7/13-7/19『ON THE WAY HOME』(黒澤世莉演出)
(株)喝采企画
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2010/07/13 (火) ~ 2010/07/19 (月)公演終了
満足度★★★★
若者にも受け入れられる戦争ドラマ。
シアターKASSAIという今年5月にオープンしたばかりの劇場のオープン記念企画、ONE THE WAY HOME というひとつの作品を4人の演出家がそれぞれの役者を使って上演するという面白い企画。
私が観たのはその中のトップバッター、時間堂黒澤世莉の演出作品。多分4団体の中で一番若手グループであろう黒澤チームは台本を大幅に脚色して、黒澤版ONE THE WAY HOMEに仕上げた。
戦争を題材にしたドラマでありながら、至るところでPOPな演出を試み、若い人にも伝わる戦争ドラマに仕上げた。
役者では桜木を演じた菅野貴夫が当時の日本人の典型的人物を見事に演じた。前回JACROWでは浮気性の軽い男を演じたばかり。今回は徹底した硬派。それぞれ見事にはまっており、演技の幅の広さにただただ感心。また女優の梶野春菜が二役をやったが、その変わり身も見事だった。
決してじめじめした作りにせず、笑いどころも満載ながら、骨太の部分はしっかりと伝えるという作り。時間があればもう一度観てみたい。
「ON THE WAY HOME」舞台制作者向けプレビュー公演
(株)喝采企画
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2010/07/12 (月) ~ 2010/08/03 (火)公演終了
満足度★★★★
若者にも受け入れられる戦争ドラマ
シアターKASSAIという今年5月にオープンしたばかりの劇場のオープン記念企画、ONE THE WAY HOME というひとつの作品を4人の演出家がそれぞれの役者を使って上演するという面白い企画。
私が観たのはその中のトップバッター、時間堂黒澤世莉の演出作品。多分4団体の中で一番若手グループであろう黒澤チームは台本を大幅に脚色して、黒澤版ONE THE WAY HOMEに仕上げた。
戦争を題材にしたドラマでありながら、至るところでPOPな演出を試み、若い人にも伝わる戦争ドラマに仕上げた。
役者では桜木を演じた菅野貴夫が当時の日本人の典型的人物を見事に演じた。前回JACROWでは浮気性の軽い男を演じたばかり。今回は徹底した硬派。それぞれ見事にはまっており、演技の幅の広さにただただ感心。また女優の梶野春菜が二役をやったが、その変わり身も見事だった。
決してじめじめした作りにせず、笑いどころも満載ながら、骨太の部分はしっかりと伝えるという作り。時間があればもう一度観てみたい。
マグロを釣るつもりじゃなかった
Theatre劇団子
赤坂RED/THEATER(東京都)
2010/07/07 (水) ~ 2010/07/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
上質な人間喜劇
大人の観賞に耐えうるていねいな作り。全編笑いに溢れ、コメディ作りだが、その奥にはしっかりと人間ドラマが描かれている。登場人物のひとりひとりが類型的でなく、それぞれの哀しみをしっかりと描いているところがすごい。
また逢おうと竜馬は言った
演劇集団キャラメルボックス
サンシャイン劇場(東京都)
2010/07/10 (土) ~ 2010/08/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
キャラメルの代表作、何度観ても面白い!
また逢おうと竜馬は言った、という作品は結成10周年の記念公演の作品であり、15年、25年という節目の年に再演されている。言わば、キャラメルボックスの代表作だ。
竜馬が出てきたり、新撰組の土方が出てきたり、立ち回りがあったり、派手な作りだが、中身は夫婦の愛情の物語であり、友だちのために自分を犠牲にして駆け回る素敵な男達の物語である。
誰でも楽しめる作品だが、特に夫婦で観て欲しい作品だ。さすがの名作である。
「精跡-SEISEKI-」
角角ストロガのフ
サンモールスタジオ(東京都)
2010/07/07 (水) ~ 2010/07/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
全身が疲労する作品。
角角ストロガのフの芝居は初めてではない。こういった傾向の芝居だということは十分認識していた。それでも見終わった後、しばらく動けなかった。ずっしりと重いものが心に残り、劇団員と会っても言葉を交わすことが出来なかった。こんな経験久しぶりである。
アフタートークで「呪怨」の清水監督が登場し、面白い内容だったのだが、とてもアフタートークを楽しめる心境にはならなかった。
好き嫌いの好みが分かれる芝居だろうが、これだけ自分の世界を貫いているということは凄いことだと思った。
目を背けたくなるシーンや、グロテスクなシーンがこれでもかと続くが、汚いという感じはしない。舞台美術は白基調で、センスがいい。また空間の使い方が見事で、視覚的にも美しい。
ここまで自分の世界を持ち、それを堂々と表現出来るということは凄いことだ。表層的な薄っぺらい芝居が多い現代、あえて、この路線を突っ走ることに潔ささえ感じる。角田ルミが恐るべき才能の持ち主だということは間違いない。
8割世界番外公演『欲の整理術』×『ガハハで顎を痛めた日』
8割世界【19日20日、愛媛公演!!】
ART THEATER かもめ座(東京都)
2010/07/07 (水) ~ 2010/07/11 (日)公演終了
満足度★★★★
8割世界の新しい世界
8割世界が売出し中の女流作家館そらみの新作二本を一挙に上演するという魅力的な企画。コメディ一直線の8割世界と社会派のドラマが多い館そらみがどう融合するのかと興味深く観たが、コメディではないものの見事に8割ワールドになっていた。
1本目は近未来を舞台にしたシュールな作品。これを初演出の高宮尚貴がコメディタッチの作品に仕上げた。終わりがやや尻切れとんぼだったが面白かった。2本目は、中学校の新人教師の物語。配属前日の光景を見事に諷刺している。
難問だらけの教育現場だがそれでも先生を目指す新米たちの悲喜劇を的確に描いている。こちらは鈴木雄太の演出。ラストシーンが素敵で観ていて救われた感じがした。
90%VIRGIN / 終末の天気【満員御礼!無事に終了いたしました。ありがとうございました!!】
エムキチビート
ギャラリーLE DECO(東京都)
2010/07/06 (火) ~ 2010/07/11 (日)公演終了
満足度★★★
青春ドラマの二本立て
短編2本立て、1本はMUのハセガワアユム作品、もう一本は元吉康泰のオリジナル。どちらも高校の部活を舞台に青春の蹉跌を描いている。高校生が舞台なだけにいい意味で若さが溢れている。
特に二本目は演劇部の物語で、演劇人には感情移入しやすい。青春物語だけに、私のような年配者には若干気恥ずかしくなる部分もあるが、しかし、胸がきゅんとなる素敵な物語だ。
あなたのひとみにうつらない
たすいち
王子小劇場(東京都)
2010/07/01 (木) ~ 2010/07/04 (日)公演終了
満足度★★★★
素敵な四季のファンタジー。
四季を象徴する4つの物語から、見えない物が見えるようになることの素晴らしさと怖さを描いている。オムニバスの中では、消えたい二人が秀逸。他人より目立ちたくないと争う池田靖浩と三輪友実のふたりの演技は絶妙。面白くなおかつ奥深いテーマで、今作のなかで群を抜いていた。
作品全体としても良くできている。若手の俳優を集めながら、それぞれの持ち味をしっかりと出して、みんなが輝いている。なかでも主役の椎谷万里江が盲目の少女を魅力的に演じていた。
『二人/狂う』
重力/Note
テアトロ ド ソーニョ(東京都)
2010/07/01 (木) ~ 2010/07/04 (日)公演終了
満足度★★★★
象徴的で刺激的!
黒い倉庫の後ろに板が立てかけてある。ステージ上には一列の砂。シンプルだが想像力をかきたてる舞台美術だ。登場人物は5人。長年連れ添ってきた夫婦が些細なことで言い争っている。どうやら家の外では戦争が起こっているらしい。それにもかかわらず家庭の中では…という物語。
板が倒れる音、天井から物が落ちてくる音、それらが爆撃音を象徴している。斬新な演出、そして役者たちの無機質な演技、全てが刺激的だった。
水×ブリキの町で彼女は海を見つけられたか【ご来場ありがとうございました!!】
アマヤドリ
吉祥寺シアター(東京都)
2010/06/25 (金) ~ 2010/07/04 (日)公演終了
満足度★★★★
全てがが詩的!
どこまでも奥行きのあるステージ、まるで踊りを踊るようにかろやかに登場する役者たち。そして、あふれる詩的なメッセージ。すてきな言葉が嵐のように空から降りそそぐというイメージだ。
音楽劇『巨人達の国々』 ご来場ありがとうございました☆小説化決定しました!!
舞台芸術集団 地下空港
ザ・ポケット(東京都)
2010/06/30 (水) ~ 2010/07/04 (日)公演終了
満足度★★★★
幻想的な音楽劇!
いつも幻想的な地下空港だが、今回のBGMは全て表現hyogenという5人組のすてきなバンドの生演奏、これがすごくよかった。
会場に入った瞬間から、すでにそこは異空間で、何から何までわくわくさせる仕掛けが用意されている。当日パンフのていねいな説明といい、この劇団は、客入れから客出しまでサービスが徹底している。
物語は伊藤靖朗得意の神話と現代劇の融合。オペラにでもしたら似合いそうな内容を、親しみやすい音楽劇に仕上げている。大作という感じのする作品。
青ひげ公の城
青蛾館
座・高円寺1(東京都)
2010/07/01 (木) ~ 2010/07/04 (日)公演終了
満足度★★★★
名作は色あせない。
圧倒的美しさ。場面のひとつひとつが絵画として藝術になるというのが寺山修司の凄さだが、その流れをしっかりと継いでいる。
私は天井桟敷での初演も見ているのだが、今回の作品は大きく作り直した新しい青ひげ公の城。しかし、しっかりとエッセンスを継承し、そこに現代風のアレンジも加えて、21世紀の青ひげ公の城になっている。
名作は風化しないということにあらためて感動。ため息の出る美しさだった。
女ともだち
劇団競泳水着
「劇」小劇場(東京都)
2010/06/30 (水) ~ 2010/07/06 (火)公演終了
満足度★★★★
心に染みいる良作。
前回のサスペンスドラマから一転して、派手さは全くない作品。ナイーブな女の子の心の揺れ動きをていねいに描いた作品。むしろこちらの作品にこそ上野友之の真骨頂はあるかもしれない。
10年の月日の流れを見事に表し、その間の女性間の変化をしっかりと描いている。ノスタルジックな気持ちに包まれながら、心に染みいる。
役者では大川翔子が難しい役を好演。抑えめながら陰影のある演技を見せた。
恋する剥製
クロムモリブデン
赤坂RED/THEATER(東京都)
2010/06/22 (火) ~ 2010/07/04 (日)公演終了
浦島氏の教訓 公演終了 ご来場御礼
殿様ランチ
サンモールスタジオ(東京都)
2010/06/23 (水) ~ 2010/07/04 (日)公演終了
満足度★★★★
真面目で深いコメディ。
張り込み中の刑事達の物語。ネタバレになるのであまり書けないが、犯人逮捕に重きがあるのではなく、その中での刑事のやりとりこそがメインドラマ。最初から最後まで笑いがたえず、コメディに間違いないが、演じている役者は笑わせようというそぶりは少しもない。それどころか、それぞれの役を真剣に演じている。こういうコメディを見るとうれしくなってしまう。
役者は全員さすがにうまいが、中でも服部弘敏の味のある演技に感心。人間味を感じさせる名優である。
リア
理生さんを偲ぶ会
座・高円寺1(東京都)
2010/06/24 (木) ~ 2010/06/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
キム・アラの演出にしびれる。
岸田理生の戯曲を韓国の実力派演出家キム・アラが演出するという面白い企画。キム・アラは韓国のと言うより世界的演出家。複合ジャンル音楽劇という手法を産み出した演出家だが、今回もその複合ジャンル音楽劇を堪能出来た。
全ての演出が刺激的だったが、特にオープニングとラストで、座・高円寺の会場入り口を大きく開き、ロビーさえ、ステージの一部として使った演出にはしびれた。
はははなし【ご来場ありがとうございました!】
劇団森
早稲田大学学生会館(東京都)
2010/06/24 (木) ~ 2010/06/27 (日)公演終了
満足度★★★
母と娘の愛と憎しみの物語
劇団森の荻原永璃が演劇倶楽部、てあとろ50' くるめるシアターという早稲田を代表する劇団から魅力的な役者を3人集めて挑んだ合同公演のような企画。母と娘の愛憎を永遠の輪廻にまで導き、内面世界を舞台の上に表現してみせた。
萩原永璃は前作もリストカッターの物語を描いたが、心の内面を描く作家。コメディやエンタメが全盛の大学演劇でシリアスなものを真摯に書き続けている。
役者はそれぞれ各劇団を代表するだけあってうまい。河合恵理子はエンクラでいつも演じる明るく元気な子の役とは真逆の役を演じ、新境地を開いた。三谷奈津子は若いながら母親の持つ愛情とときに傲慢さを表現し、しっかりと母親に見えた。間に入って谷口大介が何役もこなしていたが少し難しい役だったか。他の公演も見てみたい。
実際に舞台上で調理をするところが斬新な演出だった。
ネバーランド
少年社中
青山円形劇場(東京都)
2010/06/23 (水) ~ 2010/06/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
This is ファンタジー!
劇の始まりから最後までわくわくのしどおし。音楽も照明も演技も素敵で楽しくて華麗。
こんなにも誰にでも奨められる芝居はそうない。大人も子供も男でも女でも誰からも愛される芝居だ。家族連れ恋人連れで観に行くといい。
これはチケット代が安いなあ。
組曲「空想」
空想組曲
OFF OFFシアター(東京都)
2010/06/16 (水) ~ 2010/06/22 (火)公演終了
満足度★★★★★
格調高い名作の誕生!
観終わった後の興奮がまだおさまらない。作品にえもいわれぬ気品がある。笑いのあふれるシーンでもだ。オムニバスに見せかけてそれらを緻密に纏め上が、大作に仕上げる力量は恐れ入る。
観終わった瞬間、名作が誕生したと思った。すぐに再演を計画すべき作品だ。お見事!
雨より冷たく、月より遠く
シアターノーチラス
morph-tokyo(東京都)
2010/06/20 (日) ~ 2010/06/20 (日)公演終了
満足度★★★★
世界観が面白い。
世界最終戦争が起こり、人類が全滅するという状況の中、安楽死するクスリを巡っての切ないドラマ。物語が二転三転し、15分間目が離せない。
イベント性の強いフェスティバルの中で、ストレートな芝居で挑戦したことに好感を感じる。本公演が観たい。