テネシーの女たち 公演情報 Theatre Polyphonic「テネシーの女たち」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    うら悲しい
    テネシー・ウィリアムズの五つの短編、構成の仕方が素晴らしかったです。

    ネタバレBOX

    五つの短編を全く別々に演じるのかと思っていましたが、アパートのいくつかの部屋で起きた出来事のように構成するなどして一つの作品にまとめ上げていて素晴らしかったです。ただ、2時間10分という時間を考えると、少し異質な『財産没収』はカットしても良かったのかなとは思いました。

    病気で働けなくなり、いまさら無心もできないであろうに男に手紙を出そうとする女。しかし決して本気じゃないから出したと思い、来てくれると思うくらいを夢想して慰める『バーサよりよろしく』のうら悲しさが好きでした。

    窓から見える赤い工場は印象的でした。ここから得られるお金でこの街の一角は回っているのですが希望が見えません。職にはありつけるものの非正規雇用のような工場労働者の様子を見ると、男にとって家庭を持つまでには至らない今の日本のようにも思えます。

    アパートの女主人の義父の台詞、「工業製品が売れなくなったときに売上を増やすためにどうするか。価格を下げて中流家庭にも販路を広げるようにすると思うか。そんなことはしない。生産を抑制して品不足にして価格を釣り上げるんだ。」、金持ちだけの消費に頼っていると、いずれ大恐慌になります。

    という訳で、時代は大恐慌の直前辺りかなと考えながら見ていましたが、テネシー・ワルツも流れていたし、やはり戦後なのでしょうね。いつの世もお金にはパッとしない人々がいるものです。

    ところで、タバコを吸うシーンであえて細身の巻紙を使うことで、火を付けなくてもタバコを表象することができていました。とても素晴らしい演出であり、心配りだと思いました。

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    2013/03/09 02:47

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