阿弖流為が投票した舞台芸術アワード!

2019年度 1-1位と総評
『リンドバークたちの飛行』

1

『リンドバークたちの飛行』

ゲッコーパレード

国指定の文化財・宮城野納豆製造所を舞台にしたゲッコーパレード 家を渉る劇vol.4「リンドバーグたちの飛行」鑑賞。プレヒトの同名戯曲を文化財版に演出し直したユニークな演劇。大西洋を初めて横断した男・リンドバーグと彼の相棒の゜欠陥だらけの飛行機゜をリンドバーグの独白などで描く。
出演者は僅か3人だけ。その出演者たちがリンドバーグの葛藤や周りの人々の嘲笑と歓声、新聞記事、霧などを担当する。観客はその話に従って文化財の中を歩いてリンドバーグの芝居を、その世界を゜体験゜する。我々はリンドバーグたちと共に大西洋を横断する。さながらアトラクションのよう。アトラクションと違う点と言えば、生身の役者が観客に晒されながら芝居を演じる、という点か。
仙台での数少ない文化財でこのような体験が出来る、ということが貴重だと思う。現役の納豆製造所で演劇をやる。こんな文化財があるとは知らなかった。文化財というと保存というのがまずあるのでそれで終わりになるが、こうして利活用することによって、文化財の大切さというのも伝えてくれる。
時々、頭を鈍器で殴られたような(殴られたことはない)衝撃の芝居に出会うことがある。最近で言えば小池博史演出の体感シアター「幻祭前夜~マハーバーラタ~」やわらび座ミュージカル「KINJIRO!」とか。今回のゲッコーパレード「リンドバーグたちの飛行」もそんな衝撃的な作品だった。
途中リンドバーグが霧の中を進む場面は客席の前と後ろから゜霧の声゜が聞こえ、我々はその声を聞きながらリンドバーグと共に霧に見立てた通路を進む。リンドバーグと共に歩むという演出は圧巻。

総評

わらび座を中心に多くの舞台に触れた一年だった。

このページのQRコードです。

拡大