雨降る正午、風吹けば
SUPER NOVA
大阪市立芸術創造館(大阪府)
2022/08/18 (木) ~ 2022/08/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
実は東京公演で見る予定だったのですが、コロナで中止になったので大阪まで弾丸で見にいってきました。
王子小劇場で見たものとの違いは高さの違いかなと思います。王子小劇場が教室だとするなら、大阪での劇場は体育館に近しいものがありました。舞台が広くなった分、演者との距離も広くなりましたが、ただ懸命に生きる若者たちの一瞬をガラスの向こう側から覗いているような感覚になります。また天井が高いせいか、セットに映し出される映像もより大きく見えました。
演技も東京〜大阪の間がしばらく空いていたこともあり、またより違うものに変わっていました。戯曲やキャストは同じであるのに、まるで見え方が違っている。そのことに対して一切の違和感を感じないのは、この脚本の可能性のなすところではないかなと思います。
東京と大きく変わったと感じたのは照明です。王子は距離が近いゆえか、暗転しても人の気配を感じていましたが、大阪では照明が当たっていない部分と当たっている部分の差があり、明かりを残すというのはそこを見せたいのだなと感じることができました。
最後に近づくにつれ、客席から聞こえる嗚咽の音にこの物語が響く人がこんなにも多くいるのだなと少しだけ嬉しくなりました。観客からの大きな愛と、出演者からの大きな愛、また脚本演出を含めたスタッフからの愛。私たちを指して、皆が家族だと言ってくれたこと、本当に嬉しく思いました。
2023年の夏に期待を込めて、この残暑と、秋冬、それから春を過ごそうと思います。大阪公演お疲れ様でした。
雨降る正午、風吹けば
SUPER NOVA
王子小劇場(東京都)
2022/07/13 (水) ~ 2022/07/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
初めての観劇でした。実地は春夏で2回、冬は映像のみです。
役者の芝居はもちろん物語の骨格がしっかりとしていてとても楽しむことができました。映像作品のような演出もありつつ、それでもライブであることを実感させられる熱量があります。
ひょっとすればチープに思えてしまうものだと感じる人もいるかもしれません。この作品は再々演ということもあり、演劇では擦りに擦られたテーマかもしれません。
ですが、この作品は現代に生きる私たちへ「なぜ生きるか」「死を目前とした時、己は何をのこせるか」「大切な人の死と直面した時、何を感じ取れるのか」とうものを投げかけていると思います。
人生という長くて短い旅の中で、大切だと思える人に出会えるのは何度でしょうか。その人に思いを伝えることはできているのでしょうか。命は大切だと知っていながら、なぜ人は死にたいと願う瞬間があるのでしょうか。
死というものは命の意味を考えさせます。それは作・演出の桐山氏の命題とも呼べるものじゃないかと手前勝手に考えています。
私たちは幸運にも登場人物の死を通して己の命の意味を考える機会を得ました。それは貴重なことです。そこで得たものは真実ではないかもしれませんが、大切なもので、今の自分を知る上で必要なことではないでしょうか。
作演出の桐山氏の才能に感嘆するとともに、これからも素晴らしい作品が世に生み出されることを祈り、応援していたいと思いました。ただ「作家は鬱になってしまう」らしいので、息抜きやインプット期間を挟みながら楽しく生きてくださいね。
千秋楽付近がコロナで飛んだのは残念ですが、大阪公演は最後まで走り抜けることができますよう応援しています。これからのSUPER NOVAに期待です。若き才能に乾杯。