子によって物語の中のお城に連れて行かれ料理人になって幸せに暮らしました。しかし、実際は絶望した女性は男を刺していたのかもしれません。もしそうだったとして、刺したことは刺したとしても、もしかしたら刃先がポケットのスマホに当たっただけで無事だったという奇跡が起きていたかもしれません。

全ては交通事故で植物状態となった恋人に付き添っている男の書きかけの童話の世界の話です。現実に目を背け、ハッピーエンドに向かう内容ですが、良い方向を願い実現させることが悪いわけでは無いことをお芝居の中で散々主張していました。可能性がゼロでもありませんが、何でもありのパラレルワールドはやはり注意が必要だと思いました。回数的にはギリギリOKでした。

他人のダーク面をメルヘンで加工していた彼でしたが、じゃあお前はどうなんだと思いました。恋人の弟が言うように、彼氏という立場と親族という立場は違います。逃げることができるのが彼氏の立場です。恋人の許を去るようなことは一切考えなかったのか、あまりにも善人すぎて、彼が自分のダークな面を一切見せなかったことは不満でした。

物語の中の嫌な人が現実にドジ男として登場したことは、彼の物語の世界と現実が交錯する、メルヘンの世界が現実になる、即ち恋人が目を覚ますというハッピーエンドを示唆していて温かい希望が持てました。

ところで、彼女がスリッパを履いたままベッドに入ったのは変でした。その後の演技に必要なのかと思っていましたが全くそのようなことは無く、不衛生でもあり理解不明でした。
20XX0915(ニーゼロバツバツゼロキューイチゴー)

20XX0915(ニーゼロバツバツゼロキューイチゴー)

風鈴堂

シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)

2013/02/28 (木) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★

知らなさ過ぎ
太閤秀吉が亡くなってからの史実に忠実し過ぎるため先の読める展開でした。しかし、その割には経済というか、社会生活を送る上での常識を知らないなと思いました。

ネタバレBOX

休憩10分を含めての2時間20分は、先の読める展開では冗長に感じました。

奥さんの意志が見えて来ませんでした。いくら金持ちとはいえ、不動産を見ず知らずの人に取られるというのに、意志がはっきりしないまま石田方に付いていたのは不思議でした。

最前列のお客さんのところスレスレまで迫力ある演技をしますとの説明がありましたが、なんてことはない、二階部分を後方に作ってしまったため前面を使わざるを得なくなってしまっただけであり、しかもそこで座り芝居をされたのでは何をやっているのか全く見えず、何をか言わんやでした。

都合のいい放火魔にも唖然としましたが、奥さんが何億円もの遺産の一部を使って建て替えるという最後の大団円では、普通オーナーだったら火災保険に入っているだろうと思いました。
focus#3 円

focus#3 円

箱庭円舞曲

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/02/28 (木) ~ 2013/03/11 (月)公演終了

満足度★★★★★

まるでサラリーマンNEO
ジワッと滲み出てくる面白さがいいですね。

ネタバレBOX

個性的な特徴を持つキャラクターが織りなす10編+αはまるでサラリーマンNEOを見ているかのようでした。

観たことがある演目でも内容をそんなに覚えているわけでもなく、だからこそ観劇記を付けているわけだし、個々のキャラクターだって同じで、作者さんが頭を振り絞って考えたとしてもこちらは一回観るだけで、シリーズ物にでもならない限り、そもそもスピンオフと言われてもなあと少し心配していたのですが、当日パンフレットにもあったように、元ネタを知らなくても面白いし、知っていればああそうそうこんな人いたなあと楽しめる作品群でした。

例えば三浪した高校生が記憶力だけに頼って役者になり、最後は焼き場の釜番になったりと、繋がっているところが円ということでした。役者の名前は三船敏郎、そう言えば手塚治虫という漫画家のアシスタントもいたなあとクスリとしました。

しかし、最後は焼き場での様々な人との別れのシーン、何もここまでしみじみさせることも無かったのではないかと思えるくらいの縁でした。

役者さんでは松本寛子さんのしれっと感が好きでした。

小玉久仁子さんは空想組曲と被っていたのですね。オファー順か究極の選択か分かりませんが、箱庭円舞曲へのご出演もこれもまた一つのご縁だと思いました。
ヨリソウジュウリョク。

ヨリソウジュウリョク。

FLIPLIP

池袋GEKIBA(東京都)

2013/02/27 (水) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★

距離感
思わぬところでも引き合っていたりする万有引力の法則でした。

ネタバレBOX

舞台の上部には、チラシのようなオブジェがありました。

小中学生の頃に自分の不注意で幼い妹を亡くし、自分は子供を持ってはいけないと思い込んでいる男と彼の恋人を中心に、様々な人間関係の距離感を描いた青春群像劇。

人間関係は絶妙な引力によって引き付け合い、距離を保っています。地球と月の関係のようにくっつかないのも困ったもんだし、先月ロシアに落ちた隕石のようなストーカー的くっつき過ぎも困りものですね。

自分の死に際は親しい人に見せないという猫のような風来坊の存在は大きく、彼の優しい言葉がヒントになって絡んだ糸が解れ、そして本当に去っていきました。まるで同じく先月地球に急接近して通り過ぎて行った小惑星のようでもあり、如何にもお芝居的な感じの展開でもありました。
逆鱗に触れるまでの細くて長い道《真昼間の章》《真夜中の章》

逆鱗に触れるまでの細くて長い道《真昼間の章》《真夜中の章》

Cui?

STスポット(神奈川県)

2013/02/27 (水) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★

《真夜中の章》観劇
詩の機関銃が炸裂しました。

ネタバレBOX

夕方6時過ぎの東海道線って凄いですね。STに向かう下り電車はぎゅうぎゅう詰めで、こりゃ痴漢事件もしくは痴漢冤罪事件が起こるかもしれないなと思いました。で、観たのは痴漢の方ではなく切り裂き魔の方でしたが、夜の部が痴漢の方が身につまされてピンとくるような気もしました。

喧嘩を吹っ掛けるためにおばさん攻撃をしたり、追いかけてきた夫がゲロを吐いたりしたシーンは受けました。一両目の連結器付近という場所、嫌なことは重なるもので、どこかで人身事故が起きて電車が止まったりする絶妙さに笑いました。実行者、見学者、目撃者でしたか、この区分けの仕方に目新しさを覚えました。

全体としては、演劇入門で言うところの高音を張り上げる学生演劇の部類でしょうか。台詞は大きな音楽と被ってよく聞き取れませんでした。最初はよく聞こえないことが不満でしたが、ストーリー自体起承転結がさほどあるわけでもなく、リング上で行われる詩のバトルのようなものだったので、終いには機関銃のように詩を撃ち続けることを重要視しているのだと思い、それはそれで新鮮に感じました。
ブルーアップル【終演しました!】

ブルーアップル【終演しました!】

X-QUEST

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2013/02/27 (水) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★

若さが爆発!
相変わらず身体のキレは素晴らしかったです。BIG TREE THEATERが狭く感じられました。

ネタバレBOX

生物が進化すると人間になって最終的には滅んでしまう。しかし、生命のスープ、つまりある種の有機物があれば熱水噴出孔などで生命が再び誕生し、また進化して人間になって滅ぶ。地球ではこんなことがこれまで何回繰り返されたことでしょうといった感じのファンタジー。

ベニクラゲやプラナリアに人間の染色体を組み込んだ無限の命を持つベニクラゲマンやプラナリアマンの存在は興味深く、特に七つに分裂したプラナリアマンの一糸乱れぬダンスは秀逸でした。

ミュージカルではありませんでしたが、時折歌う歌は声がよく通っていました。ダンスができて、茶目っ気もあって、歌まで歌えるとは、役者さんたちの能力の高さに驚かされます。
今宵見上げし梅鴬の雪積もり願ふる喜多方の春

今宵見上げし梅鴬の雪積もり願ふる喜多方の春

劇団SHOW&GO FESTIVAL

ブディストホール(東京都)

2013/02/27 (水) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★

笑いの部分も楽しく
これまで観たこの劇団の作品の中で一番スッキリしていたように思いました。

ネタバレBOX

震災で工場が壊れ、従業員を解雇して家出同然に癒しの旅に出た男が、喜多方駅に集う人たちとの交流を通して元気になっていく話。

喜多方は会津の北にあるから喜多方ですと。東北支援を謳っているだけあって、会津との力関係で鉄道を持ってくるのに苦労した当時のエピソードなどを、まあ随分ご丁寧にパネルまで使って説明してくれました。

発達障害ではあったもののみんなから慕われていたニンジン坊やと呼ばれた今は亡き人を座敷わらしのように見立てたところなどは、如何にもこの劇団の得意分野といった感じでした。ニンジン坊やは気に入った人の災いや幸運を一つだけ交換してくれるということで、男は工場再開の目処が付いて去っていきました。

ところで、女性が嫉妬してペン先で男性をつつくシーンが何度もありましたが、洒落になっていませんでした。完全なDVです。結婚したらこんなことが頻繁に行われるでしょう。結婚しないことをお勧めします。
空気正常

空気正常

殿様ランチ

サンモールスタジオ(東京都)

2013/02/27 (水) ~ 2013/03/06 (水)公演終了

満足度★★★★

寄せ鍋
いくつかのSF的素材を一つの鍋にぶち込んだといった感じでした。

ネタバレBOX

危険な環境下で不思議な石を採掘する世襲制の作業員、染色体の紐が切れなくなったかのような歳を取らないお婆さん、石の採掘権を確保しようと目論むお役人、狼ならぬ野犬に育てられた少女などが登場する石油が枯渇した後の混沌とした近未来の話。

初演は観ていませんが、青く光る石は震災前と震災後で異なっているのでしょうか。作業員を体良く追い出すなど役人が動き出したのはエネルギー政策によるものか、歳を取らないのも放射能の影響か、震災前にも青い光を見た人はいたわけで、恐らく石は初演も今回も放射性物質ではないかと思いましたが、作業員は放射能の影響を特に受けているわけでもなさそうでした。

そこに野犬少女が入ってきたりで何でもぶち込んだ寄せ鍋風、それぞれのエキスがじわりと滲み出てきたところまでのストーリーでした。みんなの想像にお任せでもあり、中途半端でもありましたが、ああかと思えばこうであったりと、不思議な世界観を楽しむことができました。
あの女

あの女

猫のホテル

ザ・スズナリ(東京都)

2013/02/22 (金) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★

晴れない
お芝居以前の問題、何か重苦しい…。

ネタバレBOX

四、五十代の女性客の多い舞台でした。役者とお客、みんな一緒に年取るんやねと思い、それだけで気分が滅入ってしまいました。普段コリッチなどを通して、如何に若い人たちのお芝居を若い人たちに混じって観る機会が多いことかと再認識しました。

舞台装置も重苦しい雰囲気の要因の一つでした。背景のスクリーンに影絵を映すためには奥行きが必要なのでしょうが、そのために背景が随分手前に設置されていました。ものすごい圧迫感を感じるとともに、新橋演舞場とか明治座で場面転換のときに大道具さんたちの作業時間の間を繋ぐカーテン前での小芝居が終始行われているように思えて全く楽しくありませんでした。

スクリーンの後ろの二本の樹木が移動することで、単に湖畔を表現するための樹木とその枝だと思われていた影絵がぽっちゃり系の女の裸体姿に変化したのはグッドアイデアでしたが、やはり客への圧迫感を無くし、役者の演技スペースを確保することの方が重要で本末転倒だと思いました。

さてようやくですが、ストーリーは結婚詐欺師で薬を飲ませて男を多数殺した女に関わった三人の男の話。金が無くて殺されずに済んだ男の許に当時の検事が死刑が執行されたことを伝えに来、そこに借金まみれで事件のことを出版して何とかしようと考えた弁護士も来て、当時の心境、今の心境を語り合いますが、実は死刑は一審判決で確定してから程無く16年前に執行されていて、検事は若年性アルツハイマー病に罹っていたというオチであるとともに、騙された男ももてないながらも16年前は男盛り、検事も16年前は超エリート、弁護士も当時は有名で、役者としても16年前の頃が懐かしいなと三人と昔からの女性ファンがみんなでしみじみする話といった印象を受けました。
発情ジュリアス・シーザー

発情ジュリアス・シーザー

柿喰う客

青山円形劇場(東京都)

2013/02/21 (木) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★

女歌舞伎+プチ宝塚
筋書きは通し狂言風、美しく見映えのする俳優陣、おふざけの部分が無かったところが良かったです。

ネタバレBOX

軍服姿の川上ジュリアさんは背が低くて宝塚の男役は無理でしょうが、身振り手振りが宝塚風でカッコいい…、同じく軍服姿の七味まゆ味さんはそのままで宝塚っぽい。和装の人は頬を膨らませたりして、型を決めタッタッタと走り去る…、正に女歌舞伎+プチ宝塚のようでした。

一人のヒーローの出現によって共和制の崩壊を恐れたブルータスらの一派によってシーザーは暗殺されますが、そのときシーザーの仲間のアントニーを殺さなかったことが仇となり、アントニーの反撃に一派は追い詰められ、シーザーの亡霊に悩まされたり、また戦況を誤認したことによってブルータスらが自決して果てる物語。ジュリアス・シーザーのあらすじは知りませんでしたが、ブルータスが主役だったんですね。

川上ジュリアさんが「ジュリア」ス・シーザーでした。次回は『失禁リア王』、リア王もジュ「リア」さんがハマっていると思った次第でした。
せいれん

せいれん

EgofiLter

ギャラリーLE DECO(東京都)

2013/02/23 (土) ~ 2013/02/24 (日)公演終了

満足度★★★

ちょっと見えない
時計を見たわけではないのですが、45分よりは長く、時間的には丁度良かったのではないかと思いました。

ネタバレBOX

八尺様を二度見た人、というか二度見えた人は死ぬという怖い話。

助手がベランダで放置のお仕置きを受けて凍死する…、どのくらいの衣服の少なさによるものなのか、謎めいた作家の虐待の度合いを知りたいのに床舞台前面に座っていて顔しか見えません。

作家の手袋が脱げて癩病の痕跡みたいなものが見える、あるいは作家の妄想でそう思っているだけで手は綺麗?…、座っているのでよく見えません。作家は母親と同じ病気に罹ったという辛い現実を受けて妄想の世界に逃避しているのか、それとも単に妄想に支配されているだけなのか、それによって八尺様の位置付けも変わってくると思うのですが肝心なところが見えませんでした。

床をそのままの舞台として使いながら段差のない客席を設置、そうしておいて座り芝居を多用するのはちょっと配慮に欠けていると思いました。

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