どどめ雪
月影番外地
ザ・スズナリ(東京都)
2016/12/03 (土) ~ 2016/12/12 (月)公演終了
満足度★
酷過ぎるかも・・・
金額に見合う内容はまるでなかったというのが率直な感想。もちろん、見方は人それぞれで、笑いのハードルの高さも人によって違うので、絶対的な評価なんて存在しない、このことを前提としての感想です。
わかりやすく言えば、かなり薄い、単純な思いつきの(あまり練られていない)笑いの要素とした断片部分をつなぎ合わせただけの作品で、一貫して何が言いたいのか伝わってこない(自分が感じられなかっただけかも知れない)。笑いのとにかく浅く薄っぺらいので、笑えたシーンは一つとしてなかった(ただし、他のお客さんで笑ってらっしゃる方がいたので、自分のハードルが高いからかも知れません)。福原さんの作品では昨年の『墓場、女子高生』の再演やテレビドラマなど、とても面白く拝見したことがある分、期待し過ぎたせいか、まったく笑えず楽しめなかったのは、とても残念でした。
役者さんの一生懸命な演技は伝わってくるのですが、やたらと暗転が多く、本当にブツ切りな印象。何が伝えたかったのでしょうか。本当にひどいと思える内容でした。
会場は下北沢「スズナリ」で小劇場の割に5500円はやや値段高めの印象。さらに通路である階段にまで椅子を置くなど、超満員というかキャパオーバーで、詰め込み過ぎでした。
個人的な主観的な感想なのでひとりよがりなものであることは認識しつつも、福原さんはこの作品に本当に満足していらっしゃるのか、とても疑問に思います。
仮に会場が超満員で、(けして悪い意味ではなく)「笑いのハードルの低いお客さん」の一部にセリフがウケていたとしても、それは高い評価を意味しないのではないかと思いました。むしろ、客観的な見方を誤らせる要素になってしまうのではないかと懸念します。
墓場、女子高生
乃木坂46LLC
シアターGロッソ(東京都)
2016/10/14 (金) ~ 2016/10/22 (土)公演終了
満足度★★★
脚本の素晴らしさ!
この作品の脚本の素晴らしさを再び感じることができた。
昨年の東京芸術劇場での公演を観て衝撃を受けたが、その作品を再び観ることができてよかった。どうしても昨年の公演と比べてしまうので、初めて乃木坂の本公演を観たらどう感じていただろうかと思う。昨年の公演も再演だけれども。
会場が比較的静かだったが、この作品に含まれる笑いを誘う場面は、もっと笑いが起きてもよいはず。何故かあまり会場が温まっていなかったのが残念。
高校の文化祭のような、乃木坂のみずみずしい新鮮な演技に好感が持てた。コーラスのハモりが上手だった。
るつぼ
Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2016/10/07 (金) ~ 2016/10/30 (日)公演終了
満足度★★
勉強になりました。
休憩時間が来てそれ以上観続けることに耐えられず帰ってしまったため、前半部分のみに対する感想です。
たき火からの光や窓から差し込む光やロウソクの仄かな光など、それぞれの光と、それによる壁に映る役者の影が艶めかしく、また綺麗で、光と影の使い方が視覚的に美しいと思った。舞台も奥行きがあって、奥に時折登場する少女たちがみな赤色の服を着ていて、舞台に色彩をもたらしていた。全体として暗めにライティングがなされており、この作品の背景事情やその時代を表すものとなっていた。
これら舞台演出や舞台美術はよかったのだが、一方で役者さんたちの演技には不満だった。堤真一の演技は声にどすが聞いているだけでうるさく、松雪泰子は不自然に低い声を出し、黒木華のおどろおどろしい演技は蒼井優にしか見えない。黒木華は、この役柄、この演出をするなら、彼女じゃなくてもよかったのではないかと思う。道端淳平は若すぎて、悪魔祓いの牧師と言われても説得力がなく・・。だって、そうでしょう。悪魔祓いには相当鍛錬を積んだ聖職者しかならないはずなのに。そのほかの役者さんも舞台とは言え、演技が大袈裟というか大味というか。あと、これは避けがたいのだが、日本人(アジア人)が欧米の時代衣装を着る違和感・・・、欧米人が着物と刀とマゲを結って演技しているのを日本人が見る感覚と言えばよいでしょうか。シェークスピアならお約束だから違和感も薄れるのだが。この作品は時代などもう少しアレンジを効かせた方がよかったのではないかとも思う。また、場面展開のシーンなど音楽に頼り過ぎな気もした。
有名人がたくさん出てるから、結果、料金が、悪い席でも高くなってしまっているが、それに見合う内容がない場合も往々にしてあるのだなと勉強になりました。
アーサー・ミラーの原作そのものは、魔女狩りというテーマに借りた赤狩りという、彼の生きた時代の闇を表現した作品であるはずなので、そのテーマは普遍的で今日的にも重要なテーマと言えるだけに残念だった。
再び演出について、時代とは言え、頭から全体的に演技を重々しくし過ぎなのではないかと思う。松雪泰子は本当に魔女なんじゃないかというくらい一貫して暗いし、冒頭の少女たちの踊りも悪い意味で様式的で本格的過ぎて、誇張された嘘のはずのものが嘘じゃないように思えてくる。この作品は日常を過ごす普通の人々の生活が普通の人々の保身によって壊されてしまうお話なので、それがベタであってもまずは日常を軽めに描くことが必要だったのではないだろうか。最初から曰くありげに進められては、壊される対象がよく見えなくなってしまう。前半部分は、恐ろしいことが起こっているはずなのに、それがすごく薄まってしまっていて、その呪いだけの進行に耐えられなかった。
まあ、観なかった後半は、もしかするとすごくよかったのかも知れないので、前半のあまりのつまらなさに後半を観ていない以上、作品全体を通しての感想になってなくて大変恐縮です。