きゃるの観てきた!クチコミ一覧

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半蔵~HANZOH

半蔵~HANZOH

劇団 武士道

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2009/07/11 (土) ~ 2009/07/14 (火)公演終了

満足度★★

もっとドラマとしての魅力と深みを
THEちょんまげ軍団SUPERなど時代劇中心に活動してきた幸村宏行が主宰する劇団「武士道」の旗揚げ公演。忍びの者服部半蔵をめぐる愛と死闘の物語。先に麻布十番のライブハウスで上演したダイジェストパフォーマンスの際よりはパワーアップし、総勢約30人がスピード感あふれる殺陣を披露する。
初日マチネーはほぼ満席の盛況だった。ただ、ほとんどが劇団関係者の知り合いで埋められた様子で、若者が客層の中心である小劇場演劇の世界において今後どれだけ新しい観客層を開拓していけるかが大きな課題となるだろう。用意されたアンケートの設問も「時代劇が好き」という前提で書かれているため、このような公演を初めて観に来た客は戸惑ったかもしれない。THEちょんまげ軍団系の芝居とほぼ似たようなストーリーで既視感があり、新味には乏しい。

ネタバレBOX

こういったアクション時代劇畑では既に「いのうえ歌舞伎」と呼ばれる劇団新感線のような優れた劇団が存在し、現代的な演出とスピード感のある殺陣、奇抜で華麗なストーリーで観客をつかんでいる。それに比べれば、平板な筋書きで、「実と思えば嘘、嘘と思えば実」の忍びの観念論を繰り返すだけでドラマとしての深みや面白みに欠ける。主役が終盤前に死んでしまい、山場が弱いなど、脚本には疑問が残る。何より、主役の幸村に華が感じられず、かっこよさには乏しく、3人の女性に慕われるという説得力を感じない。時代劇として酔えないのでは致命的だ。殺陣教室も開いているというが、姿勢が猫背で美しくないのも時代劇の俳優として改めてほしい。
イケメンブームの現代、時代劇の劇団として固定ファンをつかむには、カリスマ性のある美形の俳優が主役でないと厳しいと言わざるをえない。
BGMの音が大きすぎて肝心のせりふが聞き取れなかったのも不満だった。また、男性の衣裳は戦国風なのに、女優の和服が慶長風や昭和風などバラバラで、衣裳考証はもう少しきちんとやってほしい。男性の髪型も自毛でやるにしても統一感がなく、こういう細かいところが雑では、時代劇としてがっかりしてしまう。
イヌ物語

イヌ物語

劇団サーカス劇場

シアター711(東京都)

2009/06/24 (水) ~ 2009/07/05 (日)公演終了

満足度★★

意欲は買うが・・・
「劇団サーカス劇場」を東大時代から観続けてきた。
今回は前回の「カラス」に続いて清末浩平は脚本のみで、
東大の後輩でもある川口典成が演出を担当。主役のブチを
「黒色綺譚カナリア派」の赤澤ムックが演じるということで
多少期待を持って観た。
最近の「サーカス劇場」は昭和レトロから現代へと舞台を移し、アングラ
調からの脱却をはかっているようだ。
今回は音楽も清末氏好みのノスタルジックなものから、ロック、中島みゆき、
文楽の義太夫を思わせる太棹三味線へと変化し、このあたりは川口氏の
趣味なのか。
上演時間が従来は2幕2時間が多かったが、今回は短くまとめた点は評価できる。

ネタバレBOX

赤澤ムックのオッサン声には驚いた。この人は元唐組だけにアングラ色が濃い。
忌野清志郎を思わせる堂下勝気の「ロックのおじさん」がみんなから一目置かれているという設定だが、設定のみであまり説得力がなく、脚本に描きこみが足りない。また、千秋楽近くなのに、登場するなりセリフをかんだのもいただけなかった。
ワダ・タワーの青竹先生は余裕の微笑みが宗教活動家らしく見えて面白い。
途中、スモークが時々出ているが煙ではなさそうで朝もやの表現なのか何なのか意味不明。
ブチの探す鍵の色が銀、金、銀と言うたびに変化するが、(言い間違いでなければ)聴いていて混乱する。それほどこだわっている鍵なら色はどちらかに決めてほしい。寒くてつまらないギャグがなくなったのはありがたいが、いつものことながら全体に人間描写が類型的で中途半端な点に不満が残った
ので、あえて辛い点をつけた。

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