akiの観てきた!クチコミ一覧

21-25件 / 25件中
月の見える場所

月の見える場所

シアターノーチラス

ひつじ座(東京都)

2009/04/04 (土) ~ 2009/04/05 (日)公演終了

満足度★★★

バランス…
短編4本の上演ということで、相互がどういうコンセプトで影響し合い高めあっているのかに注目しましたが…その点は、「月の見える場所」というタイトルと、月が三日月から満月へと満ちてゆく唯一の背景セットという、いわば外的な点に委ねてしまっている感があり、少なくとも一度観ただけでは内容からは総体的なメッセージが読み取りきれませんでした。
独立したものとして観れば面白いものもありましたが、観劇前の期待(勝手ですが)とはズレがあったのが残念です。

ネタバレBOX

一本目。
姉と弟のキャラと役者さんのイメージがいまひとつ合っていない印象で…弟の「やり場のない気持ち」に添えなかった。
四本のなかで、会話が一番セリフセリフしていた…こんなふうに裏にイミを含みまくった会話をしている姉弟が現実にいるようには、とても思えない。

二本目。
登場する二人のやりとりの呼吸が合っていて、流れは面白かった。が、割と早い段階でオチ(女性の現実)が見えてしまい、衝撃にはいたらなかったのが残念。もうひと工夫欲しかった。

三本目。
「庭」というタイトルの意味がわからなかった。
四本の中で唯一女性キャストのみの作品で、個性の違いは面白かったが、感情のベクトルの強さに温度差がある印象で、稽古段階でもっと行き着けるところまでつめて欲しい感あり。
ラスト、亡くなったのがどちらかを示さなかったのは意図的だとは思うが、作品として効果的かは疑問に思う。事実を踏まえて、娘たちがそれぞれその後をどう生きていくのかを観客に想像させる方向性が欲しかった。

四本目。
「ソラミルチミル」というタイトルの語感や視覚的なイメージに個性が感じられ、内容的にもファンタジックで。都会の一隅に生きる不器用な人々が抱える孤独と、それでも誰かに支えられ誰かを支えることができる小さな出会い…好みです。
流れもスムーズで会話も自然で、これが一番良かった!

総体的に観て、この作・演出者の個性が生きるのは、四本目のようなタイプの作品だと思いました。
長編一本の上演に比べ、短編四本を並べて上演することは、単純な×4ではない大変さがあると思いますが、試みとしてとても面白いし、今後の作品にも注目させていただきます。
ロミオとシラノとジュリエット

ロミオとシラノとジュリエット

CAPTAIN CHIMPANZEE

ザ・ポケット(東京都)

2009/03/25 (水) ~ 2009/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★

単なるパロディなんかじゃないぞ!
初日、2列目で観劇しました。
「観たい」に、「ロミオとジュリエット」という永遠の恋人たちの名前のどまんなかに「シラノ」の名をもぐりこませるとは大胆不敵!と書いたのですが…観劇前の印象はそういう訳で、原作のパロディで笑える系なんだろうな、というイメージでした。その通り、人間関係をちょっとずつ変えたりと整理されつつ、微笑ましい感じでスタート。…ちょっと演者の力量に差が感じられるなぁというのと、すべりがちなギャグもあるにはありましたが。
いやはやでも、物語が進むうちに、なんとまぁ巧妙に二つの名作のストーリーを絡ませて破綻なく…いやいやそれどころか、おおーっそれって納得出来る!目からウロコ!的ないろいろな肉付けまでされて、おおっこれは見事に観応えたっぷりな力のあるオリジナルな作品になっているではないか!とジワジワ感じてきました。
衣装やセットにも工夫がこらされていて、休憩ナシの2時間20分、飽きずに感動をいただきました。
以下、ネタバレにて。

ネタバレBOX

シェイクスピア原作では、ふたりの愛の成就のために奔走し、運命のアヤでふたりが命を落とした悲劇的結末を迎えて自責の念に苦しむローレンス神父様。その彼を悪役に据えた脚本には、おもわず唸りました。そもそも、なぜ神父が人間を一時的に仮死状態に出来る薬なんか持ってたんでしょうという不思議。これまでいろいろな演出の「ロミオとジュリエット」を観てきながら、その不思議をスルーしていたなぁというのが目からウロコでした。もちろん、神父役を演じた役者さんがものすごく演技巧者で、表情や仕草が見事だったからでもあるのですが。
他、マキューシオ役の方も、巧いなぁと思いました。
ロミオ役、シラノ役の役者さんもそれぞれキャラクターに合った感じで巧かったのですが、うーん、女優さんが演じる違和感は終始…。もっと男女がごちゃまぜとかならともかく、そのおふたりくらいだったので(子ども役は除き)。ロザラインというキャラをおかまにしたのも、ロミオ・シラノを男優さんが演じればこその面白みとしてイキたのではないかと思うのですが。
ファウスト第一部

ファウスト第一部

劇団地上3mm

アレイホール(東京都)

2009/03/20 (金) ~ 2009/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★

空間演出が綺麗でした
初めてのアレイホール、作品の雰囲気にマッチしていて不思議な空間体験でした。
「ひたすらテキストに向き合い、戯曲の息遣いを丁寧に表現する。」というコンセプトを事前に読み、あえて戯曲そのものはもちろんあらすじを知ろうとはせず、ぼんやりと知っているイメージだけで観劇してみることに。事後wikiにあたってみたところ、確かに戯曲に誠実に向き合って表現されたのだなぁという印象でした。
なにせ「ゲーテ」なので、重々しく難解なのかな?という不安はあったものの、意外にわかりやすく、長時間ながら最後まで興味を持続して観劇できました。
以下、ネタばれにて。

ネタバレBOX

正面の最後列(とはいえ3列目)で少し段差が付いている座席を選んだのですが、舞台面がほぼフラットなため、低い位置での表現や、意味ありげに移動されたりする小道具などがほどんど見えず、最前列の方がくみとれたのだろう細かな(繊細な?)演出意図がくみとりきれなかったのは、非常に残念。
ピアノとギター系の生演奏は概ね作品世界にマッチしていたのですが…全体が環境音楽のような感じだったのに、何故かポピュラーな楽曲「Sing sing sing」…これはいきなり違和感でした。カフェで「作品世界にちなみまして」とドイツビールをセレクトされていたこだわりに比して、何故?(笑)
この曲のセレクトと共に、後半のマイクパフォーマンスは言葉がほとんど聞き取れず、その場面以外の均一な雰囲気とはマッチしていなかったのがもったいない感がありました。
他の方も書かれていますが、最大のマイナス印象は主役三人の衣装。岩波書店刊の由緒ある訳を生かした台詞回しと、現代風?(なのか?)な衣装がまったく合っていなくて、特に最も象徴的な存在であるはず(べき)なメフィストーフィレスに、あの衣装でところどころ文語めいた台詞を語られると、無意味に可笑しくなってしまったりで、ものすごく俗物に見えてしまい…途中、いやメフィストを俗物に見せることが、実はこの舞台の斬新な演出意図なのか?と深読みしてしまうほどでしたが。(違いますよね?)
ファウストの登場時の付け髭も、ちょっといただけなかったな。若返ってからの衣装の色使いも。
グレーテヒェンの衣装は清純な感じは出ていましたが、やはり現代風な女の子チックに見えてしまいました。
ともあれ、膨大な台詞に真摯にとりくまれた演者には拍手。
タナトス -Thanatos-

タナトス -Thanatos-

iNK Entertainment Co. Ltd.

アサヒ・アートスクエア(東京都)

2009/03/18 (水) ~ 2009/03/22 (日)公演終了

満足度★★★★

総合的な味わいの妙
最終日、最前列の真ん中に陣取ってたっぷりと拝見しました。
芝居はよく観ている方だと思いますが、ともするとどうしても、役者さんの演技力というか表現力だけで評価をしてしまいがち。ですがこの作品は、まずは会場自体が醸し出す不可思議な印象、そして装置・小道具・照明・音楽・「香り」…そこで演じる確かな実力の三人の俳優さんたちの、研鑽された台詞の応酬と表情と動き…すべての要素が絶妙に絡まりあって、休憩なしの1時間15分、別世界に連れ去られた感あり。芝居好きには大いなる醍醐味でした。
ただ正直、一度観ただけでは謎解きな部分が理解しきれなくて…いや謎が謎なまま残るのも芝居の味わいだとは思うのですが、ちょっぴり消化不良感も。

リヒテンゲールからの招待状

リヒテンゲールからの招待状

Jungle Bell Theater

アイピット目白(東京都)

2009/02/25 (水) ~ 2009/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

心地よいファンタジー世界
まさしくファンタジーの王道!魅力的な名前を持った登場キャラクターたちが、シンプルなセットのなか凝った素敵な衣裳で縦横無尽に表現するその独特な世界に、いつしかどんどん惹きこまれて、前のめりに観ていました。王道ではありながら、ちゃんと現代に即した笑いも含まれていて、そのバランスも絶妙。
主人公・歩が愛したこの物語のように、私にも、今でも宝物のように大切な物語がいくつもあるなぁと、たまらなく懐かしくあたたかい気持ちになれました。
まだ間に合いますよ!ぜひ。

このページのQRコードです。

拡大