未明かばんをとじた
らまのだ
小劇場 楽園(東京都)
2018/02/14 (水) ~ 2018/02/20 (火)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/02/14 (水) 19:30
R25(平均25歳)バージョンを見た。喫茶店でカバンをなくした女、そこに居合わせたフリーライターの男、そのフリーライターにチラシ作成を依頼する教員の男、そしてネイリストの女の4人芝居が基本だが、そこに様々な役割を演じる女を含めた5人芝居で、4人の男女が好きになったり別れたり、等のさまざまを演じる。会話劇だが、会話の途中に別の会話が割り込んで場面転換するのが南出の特徴と言えようか。物語の流れが分かりにくくなるギリギリの線で巧く作られており、なんだか不思議な感触が残る芝居だった。
衣衣 KINUGINU
metro
新宿ゴールデン街劇場(東京都)
2018/02/09 (金) ~ 2018/02/18 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/02/10 (土) 18:00
泉鏡花と古浄瑠璃にテキストを取り、月船さらら・後藤仁美の女優2人と結城座の人形で上演する70分。古い題材を現代化する天願大介の力量と、さまざまな女性を演じ分ける月船の才能には、いつも感服させられる。ただし物語は、残念ながら少し私のテイストではないなと思う。
ノスタルギヤ
Ammo
d-倉庫(東京都)
2018/02/07 (水) ~ 2018/02/12 (月)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/02/09 (金) 19:30
旧ユーゴスラビアが民族的対立から崩壊し戦争となる過程を、日本人のスポーツライター(モデルあり)と天才的サッカー選手の目を通して描く。Ammoの特徴として、個々の場面は丁寧に描けているのだが、全体を通して、何故その題材を描くのか、という点が明白でないということがある。今回も、いい芝居だと思いつつ、何故ユーゴスラビアの問題を、という疑問が消えない。また、民族的対立を描くのであれば、日本人が演じるのであるから、民族が一目見て分かるシンボルが欲しい気がする。唯一孤立した存在であるロマ族を演じた前園の秘めた思いの表現はなかなかのものである。
鵺的トライアルvol.2『天はすべて許し給う』
鵺的(ぬえてき)
コフレリオ新宿シアター(東京都)
2018/02/07 (水) ~ 2018/02/13 (火)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/02/08 (木) 19:30
3人の狂った男達と、その男たちに人生を狂わされた女達と、その周辺の人々の、みんなが狂っていく様子を、ダークに描いた「鵺的の真髄」的作品。ダークさにかけては、ある意味で鵺的以上のモノを持つ elePHANTMoon のマキタカズオミが演出し、最小の表現で最大の効果を上げるような濃密な舞台ができあがっている。普通の人々が、いかにして異常者になりうるかというテーマがあるように思う。
女優陣が皆美女で、主宰・高木登の選球眼には敬服するし、最前列中央での観劇は、眼福と呼ぶしかない。
「3483」
電動夏子安置システム
駅前劇場(東京都)
2018/02/07 (水) ~ 2018/02/12 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/02/07 (水) 19:30
ツイッターで「電夏が社会派になった」という冗談っぽい書き込みを読んで興味深く観たが、確かにそうとも言える作品だった。と言っても、いつもの電夏の「勘違い」系の作品で爆笑の連続なのだけれど、場所も登場する民族も謎で、タイトルさえ謎で、その謎が解けたときに「社会派」的雰囲気が漂う。エンディングを背負う新野アコヤを観て少し涙してしまった。
かさぶた
On7
小劇場B1(東京都)
2018/02/03 (土) ~ 2018/02/11 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/02/05 (月) 19:30
異なる新劇系の30代の女優7人が集まったユニット(今回は渋谷はるかが別公演で欠席で6人)が、あえてセリフを捨てて、ディバイジングという手法での公演。あえて身体に賭けてみるということで、やはりセリフらしいセリフはなく、ダンスというよりムーヴィングでの表現だが、30代であること、女であること、が自然と滲み出てくる舞台だった。興味深く観た。
『カザカミ』
kazakami
王子小劇場(東京都)
2018/01/31 (水) ~ 2018/02/04 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/02/03 (土) 19:30
チラシに書かれている通りの物語で、鬱で休職した女性の見た一種の夢落ち的な展開。ありふれた場面の連鎖で、あまりにも現実にありそうなので、逆にビックリしたが、「法則」という役名のレベッカがいるあたりが、夢だと伝えているのかもしれない。久々に舞台で見た石井舞の安定感は流石だと思う。悪い人はいない、という展開だが、意図の「悪」と表現形の「悪」は区別されるべきで、今は表現形の「悪」が許されていない社会だと思う。白を基調とした抽象舞台と、照明が美しい。
「存在と証明1」とあるのだが「2」はあるのだろうか。観てみたいと思う。
ドアを開ければいつも
オスカープロモーション
テアトルBONBON(東京都)
2018/01/31 (水) ~ 2018/02/04 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/02/03 (土) 13:00
みそじんの鶏由宇お座敷公演で何バージョンか観ている作品だが、劇場での公演は初めて。役者が変わるだけで雰囲気の変わる芝居だと分かっているので、興味深く観た。母の七回忌に久々に集まった四人姉妹の一夜の出来事だが、軸になる次女を演じた田崎那奈が立ち上がり固い感じがしたものの、すぐによくなり、元々がよくできた戯曲なので、気持ちよく観ることができた。笑える演出になっていたと思うのだが、客席が思いの外笑わなかったのは、意外だった。
iaku+小松台東「目頭を押さえた」
iaku
サンモールスタジオ(東京都)
2018/01/30 (火) ~ 2018/02/04 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/01/30 (火) 19:30
山村で元は林業が中心だった地域に残る葬送の習俗「喪屋」。そんな村に住む女子高生2人の心の揺れと、取り巻く人々の物語を、いかにもiaku(横山)らしく描く。物語的には予測可能な展開とも言えるが、喪屋という習俗には違和感を感じる。しかし、それが実際に行なわれるシーンで一気に説得力を持つというのは演劇の力と言えよう。中心となる女優2人を始め、役者陣もしっかりと演じて、優れた芝居が立ち上がったように思う。
『LOVE』Chapter2
シンクロ少女
OFF OFFシアター(東京都)
2018/01/29 (月) ~ 2018/01/31 (水)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/01/29 (月) 19:30
名嘉友美はどうしたのだろう?相変わらず性的な話題はいっぱい出るが、あれほどダークな面を強調する芝居をやっていたのに、本シリーズでは純情系路線に転じている。しかし、それで笑わせてくれる。櫻井と名嘉のコンビもよいが、おがわじゅんやとたなか沙織、そして、徳橋みのりのポジションが絶妙である。一応はchapter1と続いた話で、1話完結ではあるが、chapter1を観ていた方がよく分かる。1話のあらすじが公開されているので、観てない人は読んでから観に行くことをお勧めしたい。そして、エンディングは確実に chapter3を観たくなるような終わり方。
HAPPY!!NO TITLE!!
ここ風
中国茶芸館 BLUE-T(東京都)
2018/01/26 (金) ~ 2018/01/28 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/01/28 (日) 18:00
かつてやっていた、バカバカしい芝居を久々にやってみようということで、劇団員だけでカフェ公演のオムニバス。4作品を無理に繋げる技は巧いが、個々の物語にはご都合主義的展開があり、すごく面白いと言うのではないが、細かいセリフが笑えて、確かにバカバカしい芝居をやってるな(^_^;)とは思わせる。夢落ち的な展開にしたのはやや残念。
「アイドルスター☆トール!」「OLと課長さん」
関村と浅野
スタジオ空洞(東京都)
2018/01/26 (金) ~ 2018/01/28 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/01/28 (日) 13:00
13:00から『OLと課長さん』、15:00から『アイドルスタートール』を観た。
『OLと課長さん』は初演も観たが、公演で昼休み2人のOLと課長さんが下らない話をしている芝居。初演では課長さんは男だったが、今回はKAKUTAの異儀田夏葉が演じ、後藤飛鳥、伊達香苗のOLコンビとも年齢差があまりなく、課長さんらしさは強調されていないが、、逆にのんびりした印象の苦笑する芝居になっていた。
『アイドルスタートール』は、初演を観損ねているが、中年のアイドルと、その中年のマネージャーと、その追っかけの中年という、「中年」感いっぱいに芝居。ちょっと難しく言うと、アイドルとは何か、を追及しているとも言え、アイドルという存在を揶揄していると捕らえかねない芝居だが、そういう難しいことを考えず、単純に笑っていればよい気がした。
島
東京×こふく劇場
こまばアゴラ劇場(東京都)
2018/01/24 (水) ~ 2018/01/28 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/01/27 (土) 14:00
宮崎を本拠地とする永山智行主宰こふく劇場が東京の役者を使っての上演。セリフらしいセリフがなく、独白や文学のテキストを語り、また、役者は基本的に極めてユックリ動き、通常の演技らしいものもない。普通に芝居を観ている常識が通用しない難解な舞台だった。役者にとっても観客にとっても、キビシイ芝居だったように思う。
ここから
ソラカメ
王子小劇場(東京都)
2018/01/24 (水) ~ 2018/01/28 (日)公演終了
満足度★★
鑑賞日2018/01/24 (水) 19:00
森の中らしいゴミ捨て場みたいな所に、女2人が逃げて来る。戦争中らしく追われているらしい。そこに機関銃を拾った女が出会う。一方で、その同じ場所に学校をサボった女子高生2人。捨ててあったギターを拾ったら、その持ち主が現れる……。スジは通っていない抽象的な芝居だった。ギターの持ち主が歌う「ここから」に合わせて無理に芝居を作った印象がある。舞台芸術学院出身なので、物語を紡ぐ力はありそうだが、前作の評判を聞いて行った割には残念な芝居に思えた。
1万円の使いみち
monophonic orchestra
Geki地下Liberty(東京都)
2018/01/13 (土) ~ 2018/01/21 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/01/21 (日) 17:00
1万円を渡して、その使い道を映画にしようとする男と、その男が落とした1万円を渡そうとして男を追う女。2人が井の頭線と小田急線を行ったり来たりする中で出会う人々や、数々のエピソードで物語を紡ぐ手法は、須貝らしく丁寧に緻密に準備されている。ややご都合主義的な展開も須貝らしいやり口と思えるし、叙情的な終盤は須貝の真骨頂である。役者陣も、やや難しい課題に挑戦して、座組が新鮮に見えた。
滅びの国
ロ字ック
本多劇場(東京都)
2018/01/17 (水) ~ 2018/01/21 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/01/21 (日) 13:00
山田佳奈の描く芝居は、少し壊れた人々が展開する話であることが多い。今回は、団地の専業主婦で夫が部下と浮気中という状況に倦んだ女(吉本菜穂子)が若い男を買う所から物語が動く。男は、少し壊れた若者達と一緒にシェアハウスに住み、怠惰で不道徳な生活に浸る……。ありふれた話と言えばそうだし、2時間半かけて展開するストーリーなのかと言えば、冗長感があるのは確かだが、それでも緊張感を維持できているのは、(多分)6年ぶりに舞台に上がる吉本の存在感である。他の役者陣も熱演してはいるが、吉本で保っている芝居と言っても過言ではないように思う。
黒蜥蜴
梅田芸術劇場
日生劇場(東京都)
2018/01/09 (火) ~ 2018/01/28 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/01/19 (金) 18:00
黒蜥蜴は、2012年に浅野ゆう子が明治座で上演したものを観たが、本作は三島由紀夫が戯曲化したもので、とにかく耽美的であることが重要と思われる。中谷美紀は初舞台で井上靖の「猟銃」を1人で演じきり、その美しさは見事だったけど、本作も演出にデヴィッド・ルヴォー、相手役に井上芳雄を得て、見事な美しさを見せてくれた。全編、美への追及をロマンチックに描き上げているのはルヴォーらしい作品だと思ったし、最小限のセットで上演する美術面も素敵だった。それにしても、小劇場で観始めた成河と相楽樹のラブシーンを日生劇場で観るのも、また感慨深いものがある。
アスファルト・キス
ワンツーワークス
あうるすぽっと(東京都)
2018/01/18 (木) ~ 2018/01/21 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/01/18 (木) 19:00
ブラジルの作家の日本初演作。交通事故死に遭遇した男が、死にかけている男の求めでキスをしたことが同性愛(という言葉は芝居の中では出て来ない)としてスキャンダルになり、家族が崩壊していく、というテーマだと思っていたし、実際、悪意のある報道や警察の動きでスキャンダル化していく過程が描かれている。しかし、50年代のブラジルという説明は劇中にはないし、その当時のブラジルの文化的背景も提示されないので、単純に観ると、男同士のキスがあれほどのスキャンダルになることに違和感はある。そして、エンディングの出来事で、その「悪意」がテーマなのか、という疑問が残った。そのあたりを丁寧に描いていればと考えると惜しい作品である。
そこのこと
空間交合〈アサンブラージュ〉リジッター企画
CBGKシブゲキ!!(東京都)
2018/01/17 (水) ~ 2018/01/21 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/01/17 (水) 19:00
ある白い靴が、いろいろな人の手を渡る内に汚れていく…、という、リジッターらしい「モノ」語りが語られる前半。靴は森脇洋平の動きに、上手上方にいる新垣里沙が語り手というのがちょっと面白いのだが、ちょうど半分を過ぎた頃に、その理由が分かる。ここがリジッターとしては新しい試みということになるのだろうか。大手の劇場で客演も多く、少しいつもとは違ったことをやってみたということなのだろうが、それは一応は成功していると思う。2時間20分という長さはリジッターにしては長い方だが、気にはならない。ただし、肉体的には少し辛い。
近松心中物語
シス・カンパニー
新国立劇場 中劇場(東京都)
2018/01/10 (水) ~ 2018/02/18 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/01/12 (金) 18:30
かの蜷川幸雄演出で、1000回以上上演された作品なので(私も寺島しのぶ・阿部寛のバージョンは観ているのだが)、演出のいのうえにはプレッシャーだろう。だが、そこは新感線での経験を活かし、少し別な印象の『近松心中物語』になっている。何と言っても、舞台美術の抽象性と転換で自在に舞台を動かし、「大騒ぎ」の印象を作り出すことができている。物語は単純で、心中しなければならない2組の男女の話だが、いのうえは、それが誰にでも起こりうることという解釈をしているように感じた。役者では、池田成志が出色の出来だが、江戸情緒を出す上で市川猿弥の存在感も大きいように感じた。