調和と服毒
Ammo
上野ストアハウス(東京都)
2019/10/17 (木) ~ 2019/10/22 (火)公演終了
満足度★★★★
自分には調和と服毒というタイトルの意味が全然わからなかった。「パラゴーネ」では当たり前すぎるからか?「美とは何か」の議論を提示するのはとてもチャレンジングだが、さすがに難しい課題だったようだ。でも、「カーテンを閉じたまま」の時にも感じたが、なかなか独創的な舞台設定において観る者をどんどん引き込んでいく物語を作り出す作者の力量には舌を巻く。俳優たちの熱演も小気味よく、楽しめた。
男たちの中で
座・高円寺
座・高円寺1(東京都)
2019/10/18 (金) ~ 2019/10/27 (日)公演終了
満足度★★★
翻訳劇だからなのか、原作からカットがあるからなのか、わからないが、どうにもわかりにくく飛躍してしまう印象があり、登場人物たちのキャラの変化もしっくりこず、ちょっと混乱させられた。3時間かかる台本だが、散漫で今ひとつ盛り上がらない。せっかく渋い俳優たちが揃っているのに、もったいない気がする。舞台も広すぎたと思う。
「隣の家-THE NEIGHBOURS」 「屠殺人 ブッチャー」
名取事務所
「劇」小劇場(東京都)
2019/10/17 (木) ~ 2019/10/29 (火)公演終了
満足度★★★★
「隣の家-THE NEIGHBOURS」ストーリーの大半が舞台の半分で展開するのだが、その演出意図は何なのだろうか?原作の指示?スズキさんが劇に出てくる意味は?
レネゲイズ
Nana Produce
赤坂RED/THEATER(東京都)
2019/10/11 (金) ~ 2019/10/15 (火)公演終了
満足度★★★
新興宗教が絡むドラマ、特に新興宗教の側から描くことはなかなか難しいのかもしれない。今までにいくつか観たことがあるが、あまりリアリティがなかったり、ストーリーが無理筋であったりで、中途半端になりやすいような気が。
新興宗教団体の実態についての情報や印象が鑑賞の邪魔をしてしまうこともあるし、演劇的なヒューマニズムと宗教の神性とが相容れないからかもしれないし・・・。
終夜
風姿花伝プロデュース
シアター風姿花伝(東京都)
2019/09/29 (日) ~ 2019/10/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
関係崩壊寸前の2組の夫婦の会話(喧嘩)は、観ているこっちもイライラさせられるような罵倒・なじり合い。それだけならまだいいが、言動が不合理で矛盾し、ときに支離滅裂、理解しようと聴いていたら、こっちまで頭がおかしくなりそうになる。頑なで残酷で狂った心をこれでもかこれでもかと見せつけられる。
雰囲気的に「夜への長い旅路」を思わせるが、それよりもっとイカれている。4人全員の言動にほとんど共感できないが、とくに「今、気づいた」には、お前はバカかと突っ込みたくなるし、最後のシーンは、もう開いた口がふさがらなくなる。
役柄もあって、栗田さんの演技が出色だが、どの俳優も膨大な場面とセリフをほとんど噛むことなくテンポよくこなし、さすがプロと思わせる。舞台を囲む堤防のようなセットが興味深く、演出・演技に効果的に使われていた。優れた演技と演出は観る者を劇中の世界に引き込むが、客席と舞台を隔てるその堤防のおかげで、自分は登場人物たちの暗い狂った世界に完全に引きずり込まれずにすみ正気を保てたように思える。
どん底
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2019/10/03 (木) ~ 2019/10/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
全体を劇中劇に見立てたような演出が興味深い。「どん底」はちょっと分裂した、セリフの掛け合いが雑然と並べられたところのある群像劇だと個人的に勝手に思っているのだが、こういう演出だとそれが実に刺激的で面白く見えてくる。
国粋主義者のための戦争寓話
ハツビロコウ
小劇場 楽園(東京都)
2019/09/24 (火) ~ 2019/09/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
不気味で息詰まるような展開に観ているこちらまで極限状態にさせられる。ずっと以前に別のプロダクションでこの作品を観たが、今回のほうが断然すばらしかった。本当に洞窟の中にいるような狭い劇場空間や薄暗い照明が効果的、死体がずっと置きっ放しなのもちょっと大胆な演出と感じた。
ばしょ
Pityman
新宿眼科画廊(東京都)
2019/09/20 (金) ~ 2019/09/24 (火)公演終了
満足度★★★★★
役柄と同じキャラを持った俳優を選んでいるのか、俳優たちの演技力が高いのか、とにかく登場人物たちが今そこに実在しているかのようにとてもリアルに感じられた。小さい劇場空間であることもプラスになっている。台本もリアルで良い。
ガリレオの生涯
こゆび侍
新宿眼科画廊(東京都)
2019/09/07 (土) ~ 2019/09/16 (月)公演終了
スリーウインターズ
文学座
文学座アトリエ(東京都)
2019/09/03 (火) ~ 2019/09/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
ユーゴ紛争が絡んだ演劇はこれまでいくつか観たことがあるが、クロアチアの歴史と一つの家族の連綿とした物語を重ねたこの作品がもっとも濃密だった。
こんな作品を構想できる作家のすごさとともに、必ずしも一貫した展開のあるとっつきやすいストーリーではない、少なくとも日本人にとっては縁遠い内容の長大なこの作品を取り上げて観客を魅了するプロダクションに仕上げるこの劇団の実力に感嘆した。今の日本ではこういう作品が観られるんだな、こういう作品を上演してくれる人たちがいるんだな、という感慨を覚えずにはいられない。
悪魔を汚せ
鵺的(ぬえてき)
サンモールスタジオ(東京都)
2019/09/05 (木) ~ 2019/09/18 (水)公演終了
満足度★★★★★
鵺的らしい、思わず不快感をもよおすエグい話。主役・脇役とも配役がピッタリ。
そう言えば、善良な人ほど、悪に騙され,利用され、あげくに荷担して、最後には潰される、という実例をときどき見かけますね。
DNA
劇団青年座
シアタートラム(東京都)
2019/08/16 (金) ~ 2019/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★
舞台装置や人の動きはjacrowでやる時とほとんど同じなので、脚本家の意向でしょうか。
ストーリーはjacrowでやる時とは違って会社の問題より家庭の問題が主であるように思いました。
家庭の場面が一番客席に近いし、内容も一番深かったように感じました。
そこは青年座での上演を考慮して、少し切り口を変えたのでしょうか。
人形の家 Part2
パルコ・プロデュース
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2019/08/09 (金) ~ 2019/09/01 (日)公演終了
満足度★★★
良い俳優たちが選ばれているが、ノラ役は、少し大人しすぎのように感じた。周囲の人々を巻き込んで不幸にしても物ともしないようなエゴの強烈さがもっと表れたほうがよいように思う。
演出の意図やねらいがあってのこととは思うが、舞台装置がまったく家庭らしくなく、まるでどこかの公的な広いホールで語り合っているような印象がした。
ストーリーも、あの結末はなんか辻褄が合わないような気がするのですが・・・。
薔薇戦争
Theatre Company カクシンハン/株式会社トゥービー
シアター風姿花伝(東京都)
2019/07/25 (木) ~ 2019/08/12 (月)公演終了
満足度★★★★★
長大で複雑な原作を、大胆に脚色して、しかしストーリーの本筋はまったくそのままで、わかりやすく、面白く、手際よく、現代的な演出で楽しませてくれる。演技は正統派で実力が高い。第三部の、ヘンリー六世の有名な独白シーンも、なかなか魅せる。観る者の聴覚をぎりぎりまで刺激するドラムもいい。
アイランド
イマシバシノアヤウサ
OFF OFFシアター(東京都)
2019/08/01 (木) ~ 2019/08/25 (日)公演終了
血のつながり
劇団俳優座
俳優座スタジオ(東京都)
2019/07/28 (日) ~ 2019/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★
俳優陣の安定したふさわしい演技で、安心して観ていられる。
いっぽう、原作の話はちょっとどうなのかな、という内容。ミステリー度が不足しており、かといって深層心理や狂気をじっくり描くわけでもなく。
骨と十字架
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2019/07/06 (土) ~ 2019/07/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
日本人にはちょっと馴染みにくいテーマと思われるが、実在の人物のわずかなエピソードからこのような劇を構築してしまうこの作家のインスピレーションにいつもながら感心させられる。
徹頭徹尾硬派な会話、修道院の奥の間のような暗くてだだっ広い禁欲的な舞台、抑制的な演技、これらが主人公の心の深淵に入っていくような効果を感じさせた。
配役も役柄にピッタリのように思え、あれが本当に代役か、と思ってしまう。
いろいろ考えると、あの結末しかなかったのではないか。
夕食の前に
劇団1980
下高井戸 HTS(東京都)
2019/07/13 (土) ~ 2019/07/21 (日)公演終了
ガラスの動物園
文学座
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2019/06/28 (金) ~ 2019/07/07 (日)公演終了
闇にさらわれて
劇団民藝
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2019/06/23 (日) ~ 2019/07/03 (水)公演終了
満足度★★★
テーマの割には、意外に起伏のないストーリー展開に感じられた。演出の問題なのか?それとも原作の問題なのか?母親とコンラート博士のやり取りの場面、母親と息子の対面の場面など、もっと緊迫感があっていいように思うが、淡々と落ち着いた、静かな展開で、どうなのかな、と。ベテラン俳優たちの演技は申し分なく安定的。