Salome-androgynos-(両性具有) 公演情報 TremendousCircus「Salome-androgynos-(両性具有)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    前回のサロメを観た上で、それと比較しながら観るのも面白いだろう。

    ネタバレBOX

    『androgynos』という副題が示す通り、この作品はサロメで描かれた「見えない側面」をより強く表現した作品であった。

    原作からかなり離れているように初見では感じるかもしれない。人によっては拒否反応を示す人もいるかも知れない。
    しかし、賛否が起こらないような作品は『何かを伝える』ことを拒否した作品とも言える。

    実際、この劇団の描く世界観は、原作者が今も生きて、この現代に生き、現代を見ていたなら、同じようにアップコンバートしたのではないか、と考えられる面がある。

    言葉の選び方の一つ一つや、細かな設定には原作へのリスペクトや、深く読み込んだ痕がしっかりと残されているからだ。

    それだけでなく、例えばヘロディアスがクレオパトラの血を引く、と言った設定などからは、星野之宣の『妖女伝説』が思い出されたし、原作だけでなく派生作品などから遊び心たっぷりな引用も感じられる(同時に、それが物語の深みや、テーマの厚みを増す役割も担っている)。


    演者さんたちは皆熱量たっぷりに作品を彩る。
    特にこの作品に関しては、主演の大内ふみや氏が素晴らしかった。
    物語の中で一人称が変わる場面があるのだが、その度に表情が変わる。
    まさにandrogynosそのものに見えた。

    サロメの踊りのシーンでレインボーフラッグを使ったのはまさに「ここだな」と思う場面。

    前回のサロメはあくまで「サロメ」の範疇にいた。今回のこれはそこから一歩踏み出したように感じられた。
    しかし、古典をやるというのはそういうことではないだろうか。勿論原盤を出来る限り遺すのも必要なことだ。しかし、ならばそれは「完コピ」でなくてはならないだろう。

    完コピでない形で本当の意味で作品を遺すのであれば、その作品の持つテーマや感情を、現代に向けて描かなければならない。

    あまりにも過酷な闘いをする人たちだなぁ、と思う。そりゃあ、声も枯れる。汗だくにもなる。それが、人の心に何かを撃ち込むのだ。

    とにかく一度生で体験して欲しい劇団である。
    生でこそ伝わるものがあるのはあらゆるものがそうだろうが、この「叫び」はその場で自分自身も感情を高めて受けるべきだ。

    ……感極まって自分まで叫んでしまわないように、マナーは守ってご観劇(感激)を笑

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    2019/11/25 19:54

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