斉藤可南子の観てきた!クチコミ一覧

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慾張り羊のシャグラン

慾張り羊のシャグラン

劇団Please Mr.Maverick

ひつじ座(東京都)

2017/01/18 (水) ~ 2017/01/22 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/01/21 (土)

価格2,800円

白ひつじ公演を拝見しました。
実はかなり面白かったです。☆三つなのは内容ではなく、料金が高いと感じたからです。ひつじ座で素舞台で2800円は、黒字を出すためかしらと勘ぐってしまうからです。
お芝居そのものは、劇団さんの底力を感じるものでした。どこの部署が突出して良いと言うでなく、全体的に…「お芝居の(根源的な)面白さ」を持っている劇団さんと感じられました。
4本の短編とそれをまとめる(繋げる)ストーリーテラーパートという構成はとても見やすかったです。しかし冬場の一本目は不利ですね、寒い外から劇場内に入ってすぐの一本目は、体が暖まって生理的に眠くなります(^^;)

宗教とジェンダーは、日本では気軽に扱われがちに思います。四本目の作品で宗教的なストーリーがありました。この作品に不満があったのではなく、ちゃんとしていたからこそ触発されてそう思いました。

盗聴[The Play]

盗聴[The Play]

獣の仕業

吉祥寺櫂スタジオ(東京都)

2017/01/14 (土) ~ 2017/01/15 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/01/14 (土)

価格2,000円

本当は☆4つです。ここには評論家ではないいち観客の私情でしかないことを自覚して書くと決めているので、あえての3つです。
獣さんの感想は、いつも似たものになってしまうのですが、とにかく完成度!社会人劇団と腹をくくっている人たちにここまでやられたら、プロを目指して活動している人たちはどうしたらいいやら(・・;)
立夏さんの才能に感嘆。いわゆる「演出」の部分と、役者さんを使うことのうまさ!引き出す意味でも、部品として使いこなす意味でも。
言葉やストーリーに依らない抽象的なお芝居は得意ではないので、実はあまり心が動くことはなかったのですが、「なんかすごいもの観てる」感がビシバシ。
完全素舞台で役者が引っこまないということは、常に6人が見えている、常に6人が表現している、行き届きっぷりも素晴らしかったです。
あと、衣裳がかなり好きでした!黒一色でありながら、キャラクター分けが明確でかつバランス良くて。
これで2000円。理想の小劇場劇団のひとつです。
寒波来襲中で寒すぎて電車で行きました。これがなかったらグッズ買ってました。

ネタバレBOX

あまりに個人的事情なのでこちらに。
お子様か!というほど、暗いと自動的に眠くなるのです…なので、一番楽しかったのは最終シーンだったりします。
それと、平手打ちは意図的に多用しているのだと思いますが、一度だけヒヤヒヤしました。打たれたとこ赤くなってましたし…
「不幸な男の救いかた~MAKE HAPPY~!!」

「不幸な男の救いかた~MAKE HAPPY~!!」

劇団カッコカリ

APOCシアター(東京都)

2016/12/08 (木) ~ 2016/12/11 (日)公演終了

満足度★★

少し辛めに書けば
全体に、時間が進むにつれて良くなっていった気がしました。
初回だったからか噛みが多かったり、セリフが飛んだ?作った?と感じる瞬間があったりもしたのですが、クライマックス少し前ぐらいから、出演者の熱量で、いろいろ気にならなくなっていきました。
特に貧乏神さんとお姉さんが全体を引き上げていたように思います。カーテンコールではお二人に拍手していました。
…その、出演者の方々、演出家をはじめとするスタッフさんたち、の頑張りがいちばんの長所だった(とわたしは感じました)のが、残念だった点です。特に脚本に共感できず…感性の違いが理由なら十人十色しょうがないでいいのですが、もっと何ていうか…浅薄に思われました。作品と値段が釣り合っていると思えなかったのが、残念なところでした。

水質調査官

水質調査官

劇団バッコスの祭

萬劇場(東京都)

2016/08/31 (水) ~ 2016/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしい2時間弱でした
こんなに惹きつけられてお芝居を観たのは久しぶりです。面白かった。面白かった。足りないので二回言いました。

ネタバレBOX

ラストが突然ぶった切られたようでびっくりしました。一瞬、拍子抜けかと思いましたが、帰途のなか「あれでよかった」と思いました。
帰り道に考えて納得する、演劇の余韻の最高のひとつです。

それでも欲を言うならば、もう2時間ぐらい、彼らの時間(の進み)を見ていたかったです。
もちろん喩えです。でも本音です。
THE GREEKS

THE GREEKS

劇団昴

Pit昴/サイスタジオ大山第1(東京都)

2016/07/22 (金) ~ 2016/08/07 (日)公演終了

満足度★★★★

役者さんに力があるって素晴らしい
三部構成の、第二部のみ観劇しました。
第一部の内容を引き継いでの第二部であるため、理解するのに時間がかかる部分はありましたが、これは自分のせいです。
そして、観劇に万全のコンディションではなかったので、これも自分のせいで観る楽しみを減じてしまったのが残念です・・・

古典なためか、どうしてもセリフ中心のお芝居になる…ストーリーがセリフによる”状況説明”で進んでゆくのが、難しさだと思います。出来事自体が言葉の説明で表されるなら、観客の目は何を観るのか。それは、語っている(聞いている)登場人物たちの表情(=感情)なのだな、とわかりました。
その点で、さすがに力量を感じました。1時間の一人芝居とか全然できちゃうレベルの役者さんぞろい。中でもアガメムノンさん、カッサンドラさん、アイギストスさん、エレクトラさん、クリュタイムメストラさん?(奥さん)は、さすがメインキャストを張るだけあって、なかなかこうはできないな、と素直に感心しました。

ネタバレBOX

ほかにも、ともすれば語りに偏ってしまいがちな舞台に視覚的刺激をもたらしてくれた、二段に組んだイントレ舞台や、川のような幕の演出、大量の血のり、奥行きとカーテンの開閉など、演出も楽しめました。
そういえばSEがやたらリアルでした!

そして、知人のひいき目でなく、タルテュビオスの町屋さんの溌剌とした動きが、空気をぱっと変えていました。梯子も一段飛ばしで昇っていたり、元々運動神経のいい役者さんですが、「できる」ことに価値があると思わせられました。
天草のマリア

天草のマリア

シアター風姿花伝(東京都)

2016/07/14 (木) ~ 2016/07/19 (火)公演終了

満足度★★★

熱量の魅力
エンタメ殺陣活劇、に括れると思います。島原の乱のお芝居だと思って観に行きましたが、その意味では期待と違いました。
むしろ史実に即した部分(例えばポルトガルとオランダの関係など)は説明が目立ち、ストーリーをいたずらに複雑にしていた印象です。オリジナルの、活劇が活きる脚本を上演された方がいいのでは、と思いました。
殺陣については、できる人も何人か含まれているように見えましたが、いかんせん舞台が狭そうで、そのためか刀も短く軽そうな木製で、もったいないなぁと思って観ていましたが・・・次第に気にならなくなりました。それが、役者さんをはじめ、お芝居全体から立ち昇る「熱量」でした。カロリーの消費が激しそうな気合と運動量。魅力でした。
チラシに「魂を削り」「生命力」とありましたから、ここは看板に偽り無しでした。
脚本、演出の方は本格的な作演はこれが初めてとのこと。長所をどんどん伸ばして、芝居作りをしてほしいなぁと期待を持ちました。
ただ、初公演から3500円という値段設定だったので、作品が成長したらいくらになるんだろう…と、ちょっと懸念しました。

ネタバレBOX

オリジナルの方が良さそうなのは、もう一つ理由があります。
実在の人物を扱うには、人物像が全体に薄く感じました。
これが創作上の人物(キャラクター)であったなら劇団さんの世界観として観られるのですが・・・歴史上名を遺す人物にはそれなりの人間性があったはずで、わかりやすいエンタメにするために漫画的な人物像として描いたのか・・・
いっそ「歴史”ネタ”エンタメ活劇」と宣伝されていたら、島原の乱のお芝居を観るぞ、という期待を持たず、素直に観られたと思いました。
memory!

memory!

壱人前企画

サンモールスタジオ(東京都)

2016/07/05 (火) ~ 2016/07/10 (日)公演終了

満足度★★★★

全力のパワーと暖かいストーリー
「松竹梅荘の青春」を観劇しました。

満員だったため最前列を一列足したのでしょう、足を横に逃がしてもつま先が舞台の平台につく距離(膝が平台の上にぎりぎりかかる距離)での観劇になりました。
自分は小劇場に慣れているので多少窮屈でも役者さんがめちゃめちゃ近くてもあまり気になりませんでしたが、一般の方だったら少々つらかったかもしれません。
ただ、声の大きさだけは耳がキン!となりました。終演後、後方で観ていた知人も声が大きすぎてちょっと…と言っていたので最前だからというわけでもなさそうです。おそらく、劇団さんの方針で、小屋のサイズ云々ではなく最大の声を出して届けよう、ということなのだと思います。そのやり方が成功していたところも多々あったので、善し悪しは一概には言えません。

と、どちらかと言えば難から書きましたが、青春のパワー溢れ、ストーリーにほろりとさせられ、2時間をしっかり楽しませていただきました。
役者さんたちが超楽しそう!むさくるしい(ほめ言葉です)男性陣の中で、主人公の管理人さんと唯一の女性入居者、この二人の女性登場人物が重要な役割を果たしており、脚本上も演技上も気持ちよく観ることができました。

ネタバレBOX

個人的好みだけで言うと、感動が万人向けというか、本当に深いところには触れて来ない無難さが、読後感の良さの中に一抹の不満を感じました。
ワタシュゴ ~もののけ冒険譚~

ワタシュゴ ~もののけ冒険譚~

Creative Company Colors

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2016/07/06 (水) ~ 2016/07/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

好みじゃなくても納得・満足させられました
面白かったです。正直に言うとエンタメ芝居も殺陣芝居も得意ではないので、自分が楽しめるものかな?と思っていたのですが、取り越し苦労でした。
商業演劇で6、7000円でやりそうなお芝居を、半ば(ほぼ?)手作りで4000円。舞台美術、演出の仕掛け、殺陣、衣装脚本もちろん演技…相当な労力と情熱がなければここまでのものは作れないだろうと、敬意すら抱きます。
二時間半近い上演時間でしたが、体感もぴったりそのぐらい。この長丁場を長いと感じさせない、飽きさせないのは素晴らしい手腕だと思います。

じ・だん

じ・だん

劇団鋼鉄村松

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2016/06/23 (木) ~ 2016/06/26 (日)公演終了

満足度★★★★

やっぱり脚本がいい
こういう脚本を書ける作家さんが小劇場にいることがまず嬉しいです。言葉のひとつひとつが絹糸のようです、でしゃばらず、1ミリごとに個性があって、控えめに上品に光っている。
ただ、織って布にしたときに、全体が平板になりがちに思います。
言葉そのものを鑑賞できる人はいいのですが、そこに楽しむツボを持たない人には長い時間に感じると思います。
たぶん作者ご自身もそれは気づいていて、工夫が随所に観られました。が、対症療法的に感じました。(ボスのキャラクターが素晴らしいので、対症療法としては最大の効果をあげていたと思います)

役者さんは、廣岡さんが好きでした。うまい人もそうでない人も居るから面白い座組に、安定感を与えてくれているように感じました。

言葉に目がいきがちですが、織りあがった布によく見ると浮かび上がる模様(テーマ)も、いつも納得してきゅんとなって帰ります。このへんきゅんとさせてくれるのが、ボス作品を好きな大きな理由です。

ネタバレBOX

わたしが観た回は、役者さん音響さん(ボスご本人)ともに大きなミスがあったのですが、どちらも笑い話というかむしろ観客にとって面白い要素が増えただけだったというのが、ボスという人のすごいところです。
こんなにチャーミングな人はそうはいません。
続・11人いる!東の地平・西の永遠

続・11人いる!東の地平・西の永遠

オデッセー

サンシャイン劇場(東京都)

2016/06/16 (木) ~ 2016/06/26 (日)公演終了

満足度★★★★

微妙な気分
原作のファン、モーニング娘。のファン、自分も演劇をやっている(のでより興味がある)。と、三拍子揃ったこのミュージカル、即チケットを取りました。

実際に観て・・・
ちょっと複雑な気持ちで帰途につきました。
決して悪かったわけではない、むしろ良かった・・・しかし、なんというか・・・まだ中庸な感じが、むずがゆいのだと思います。

原作は、漫画として傑作で、そこに「物語を短縮する」「女性のみ(しかもほぼ若年者)で演じる」「演劇初心者にも目立つ出番を与えなければならない」「原作ファンを裏切らない」を加えるとなると、しっかり立脚するものがなくなるのではないか、と。
2年前でしょうか、やはりモーニング娘。主演で上演されたミュージカル「LILIUM」が素晴らしかったのは、彼女たちのために書かれた脚本だったからかもしれません。

原作ものだと、結局のところ、彼女たちの本領発揮である”歌とダンス”に芯を求めることになるのだと思います。そして歌ダンスのシーンは素晴らしかったです。アイドルの生歌でここまでできるのはハロプロならでは。

それと、何人かのメンバーが、舞台に立つに足る演技をしていたことにも触れておきます。佐藤優樹さん、工藤遥さん、石田亜佑美さん。佐藤さんは時々セリフが聞き取りにくくなるものの、滑舌より気持ちが大事とばかりの感情の発露が観客の心に触れたと思います。工藤さんはそもそも演じる才能を感じますが、見せ場が少なく損をしているように見えました。石田さんはものすごい伸び率、普通に役者を見る目で観ていました。
譜久村さんはとにかくきれい。彼女のソロシーンは大きな見せ場でした。
牧野さんが舞台経験が少ないながら、心のこもった演技をされていて、生まれ持った可愛らしさと相まってとても魅力的でした。
小田さんはとにかく歌がうまく、ちょっと舌足らずな役作りも良かったと思います。

宝塚出身の役者さん2人が脇を締めていたのは大きかったです。このお2人のおかげで成立していた面は無視できません。

「LILIUM」「ステーシーズ」「リボンの騎士」の成功例がある以上、やりようはあるのだと思います。来年も期待しています。

水棲のアリア s.v.

水棲のアリア s.v.

salty rock

阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)

2016/06/03 (金) ~ 2016/06/06 (月)公演終了

満足度★★★

女性らしい綺麗さに過ぎていたかもしれません
犬井さんの脚本と立夏さんの演出は相性がよさそうだと期待して観に行きました。
相性が良すぎたのかもしれないなと思いました。
元々、犬井さんの言葉は文語調で様式美に近く、さらに様式美が突出している立夏さんの演出で、まるで絵画作品を観ているよう・・・
プロットという小空間で、演劇というより現代美術表現に近く感じ・・・それが悪いというのではないのですが、自分が演劇に期待する「物語」や「目の前で出来事が起きる」こと、また「生身の人間がそこにいて演じる重層さ」はあまり感じられませんでした。なんていうか、観ている側も人間なので心を動かされるにも生理的なものがあるのだけれど、生なところから乖離していく印象でした。

とはいえ、立夏さんならではの身体表現、女性の多重唱の情感、照明の美しさなど、みどころも多くありました。
salty rockさんはこのところ外部の演出家に脚本をゆだねる方向性なので、どう料理をされるのか、毎回楽しみです。

スパルタクスの乱開発

スパルタクスの乱開発

劇団バッコスの祭

あうるすぽっと(東京都)

2016/06/03 (金) ~ 2016/06/06 (月)公演終了

満足度★★★★

安心して見られる殺陣が心地よいです
無理に時間を作って観に行ったので、わたし自身のコンディションがいまひとつだったことを踏まえつつ・・・
全体に少し散漫な気がしました。会場、特に客席の空間が大きかったからかもしれません。席がかなり後方だったこともあると思います。小さな劇場に慣れてしまっているせいか、声の圧力があまり感じられなかったのがちょっと物足りなかったです。その中で奴隷役の加藤さんはちょうどいい響きだったように思います。
殺陣はさすが!小劇場劇団の殺陣はハラハラしながら見ることが多いのですが、この劇団さんの殺陣はわくわくして見られます。

ネタバレBOX

特に、二度行われる「ブリタニア戦」の殺陣、二度同じものを見るからわかる良さがあると思いました。繰り返されるからわかる悲劇、残酷。二度目は動きよりも気持ちを追って見てしまいます。
変わり種の殺陣二種類も楽しみました!歌の方は、自分がコロッセオにいたら確実に踊っています(笑)ケルベロスも面白かったし、何度も死ぬ鈴木さんが美味しくハマっていました。

珍しく?脚本がまだ完成していない印象でした。前半のボリュームが大きすぎ、後半の、クライマックスになりうるシーンがさっと駆け抜けてしまった感じ・・・
しかし設定やその回収の仕方はさすがだと思います。「書ける脚本家」さんは実は貴重なので、ホームグラウンドでの披露がなくなってしまうのは残念です。
劇場版・豚にも程がある!

劇場版・豚にも程がある!

:Aqua mode planning:

JOY JOY THEATRE(東京都)

2016/03/26 (土) ~ 2016/04/03 (日)公演終了

満足度★★★

パカ夫さんに会いたかった
いまさら投稿にて失礼いたします。
初めて観るAMPさんの長編でした。
2部構成で、前三分の一は以前にも上演された短編をだいたいそのまま。後ろ三分の二は新作の、続き?を上演されました。

AMPさん、というか作演出主宰松本さんの、今できる全力を見た気がします。
多人数だから価値がある演出、客席を巻き込んで感覚を一体化する手腕。演劇だから、役者が同じ空間に居るから、できる・・・演劇にしかできないものを体感させていただきました。

難をもし上げるなら、お話そのものの複雑さに少なからず戸惑いました。お話が難しいというよりは、進め方が思わせぶりに過ぎるというか、謎を持ち越したまま次に行くことが多く、ついていくのが大変でした。
おそらく作り手側は「ついて来られなくていい、混乱するぐらいがいい」という狙いだったのだと思いますが、とりあえず私にとっては心地いい混乱ではありませんでした。
それはラストがよくわからなかったことにも同じ気持ちです。

そして、一番残念だったのは、パカ夫さんに会えなかったこと!
チラシの段階から仕組まれた壮大な仕掛けに「一本取られた!」と思うか、「肩透かし」と思うか・・・意見の分かれるところだと思います。

ジオグラフィア

ジオグラフィア

劇団バッコスの祭

ザ・ポケット(東京都)

2016/02/10 (水) ~ 2016/02/15 (月)公演終了

満足度★★★★★

さすがです
バッコスの祭を観るのは二度目です。前回公演が良かったのでまた観に行きました。
期待にたがわぬ面白さ。わたし好みの「80年代感」と、2010年現代の誰にでも受け入れられるであろう整頓された感じとエンタメ感の、絶妙な融合。個人的にはもうちょっと役者の居住まいがガチャッとしている方が好きですが、万人受けならこのさじ加減だと思います。やっぱり、成長する劇団さんは違うな、と思いました。
脚本、演出とも変わらぬ高レベル。伊能忠敬とはあまり関係ないかも…ですが、面白ければいいでしょう!脚本家は、突出して頭がいいか感性が鋭いかしないと、鑑賞に堪えるものは作れない、と再確認しました。
出演者ではとにかく丹羽さん!看板役者さんのようですが、本当に素晴らしい。演技も体術も申し分なし。特に殺陣には目を見張るものがありました…と言うのは、わたしは殺陣芝居が実は苦手なのですが、この公演の殺陣、丹羽さんがからむ殺陣には見惚れてしまいました。
わたしが演劇に求めるものは、どこまで行っても「表現」で、見た目の格好良さではない…殺陣にも、役柄の人間性やその時の感情、が乗っていないと、ただの自己満足に見えてしまいがち、なのが、丹羽さんの殺陣には、苛立ちや怒りがキレッキレの動きの中に見える気がして、エンタメとしても表現としても成立している、だから「演劇」の中で殺陣をやる意味がある。
今作は見せ場として殺陣を多用されていましたが、プロデュース方法として成功しているように見え、感嘆しました。これならお金を払えます。

ネタバレBOX

ネタバレではないのですが、よく知った役者さんについて触れますと、
鈴木美穂さん>舞台上で観るのは久しぶりでした。2列目から観ていましたが、なんていうかキレイ。殺陣を学ばれて3年とのこと、特技と言えるところまで磨いて今回披露されていました。
松尾武志さん>役柄は合っているように思いました。段から降りるとき妙に乙女な動きなのは、役の「いい人」を表しているのか、単にご本人がそうとしか動けないのか?どちらにしても、そのままでいてほしい役者さんです。
あ、知人ではない方ですが、盗賊団のリーダー、この方の場合、演技ではなくご本人の不器用さ(未熟さ?)が見て取れました。演出家が上手に使っていたとは思うのですが、セリフを喋られるたびこちらがハラハラする感じでした。
えど~まえ・さんしゃいん‐高見沢家へようこそ!‐

えど~まえ・さんしゃいん‐高見沢家へようこそ!‐

THE CHAINS

こった創作空間(東京都)

2015/12/16 (水) ~ 2015/12/20 (日)公演終了

満足度★★★

結局は満足感あるけれども
なんだかんだ、観終わった時に満足感があるのは、脚本を書く力がある人なのだろうと思います。
実は事前に予定上演時間より長いと聞いていたので、もたれる場所がある席を選びました。背もたれのない劇場なので、上演時間はもう少し短い方がお客さん思いかと。
知り合いの劇団さんを観に行くと、どうしても作っている人たちのことを考えてしまいます。今回は、お芝居を観るってなんだろう、と思いながら観ていました。
コメディとか、お笑いでもコントでも、「上演時間中、心地よく過ごせる」ことが前提になるお芝居は、ドラマものとは違う難しさがあるなぁと思います。「心地よくない」時間があると、価値がだだ下がってしまうというか・・・
脚本家でも、演出家でも、お客さん目線でものを考えるのは大事だなと、その目線でいくと、まだまだ無駄が多く感じました。
とか、こんなことを考える余裕なく面白がらせる、作品を期待しています。書けそう、できそうなのに、何かが合致していない感じがずっと続いているので・・・
合致といえば、役者さんによって演技の「フィクション度」?みたいなものが揃っていないのが気になりました。世界の基準が揃っていない感じ。入り込みにくい要因の一つでした。

瓦礫のソフィー[See you, and thanks for all the Fishes]

瓦礫のソフィー[See you, and thanks for all the Fishes]

獣の仕業

吉祥寺櫂スタジオ(東京都)

2015/12/05 (土) ~ 2015/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★

すばらしい様式美
闇が深く、きれい。相対した光も。
様式美が確立されており、ぶれない。濃密(かつ、どこか空虚な)空間。
鍛えられた役者。
完成度の高さに頭が下がります。
脚本の「頭いい人が書いたんだろうな」感も、個性であり説得力であると感じました。
身体表現付き叙事詩、と形容したらいいでしょうか。

ただいつも「どんなに美味しい料理でも全部同じ味付けだと飽きる」とは思う・・・のですが、じゃあ改善した方がいいのかというと、そうも思いません。この劇団さんは、立夏さんの思うままに、固定も変容もしていくのが最善なのだろうという気がします。

おやすみ、コッペリア

おやすみ、コッペリア

salty rock

荻窪小劇場(東京都)

2015/11/26 (木) ~ 2015/11/29 (日)公演終了

満足度★★★

色んな意味で興味深かったです
salty rockさんは親交のある劇団さんですし、色々なことを考えて、頭の中フル回転で観ていました。お芝居の内容のみならず、見せ方や、役者さんそれぞれの役へのアプローチなど、表裏すべて解剖するような気持ち。そういう部分もひっくるめて、興味深いお芝居でした。
ただし言い換えれば、そういう見方ができるぐらい、求心力には欠けていたのかも知れません。

以前から、犬井さんは作家に専念して演出は演出に特化した人に任せた方がいいと思っていましたが、この公演がその形で、その試みが成功していると感じました。脚本も演出家さんの意見を取り入れて書き直しを重ねたそうで、効果はあったと思います。演劇としてすんなり見易くなっていたと思います。
と言いつつ、まだ疑問なのです。salty rockの作品は、小劇場演劇、の形で上演するのが適当(適している当たっている)なのだろうか?

犬井さんは言葉を愛する人であるように感じます。その分?結論まで言葉で表現してしまうところがあり、それは「演劇」には向いていないのではないかと。
そこはポジティブに捉えて、何か新しい「salty rockにしかできない舞台表現」を生み出すことができたら面白いだろうな、と、saltyさんを観るたびに感じます。

ところで今回は、成立させること自体が難しいSF設定だったと思うのですが、主演の石原さんが支えていると思いました。素直な存在感が、「元殺人機械のアンドロイド、今は記憶を封印されている」という難役を成立させていました。感情表現も無理がなく、観客に嘘を感じさせない演技だったと思います。

11/22

11/22

劇屋いっぷく堂

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2015/11/10 (火) ~ 2015/11/15 (日)公演終了

満足度★★★★

さすが。
少し前の観劇なので、記憶で書くのをご容赦下さい。
いっぷく堂さんは「東京22区」に続き二度目の観劇。今回も安定の面白さ、さすがでした。序盤ではこま切れのシーンが続いたため付いていけなくなりかけもしたものの、伏線が終わり本題に入ってからはするすると見入りました。
「妊婦」「産婦人科医」両方が宿泊客にいたことからラストの予想はつきましたが、ここは演出が面白かったです。ひたすら走る場面は、こんな笑わせ方(見せ方)もあったのか、と、笑いながら勉強になりました。
マルチエンディングとのことでしたが、初日に観劇した感じでは、どうマルチにするんだろう?最終シーンに各組の夫婦がエンディングの1シーンをもらっているのかな?など思いました。わたしには初日のラストで十分でしたが、やっぱりマルチの方がお得感があったのか、気になるところです。

回転木馬は歓びの夢をみる  ~未解決事件の終幕~

回転木馬は歓びの夢をみる ~未解決事件の終幕~

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パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2015/09/25 (金) ~ 2015/09/29 (火)公演終了

満足度★★★

劇団の呼吸
蛻皮表演さんは、看板役者である蛸谷さんがいつも突出している印象があるのですが、今回はそう思いませんでした。正直に言って、蛸谷さんが上手な役者さんだとは思わないのですが、そのパッション、キレ、セリフや動きの強弱と切り返し、全てから作・演出の相澤さん(の作品)を理解し、実現することができていると感じるのです。個性の強い劇団さんにとって、「劇団員」とはどれほど重要な存在か、と思わせられます。
その意味で「蛻皮色」に染まっていたのは母親役の方でしょうか。
そして、取り上げて書きたくなるのは今回蛸谷さんとW主演の町屋さん。この人の実力は私も知るところでしたが、なんていうか・・・蛻皮さんのやり方に、溶け込もうとしつつ、まだ溶け込めてはおらず、でも蛸谷さんと呼吸を合わせることで、むしろ蛻皮表演特有のアクと、それを見慣れていないお客さんとの橋渡しになっているような・・・
加えてこの二人は、どんなに強く大きな感情を表現する時も、エンプティな感じがしない。W主演の二人がいるから、このお芝居は説得力を持てるのだと思いました。
脚本的には、70分に収めようとしたからか?少し説明で語る場面が多かったように思います。セリフで言ってしまわない方が、お芝居として面白いのではないかな、と何度か思いました。

ネタバレBOX

しかし、70分で2700円は高いかもしれない。ドリンク込が必須なぶん会場代自体は安いはずなので、もう少し工夫できるのではと感じました。
あの日はライオンが咲いていた

あの日はライオンが咲いていた

PocketSheepS

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2015/09/10 (木) ~ 2015/09/13 (日)公演終了

満足度★★★

肌に合いませんでした・・・
誤解がないように書くと、いいお話だと思いますし、劇団の方客演の方みんな一丸となって誠実に作品を作られていると思います。高いレベルに達しているからこそ、こういう感想になるんだと・・・わたしの周りのお客さんは泣いている方も多く、きっとかなり好評を博すお芝居だと思います。いえ、変に持ち上げているんじゃなくて、本音です。

ネタバレBOX

脚本というか、お話は、再演の声が上がるのも納得です。
つまりその脚本をどう板に乗せるか、その方法論が、自分と合わなかったところだと思います。

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