満足度★★★
12人のそりゃ恐ろしい日本人とは
全体的に平行な印象。
ネタバレBOX
戯曲に関しては、一見前半と後半で趣を変える印象。
趣の違う流れを、シームレスにしないことでの違和感はかなり大きい印象。
後半の放り投げた様なシーンもも、前半との創り込み方の違いによる印象。
役者は女優陣が蠱惑的な印象。
前半後半隔てなくパフォーマンスを発揮出来る幅広さがある印象。
全体的には、後半のテイストがもう少し強かったら
前半とのバランスが良かった様に感じられた。
前半のかっちりつくられたものを、もっと強引に壊すだけのパワーが
後半のパートに欠けていた。
後半のベクトルが好みだっただけに、残念。
満足度★★★★
汝、隣人に声をかけよとは
全体的に隠見な印象。
ネタバレBOX
戯曲に関しては細かいエビソードを連ねつつ、
軸はしっかり横たえている印象。
人間の関わりの機微を、本当に機微として文字におこしてある印象。
演出に関しては、サディスティックな程に役者を追いつめている印象。
それが公演全体を包むある種の不穏感を纏わせている印象。
その上、その不穏の間隙をぬって、様々なプラスの感情も放り込み、
感情の見え隠れがよいバランスで配置されている印象。
役者はそれぞれが、個々の生々しさを出すことに注力している印象。
所属役者はそれぞれが出色な印象。
客演した役者もアクの強い戯曲、かつ素舞台に近い装置のなか、
関係性を表現していた印象。
全体的に、人間の中身を無理矢理引きずり出す様な公演に見受けられた。
その為、不穏感が常につきまとっていて、心がザワザワさせられる。
人間関係に置ける他人故に拭いきれない絶望感、
不安感と同義に近い形で目の前に突き出された感覚に陥る。
その上での公演名。潔さを感じる良い公演でした。
満足度★★★★
フェブリーとは
全体的に安固な印象。
ネタバレBOX
戯曲に関しては、一見たゆたう様でいて、その実筋道を
きっちり押さえた印象。
押さえつつ、通常の戯曲では盛り上げる所で、敢えてスかしたり
ズらしたりする事で独特のテンポと空気を創っている印象。
演出は控え目で、戯曲を濾過した役者に委ねている印象。
役者はそれぞれが確立している印象。
ともすれば曖昧で意図を発見しづらく、迷いが生まれそうな戯曲を
それぞれの役者がそれぞれのやり方で表現している印象。
迷いが生まれ、役者の能力が仮に120%出ていないにしても
それが、この公演に良い抑制を生んでいる印象。
全体的には、色がはっきりと出ていて、安定していて揺ぎない。
「はっきりした色」が出ていた訳ではなく、
「色」がはっきり出ていた。
その色は、決して派手な色ではありませんでしたが、
心地の良い色でした。
満足度★★★
Play#2 ソヴァージュばあさん / 月並みなはなしとは
全体的に実験的な印象。
ネタバレBOX
「月並みなはなし」
戯曲に関しては、複数人の心の機微を描いている印象。
演出はそれぞれの機微を、複数人で多角的に描く印象。
後半にかけて、挙動と言動とで更に情報量を増やす様な印象。
通常一人の役者が内包し整理するものを掬いあげ、
単純化し、更に再構築する演出は、スピード感やビジュアル的に
観ていて好感が持てる印象。戯曲との相性があるものの
面白い試みだという印象。
役者は、この演出方法の中、個を発揮するのは中々に力量を必要とする印象。
全体の演出意図の中に、はっきりいる役者には好感が持て、
下手にはみ出ると、逆に目立つ印象。
上手くはみ出る為には、ある程度の説得力を要す印象。
そういった上手いはみ出方でも、この方法だと2、3人しか
許容出来ない様な印象。
「ソヴァージュばあさん 」
戯曲に関しては、角張った言語を優しく紡いでいる印象。
演出も、優しさを表現している印象。
背景に紡がれる線も柔らかさの一端を担っている印象。
役者はそれぞれが、持ち場をわきまえ、
目にも力があり、好演していた印象。
ただ、集中力がきれる瞬間があったのは否めない印象。
全体的には、役者それぞれの魅力というよりは、
演出家の意図が表に出る様な公演だった様に感じます。
演出家の狙いが、実験的な意図を越え、役者がすんなり
客に還元するまでには少し届かなかったと。
それは前者では役者の力量、後者では演出の方法論であるように見受けられる。
ただ、公演としては、意義深く成功している。
こういう試みは続けていって頂きたい。
満足度★★★
残り93%…とは
全体的に、間を意識させられる印象。
ネタバレBOX
戯曲、というかこの場合コントの台本かと思われますが、
数の問題もあり特筆するのが難しい印象。
演出は、個人の力量に因る所が大きかった印象。
役者、この場合演者だと思いますが、
それぞれが武器を持っていて、その武器が噛み合っている時は
拝見していて心地よい印象。
武器は個人の嗜好が反映されるので、どの方が、というものではない印象。
台本によっても、台詞に添える度合いが違うので、
違う取り合わせなどでやっても興味深い印象。
その他は、全体的に数を精査して、
もう少し精度をあげて頂けると拝見しやすい印象。
この様な緩いコントの場合には、表現がおかしくなるが
揺ぎない緩さが備わっていると、観客としては拝見しやすい印象。
私は、一瞬の間隙に、スッと置かれる様な、
指くらいは切れる様な、ペーパーナイフみたいな切れ味の台詞が好きだった。
あとは、吉田氏の存在は不可思議な気持ちにさせられる。
フォルムといい、言葉の吐き出し方といい、注視させられる。
満足度★★
三日月のセレナーデとは
全体的に冗長な印象。
ネタバレBOX
戯曲に関しては絞りきれていない印象。
全体の緩やかなテンポは、台詞の構造以外でも創りだせる印象。
言葉の数を減らしても演出によって、もう少し整理され、
拝見しやすい公演になった印象。
ただ冗長ではなく、情調、おもむきを出そうとしたのであれば
必ずしも失敗とは言い難い印象。
役者は、気持ちの有り様が見えない方がいらっしゃった印象。
それを均して頂くと、人と人の繋がりがもう少しすんなり入った印象。
素晴らしい方がいらっしゃっただけに、惜しい印象。
その他、装置の機構がスムーズでなかったのが残念な印象。
私は、世界観をもった公演が好きなので、そういった点では満足。
後はその世界観を確固たるものにする為に、生きている人、
芝居の場合役者の存在に因ると考えています。
が、但し今回の場合は、活かす人、演出に今一歩踏み込んで頂きたかった。
満足度★
ツキの王女とは
全体的に散漫な印象。
ネタバレBOX
戯曲に関しては基本的に古めかしい印象。
演出意図が不明。言葉のやり取りがテンポを上げすぎている為
会話になっておらず、心地よいリズムが生まれず、ただ垂れ流し。
一人だけリズムを守りつつ、台詞の意図を吐いている役者が居たが、
一人ではどうにもならない印象。全員をそのラインまでもってきて頂けると、
拝見しやすい印象。
役者は、もう少し練る時間が必要な印象。
様々な事柄が馴染んでいない印象。
その他、あの規模の劇場で、ほとんど何の装飾もされていない舞台美術は、
なにかしらの意図というより、手を抜いている印象。
この手の団体には、身内の客と思われる方々の先走った笑いが付きものだが、
そういった感じはなかった。冷静に観劇している印象。
私は、自己満足の公演が直ちにつまらない公演とは断じない。
しかし今回の公演は関わっている方々が自己満足を感じたのか疑問。