Shionの観てきた!クチコミ一覧

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女の子は死なない

女の子は死なない

TremendousCircus

シアターシャイン(東京都)

2022/09/30 (金) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/10/02 (日) 17:00

すべてネタバレから。

ネタバレBOX

「演出家はレイプをやめろ」
「税金レイパー」
この言葉を勝手に独り歩きさせて、好き勝手に言われてきた公演。
蓋を開ければ満員御礼。我がことでもないのに勝手にガッツポーズ。
観た後はその内容に胃が痛くて堪らない。

勝手に言葉が独り歩きしたのは何故か。
「俺たちはやってない」
はどの口が言うのか。
“レイプ”という言葉を男は、私は、勝手に矮小化している。いや壮大化してると言うべきだろう。
“レイプ”はただ単に眠らす眠らせない犯す犯さない挿れる挿れないの話だけじゃない。
それはただただ卑劣なゴミ以下の行為だが、この社会において女性に向けられるすべての不公平はレイプだ。
そしてそれを我々は、私は許してる、気づかない、見ないふりをする。

性加害にすこし反対すれば言った気になる。
痴漢や無理な口説きをしなければ紳士になった気でいる。
簡単に生きれて良い気なものだ。すべては当たり前のことでしかないのに。
お気軽に正義の味方になれる。女性は戦うほど悪の本丸扱いされてしまうのに。
その上でこう言う。
「俺たちは女性の敵じゃないのにひどすぎない?」

生皮剥がされて「痛い」という人に
「みんな痛いんだ、痛がるな我慢しろ」
と言う。
自分は一切怪我をしていないのに。

目の前で首を絞められている人が、
絞めている人に「殺すぞ」
と言うのに「それは人道的に良くない」
という。
助ける気もないのに。

自分たちが作り上げた社会で自分たちに味方する女性を見つけては
「理性的で冷静な女性だ」と持ち上げる。
これもレイプだ。レイプして、さらにレイプしている。二重レイプ。地獄絵図だ。
そしてそれが正しいと多くの女性に思い込ませようとする。
女性が「フェミニストは怖い」と言う姿を我が意を得たりと喧伝する。

これが私の生き方だ。それを思い知らされた。
どの口が無責任に味方ぶってきたのか。
どの口で無責任にこれまで愛など囁いてきたのか。
馬鹿か。

140分間、ずっと頭に巡るのはこんなことだ。
でも思ったところで何も変わらない。
思ったから何だという話だ。
“評価軸”に乗りたいのだろうか?

帰路の道端で、電車の中で、明日からの日々で。
至る所にあるレイプにどう自分が向き合っていくかだ。これまでの生き方のままなら、それはレイパーなのだから。
劇場の中で、感想を呟くSNSの中で、帰路で、電車で。
一度もレイプしていないか?どうか?

演出家はレイプをやめろ、の前に男はレイプをやめなきゃいけない。
社会全体を犬鳴村にしてきたのは私たちだ。
Salome-androgynos-(両性具有)

Salome-androgynos-(両性具有)

TremendousCircus

シアターシャイン(東京都)

2019/08/21 (水) ~ 2019/08/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

前回のサロメを観た上で、それと比較しながら観るのも面白いだろう。

ネタバレBOX

『androgynos』という副題が示す通り、この作品はサロメで描かれた「見えない側面」をより強く表現した作品であった。

原作からかなり離れているように初見では感じるかもしれない。人によっては拒否反応を示す人もいるかも知れない。
しかし、賛否が起こらないような作品は『何かを伝える』ことを拒否した作品とも言える。

実際、この劇団の描く世界観は、原作者が今も生きて、この現代に生き、現代を見ていたなら、同じようにアップコンバートしたのではないか、と考えられる面がある。

言葉の選び方の一つ一つや、細かな設定には原作へのリスペクトや、深く読み込んだ痕がしっかりと残されているからだ。

それだけでなく、例えばヘロディアスがクレオパトラの血を引く、と言った設定などからは、星野之宣の『妖女伝説』が思い出されたし、原作だけでなく派生作品などから遊び心たっぷりな引用も感じられる(同時に、それが物語の深みや、テーマの厚みを増す役割も担っている)。


演者さんたちは皆熱量たっぷりに作品を彩る。
特にこの作品に関しては、主演の大内ふみや氏が素晴らしかった。
物語の中で一人称が変わる場面があるのだが、その度に表情が変わる。
まさにandrogynosそのものに見えた。

サロメの踊りのシーンでレインボーフラッグを使ったのはまさに「ここだな」と思う場面。

前回のサロメはあくまで「サロメ」の範疇にいた。今回のこれはそこから一歩踏み出したように感じられた。
しかし、古典をやるというのはそういうことではないだろうか。勿論原盤を出来る限り遺すのも必要なことだ。しかし、ならばそれは「完コピ」でなくてはならないだろう。

完コピでない形で本当の意味で作品を遺すのであれば、その作品の持つテーマや感情を、現代に向けて描かなければならない。

あまりにも過酷な闘いをする人たちだなぁ、と思う。そりゃあ、声も枯れる。汗だくにもなる。それが、人の心に何かを撃ち込むのだ。

とにかく一度生で体験して欲しい劇団である。
生でこそ伝わるものがあるのはあらゆるものがそうだろうが、この「叫び」はその場で自分自身も感情を高めて受けるべきだ。

……感極まって自分まで叫んでしまわないように、マナーは守ってご観劇(感激)を笑
La Barbe Bleue-青髭-

La Barbe Bleue-青髭-

TremendousCircus

シアターシャイン(東京都)

2018/10/31 (水) ~ 2018/11/04 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタバレBOXにて

ネタバレBOX

今回で3度目の観劇。
サロメ、雪白姫、と観てきての感想。
物語の根底にあるものは一貫していると感じた。作・演出の田中円氏が描くべきもの、描きたいものが一貫しているのだろう。
その上で、テーマや舞台が変化している。
故に、その根底のテーマが合わない人は何を観ても合わないだろうし、そこを「説教くさい」と思う人はいるはずだ。

しかし、エンタメの世界はそういうもの。
合わない人を取り込むより、その想いを求める人の心に突き刺すことが大切。
一貫したテーマを描く作家さんは観る側としては信頼できる。

演出などは確実に回を増す毎にパワーアップしている。
痛いくらいの熱量と重いテーマで、殴りつけてくるような劇団だ。
時にその熱が空回りして感じられることもあったが、逆にそこに人間を深く描いた姿を感じて胸が熱くなる。

「人は何故人を殺すのか」
このテーマで、罪人をただ裁くことも出来る。けれど、この劇団はいつでも、そうなり得る人、そうなった人にまで寄り添おうとする。
そこに生半可の覚悟しかなければお寒いだけだが、彼らは血を吐くような覚悟の上でそれを演じ、描いているのが感じられる。

優しく熱い表現者集団だと感じた。

舞台の小道具も、この規模で出来得る限界値までやろうとしているのが感じられ、これだけテーマが「現実的」であっても「幻想的」な世界観を忘れさせない。

やや足し算が過ぎるほど詰め込まれた要素は、てんこ盛り過ぎるきらいはあるが、そこはそれぞれの要素への愛情とリスペクトであろう。
少し引き算をしてみても充分にテーマを伝えられる実力はあると思うので、そういった舞台も観てみたいかも知れない。

そしてそうそう、ネタバレOKならこれは書いておかないと。
ご本人もTwitter上で解説していたけれど、この物語が怖いのは何よりラストだと思うのだ。
「連鎖は何も終わってないんだな…」というブラックさもある。同時に、彼らならここで終わらせられるのではないかという希望もある。
じわりじわりと、後から効いてくるパンチを最後に喰らうことになる。
毎度思うけれど、毎回一回しか観ていないのが惜しくなる。もう一度観て自分の中のモヤモヤを解消したくなるのだよなぁ。

とにかく一度、観てみて欲しいと思う。
何かに迷う人や、苦しんできた人、痛みを背負った人…そんな人たちは、「何か」を見つけられるはずだ。
そして、心に何かが残り、何かを得て帰れるはず。
そんな人たちこそ、観て欲しいと思うのだ。
サロメ

サロメ

TremendousCircus

シアターシャイン(東京都)

2018/02/10 (土) ~ 2018/02/12 (月)公演終了

満足度★★★★

先日観劇させて頂きました。
個人的には90's Visual-Rockの世界観というか、暗黒、狂気、美しさを感じるせの表現にとても感銘を受けました。

形骸化されていない、本当の意味での痛みや哀しみを美しく表現されていたと思います。
長台詞や熱苦しいまでの表現は好みが分かれるかも知れませんが、これはこの劇団の持つ表現法や形なのかと思います。

舞台が狭く感じるほどの登場人物の多さや情報量で、一度では理解が追いつかないというより、見切れない、という風に思いました。
目が追いつかない、といいますか。
一度しか観られませんでしたが、二度三度観ても楽しい舞台だったと思います。

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