jokermanの観てきた!クチコミ一覧

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消え残る

消え残る

深夜ガタンゴトン

王子スタジオ1(東京都)

2020/08/13 (木) ~ 2020/08/16 (日)公演終了

満足度★★★★

 確か初見の劇団。60分ほどの2人芝居だが、とても面白く、深みもあった作品だった。
 高校の演劇部の先輩で、東京に出てきて5年の男(ムトコウヨウ)の部屋に、後輩の女優志望ナナミ(星秀美)がころがりこむ。男はナナミを後輩として扱うが、ナナミがAV女優になるということで…、という展開は、演劇が演劇そのモノを扱う面白さがある。これは往々にして自己弁護型になりがちなのだが、等身大の会話劇を紡ぎ、自己弁護になっていない脚本が巧い。ナナミの名前が売れていくに連れての男のアンビバレンツが描かれていて、マメットの『ライフ・イン・ザ・シアター』の男女版とも言えそう。情けない男を演じたムトコウヨウも頑張り、ナナミを演じた星もサービスショット満載で頑張った。
 予定した客が全て揃ったらしく、開演予定の3分前に始まるというのも面白かった。

NO.4 『バクステ!3rd stage.~舞台裏にも「スタッフ」という演劇人がいる。~』

NO.4 『バクステ!3rd stage.~舞台裏にも「スタッフ」という演劇人がいる。~』

エヌオーフォー No.4

赤坂RED/THEATER(東京都)

2020/07/29 (水) ~ 2020/08/10 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/08/02 (日) 13:00

 小野寺ずる出演というので観に行った。いやーーー面白かった。昨年、2作品観たNo.4(エヌオーフォー)というユニットだが、2時間がアッと言う間に過ぎる演劇愛に溢れた舞台だった。観るべし!
 「3rd」とあるように、2018年に初演、2019年に再演したものの再々演だが、過去の作品は観てない。とある舞台の劇場入りからの3日間、仕込みの初日を30分、場当たりの2日目で30分、ゲネプロと初日開けの3日目を1時間で、その間のスタッフルームでのさまざまな出来事やあれやこれやを、笑わせながらも時折泣かせ、感動させてくれる作りが巧い。主人公は一応、制作助手役の上坂(納谷健)だが、群像劇としてよくできた脚本である。登場人物それぞれに物語がしっかりあり、終演後も各々のキャラクターを思い出すことができるほどに巧い。役者陣もしっかり演じ、芝居を楽しく面白く感動的なものにしている。
 最も感動的だったのは、部外者的な立場の特典映像撮影者の阿久津の発する「観客がいてこその演劇」というセリフ。これはコロナ禍で苦しむ演劇人の言葉でもあるし、先日PARCOで観た「大地」のテーマと同じとも言えそうである。
 期待の小野寺ずるは、クールでプロフェッショナルな照明助手を演じ、力量ある所を見せてくれた。
 座席は市松模様だが、この半分の座席すら埋まっていないのは残念でならない。

『とおくはちかい (reprise) 』『ここは出口ではない』【京都公演公演中止】

『とおくはちかい (reprise) 』『ここは出口ではない』【京都公演公演中止】

屋根裏ハイツ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2020/07/23 (木) ~ 2020/08/02 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2020/07/29 (水) 19:30

書き忘れていたが、『とおくはちかい (reprise) 』を観た。静かな演劇だった。被災したらしい若者を、その友人らしい人が訪ねて、とりとめもない会話を紡ぐ。特に何も起こらないけど、余韻を楽しむ、というのかな。

赤鬼

赤鬼

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2020/07/24 (金) ~ 2020/08/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/07/25 (土) 14:00

 野田秀樹1996年の作品で、何回か本人も他の人も上演されている戯曲だが、本人の演出で16年ぶりの上演である。見事だった。
 初演からロンドン版、タイ版も含めて観ているのだが、本公演はタイ版に基き、野田が主催する「道場」に参加した演劇人によるもの。4グループに分けての公演で、今回はAグループによるものだが、戯曲がよくできていると改めて感じさせ、演出もタイ版を彷彿とさせるものだった。役者陣それぞれが巧くアンサンブルを演じ、「あの女」を演じた夏子もステキだったが、その頭の足りない弟の「とんび」を演じた木山廉彬が巧みで、この戯曲はこの役を演じる役者の存在感にかなりの部分を依存しているのではないかと思った。

野獣降臨

野獣降臨

ドナルカ・パッカーン

萬劇場(東京都)

2020/07/22 (水) ~ 2020/07/26 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/07/24 (金) 18:00

 野田秀樹1982年の岸田戯曲賞受賞作を、3人芝居で上演する試み。懐かしい芝居だった。90分。82年の初演、84年の再演、87年の再々演と上演されて以来、33年ぶりに観たのだが、あぁこうだった、というセリフがいっぱいあった。
 初演は、遊眠社にとっては最後の駒場小劇場での公演で、思い出深いものだったのだが、それを潤色して3人で80分の公演というのはチャレンジングだと思って観に行った。セリフは活かしつつも大きく削り、物語の主軸だけは残した潤色は見事なものだが、遊眠社特有のスピード感は残念ながら無かった。もっとも、それは演じる側も予想していなかったのだろうが、場面転換で時間がかかったのが、やや勿体なく感じた。

殺意 ストリップショウ

殺意 ストリップショウ

世田谷パブリックシアター

シアタートラム(東京都)

2020/07/11 (土) ~ 2020/07/26 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/07/24 (金) 14:00

 三好十郎が1950年に書いた一人芝居に鈴木杏が挑む115分。壮絶な舞台だった。今日で引退するストリッパーが、踊った後に観客に向けて、彼女の半生を語るというものだが、それはある男の物語でもあり、社会の物語でもある、というのが三好らしい作品と言えるのだろうか。戦後間もない時代背景もあってか、言葉遣いが少し古めかしいし、戦争の色濃く残る時代の物語という特性はあるものの、ほぼ2時間を一人で演じる鈴木が物凄く、緊張感ある時間を過ごした。
 何度もカーテンコールを求める観客の気持ちは分かるが、この時期に演者や制作側に余計な負荷をかけるのは気の毒ではないだろうか。

『ブラックアウト』

『ブラックアウト』

singing dog

雑遊(東京都)

2020/07/16 (木) ~ 2020/07/20 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/07/17 (金) 19:00

 タイトないい芝居だった。アルコール依存症を扱った芝居を観るのは初めてかもしれない。95分。
 アルコール依存症専門病院のある部屋で同居する6人の患者と、その面倒をみる2人の看護師の群像劇。作者自身が依存症だったそうで、時折笑いはおこるものの、リアルな描写はインパクトがある。一応の中心は鈴木(谷仲恵輔)で、エンディングは、こうなってほしい…、と皆が望む形になるのだが、それが本当の終わりなのかと考えさせられる舞台だった。チャリTこと楢原拓の役者ぶりを観るのはかなり久々だが、役者として巧い人なのだなぁと今更ながら思った。
 改装なった雑遊は別の場所に作られ、サイズは少し小さくなったような印象がある。いずれにしても、芝居を観る場所が増える(復活する)ことは嬉しいことだ。

天神さまのほそみち

天神さまのほそみち

燐光群

ザ・スズナリ(東京都)

2020/07/03 (金) ~ 2020/07/19 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/07/11 (土) 14:00

燐光群が別役不条理劇にチャレンジだが、意外にすんなりと「落ちる」芝居になっていた。75分。
 不思議な対応をする人々と出会った「普通の」人が、争いを避けようとして逆に争いを起こしてしまう、というのは分かりやすい。勿論、不思議な人々の反応の理由は分からないし、「普通の」人であるはずの姉弟にも不可解な部分は残るが、こういう「巻き込まれ」型のトラブルは現実でもありそうだと感じる。そして、それが暴力的に解決されるという不条理も現実ではありそうな気がした。
 燐光群の役者陣も歳を取ったが若手が育ってきているのは分かり、良い脚本に出会えば面白い舞台を作れるのだと改めて認識した。

大地【6/20から初日延期】

大地【6/20から初日延期】

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2020/07/01 (水) ~ 2020/08/08 (土)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/07/05 (日) 12:00

 三谷幸喜らしい演劇愛に溢れた作品だった。
 映画や演劇などの文化的な価値が認められていない体制の国で、役者達が収容所に集められ苦しい生活を送る。そこでのさまざまな立場の役者(と管理者)による群像劇。エンディングは切ないが、それこそが三谷の演劇論なのだろうと思った。
 2幕休憩25分込み2時間55分の長丁場だが、それを飽きさせない展開は三谷の職人芸が発揮されている。三谷作品初出演の辻萬長を始めとして、個々の役者の見せ場を作るあたりも三谷の役者へのリスペクトからだろうか。個人的には、浅野和之のパントマイムが2本も観られたのは大収穫である。
 改装なったPARCO劇場の柿落とし企画だが、コロナの影響で初日が遅れた。客席も市松模様の着席で少し寂しいが、取り合えずこのサイズの劇場で生の舞台が観られることを喜ぶべきだろう。

謁見

謁見

やみ・あがりシアター

スタジオ空洞(東京都)

2020/06/18 (木) ~ 2020/06/21 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2020/06/20 (土) 20:00

 興味深い芝居だった。
 とある国の女王が、戦争をしている相手の国の王子と結婚することで戦争を終わらせたのを祝って、平民と会うことにして、その「謁見」の様子を、短編集として上演する。高貴な人は平民には顔を見せず、平民も高貴な人と会う時には顔を隠す、という設定で、この時期に合わせた作品として巧妙な仕掛けが興味深い。加えて、短編集ということで、頻繁に休憩を入れているのだが、それにも笠浦らしい仕掛けがあるし、休憩時のアナウンスでMステをディスるという展開も巧い。それにしても、お座敷小唄が今の若い世代に分かるのかなぁ(^_^;)。

死と乙女 ~とあるアイドルの葛藤詰将棋編~

死と乙女 ~とあるアイドルの葛藤詰将棋編~

三栄町LIVE

三栄町LIVE STAGE(旧:フラワースタジオ) (東京都)

2020/06/08 (月) ~ 2020/06/21 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2020/06/09 (火) 19:30

久々に観た舞台は楽しいものだった。
以前から1度は観たいと思っていたユニットの黒薔薇少女地獄だが、ひらがなになっての公演。コロナ禍で2か月半芝居を観ていなかったのだが、その再開が本ユニットというのは何の因果か(^_^;)。
アイドルユニットの葛藤を描くストーリーは、ベタと言えばベタなのだけれど、詰め将棋と連動させたところは非常に面白く、アイデアの勝利かと思う。演技的にイマイチと思える印象があるのは勿体ないのだが、カワイイ女の子がいっぱい出てきて、アイドルらしく歌って踊って、というのはとにかく楽しい。気持ちよく観せてもらった。

紙とダイヤモンド

紙とダイヤモンド

Dotoo!

駅前劇場(東京都)

2020/03/25 (水) ~ 2020/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/03/25 (水) 19:00

 電夏の新野アコヤが出るというので、初の劇団Dotoo!。質の高いコメディ作品だった(^_^)v。1996年に別名で初演され、2010年に本タイトルに変えて再演されたものの再々演だそうだが、手慣れた感じが出ていたのは確かだ。どんな結婚式でもやってみせるウェディングプランナー会社のマジカル・ウェディング・ラボにやってくる、あれこれ様々なワケありカップルたちが起こすテンヤワンヤを描き、温かい物語が展開される。タイトルは、1年目の紙婚式から60年目のダイヤモンド婚式までという意味だ。
 なお、劇中で使う大道具の観葉植物が私の方向に倒れてきて、すんでのところで押さえたけど、終演後、スタッフからも役者からも気遣う発言は一切なかった。もし誰も気づいてないとしたら劇団として問題だと思う。

新雪之丞変化

新雪之丞変化

Project Nyx

ザ・スズナリ(東京都)

2020/03/19 (木) ~ 2020/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/03/24 (火) 19:00

 歌舞伎や映画で有名な『雪之丞変化』を小劇場に向けて戯曲化されたものを、女優だけで演じる女歌舞伎として上演する試みだが、独自性もある面白い作品になっていた。物語は、両親の仇を討つため芝居一座の女形として江戸に出て来た雪之丞が、仇の娘を籠絡して仇を討とうとするが、最後に…、というもの。基本的なストーリーは変えていないが、Nyxらしいアングラテイストもふんだんに交え、BUCK-TICK楽曲も折り混ぜてのエンターテイメントとして、しっかりした作品になっていた。女優陣も熱演だが、幼い頃の雪之丞を演じる河辺珠伶は、中学校の卒業式の翌日に本作の初日を迎えるという若さで、身体能力の高さを見せる等で驚かされてしまった。

Q学【3/28-29公演中止】

Q学【3/28-29公演中止】

田上パル

こまばアゴラ劇場(東京都)

2020/03/19 (木) ~ 2020/03/31 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/03/23 (月) 19:30

 初の田上パルだが、かなり面白い作品だった。2018年に初演された作品の再演で、作・演出の田上が、高校の「演劇」の授業を非常勤として担当した際の経験をもとにした作品である。問題児ばかり、という設定になっているが、登場する「女子高生」は多少の誇張はあるものの、いかにもいそうな人物像となっているし、展開されるエピソードもやはりありそうなものである。演劇の力を示そうという試みとも取れるが、そう思わなくても面白い舞台である。

今が、オールタイムベスト

今が、オールタイムベスト

玉田企画

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2020/03/19 (木) ~ 2020/03/26 (木)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/03/21 (土) 14:00

 初の玉田企画。2017年に初演された玉田企画の代表作の再演だそうだが、興味深い舞台だった。中学生の息子を持つ会社社長が、再婚するための結婚式を挙げるために、前日に長野の別荘に来ている。社員や新婦の友人などが翌日の準備や、前日のサプライズパーティーなどをやろうとするが、息子は新しい母を認めることができず、結婚式には出ない、と言う…、というシーンから始まって、少しずつズレてる人たちの会話が続く。終盤に父と息子が対立するシーンで父が投げ掛ける一言が印象に残るが、それが必要だったのかは、よく考えてみたい。

蝙蝠傘と南瓜【3月28日(土)~30日(月)公演中止】

蝙蝠傘と南瓜【3月28日(土)~30日(月)公演中止】

劇団銅鑼

銅鑼アトリエ(東京都)

2020/03/19 (木) ~ 2020/03/30 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/03/19 (木) 19:00

 劇団銅鑼が詩森ろばに作・演出を依頼する第2弾。やはり面白い!日本初の女性写真家である島隆(しま・りゅう)と夫でやはり写真家・画家の島霞谷(しま・かこく)の物語。江戸末期から明治初期を生きた2人の生き方を、詩森らしくエンターテインメント風味をいっぱいに含みつつ、女性の生き方、明治維新を受けての新しい生き方など、様々な要素を込めて描くところが興味深い。現代の、女性地方紙記者と郷土史研究家をストーリーテラーにして、説明的な部分を担わせるあたりも巧い。ダイナミックに使われる舞台美術も一見に値する。

対岸の絢爛

対岸の絢爛

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2020/03/06 (金) ~ 2020/03/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/03/11 (水) 19:00

 トラッシュの新作があまりにも凄かったので、2度目の観劇。やはり凄かった。3つの時代,3つの場所を、家族の物語として繋ぐ構成力ある戯曲が魅力的だが、加えて、それを体現する役者陣も熱演だと思う。同じ役者が異なる時代に異なる役割を演ずることで、ある種の連続性を感じさせる芝居が作り上げられていると、改めて感じた。3つの時代で全く異なるキャラクターの役を演じた長谷川景と、物語を動かす役割の藤堂海という、2人の若手の活躍が目に止まる。
 休憩なし2時間40分というのは、初心者に勧められるものではないが、あえて勧めておきたい。是非観て欲しい。

優しい顔ぶれ

優しい顔ぶれ

らまのだ

OFF OFFシアター(東京都)

2020/03/06 (金) ~ 2020/03/11 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/03/08 (日) 15:00

 短編集で、2時間15分が長く感じない。改憲戯曲と言っているが、特にそう意識しなくてもよい作品だと思う。「麻酔みたいな」は、同棲する男女の物語。男は社会性がないのだが、女に元カレとの間に子どもがいて、お腹にも新たな子どもがいると知って物語が進む。30分。「あたらしいニュース」は、近未来、九条改憲の投票を来週に迎えた時期、ネット・ニュースの下請け会社の社員の一人が書いた、自衛隊員を面白おかしく扱った記事に対し、自衛隊員募集係の男からクレームが入るが…。70分。「優しい顔ぶれ」は、死期が近づいた妻を看病する男だが、経営する店のバイトの女と不倫中、で起こる出来事の数々。35分。2話の起伏ある展開も興味深いが、男のアンビバレンツを描いた3話が個人的には好み。

バロック

バロック

鵺的(ぬえてき)

ザ・スズナリ(東京都)

2020/03/07 (土) ~ 2020/03/15 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2020/03/07 (土) 19:30

 壮大な物語を丁寧に上演しているのは分かる。地方の洋館を舞台に、姉の亡霊がとりついた館を舞台に、妹とその夫、3人の息子と2人の娘や、彼らを取り巻く人々が巻き込まれた怪奇な体験の数々…、という物語。作で主宰の高木は亡霊を恐れないそうで、登場人物が亡霊の存在を受け入れているのは興味深く、出来事も壮大なのだけれど、何となく消化しきれないモノが残ってしまうのは私のテイストと言えよう。
 照明が逆光主体のため、途中から眼が痛くなり観ていられない所があったのは一考を促したい。

対岸の絢爛

対岸の絢爛

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2020/03/06 (金) ~ 2020/03/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/03/06 (金) 19:00

 トラッシュマスターズ20年目の新作は見事な構成の作品になっていた。観るべし!IRを扱った物語、ということはチラシで知っていたが、現代の横浜,194X年の大分県・保戸島,198X年の広島県・鞆の浦という、三つの時代と場所を、家族の物語として繋ぐ脚本がまず凄い。まず現代の横浜にIRを作ろうとする動きに反対する家族が、父親がギャンブル依存症だったことを窺わせ、戦時中の保戸島でその父親の子ども時代を周囲の動きで見せ、8X年代の靹の浦でその父を登場させる、という構成が巧い。その家族が3つの時代と3つの場所でどう動いたのかで物語は進むが、全部で21人ほどの登場人物を、トラッシュ得意の1人2役どころか1人3役を使って7人で演じる、役者陣も凄い。社会派と言われるトラッシュだが、最終的には個人の感情のレベルに落とし込んでいるところが私のテイストに合う。2時間40分が長く感じない。
 時節柄か客席が空いているが、是非観てほしい芝居の一つだと思う。

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