るつぼ 公演情報 Bunkamura「るつぼ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    勉強になりました。
    休憩時間が来てそれ以上観続けることに耐えられず帰ってしまったため、前半部分のみに対する感想です。
    たき火からの光や窓から差し込む光やロウソクの仄かな光など、それぞれの光と、それによる壁に映る役者の影が艶めかしく、また綺麗で、光と影の使い方が視覚的に美しいと思った。舞台も奥行きがあって、奥に時折登場する少女たちがみな赤色の服を着ていて、舞台に色彩をもたらしていた。全体として暗めにライティングがなされており、この作品の背景事情やその時代を表すものとなっていた。
    これら舞台演出や舞台美術はよかったのだが、一方で役者さんたちの演技には不満だった。堤真一の演技は声にどすが聞いているだけでうるさく、松雪泰子は不自然に低い声を出し、黒木華のおどろおどろしい演技は蒼井優にしか見えない。黒木華は、この役柄、この演出をするなら、彼女じゃなくてもよかったのではないかと思う。道端淳平は若すぎて、悪魔祓いの牧師と言われても説得力がなく・・。だって、そうでしょう。悪魔祓いには相当鍛錬を積んだ聖職者しかならないはずなのに。そのほかの役者さんも舞台とは言え、演技が大袈裟というか大味というか。あと、これは避けがたいのだが、日本人(アジア人)が欧米の時代衣装を着る違和感・・・、欧米人が着物と刀とマゲを結って演技しているのを日本人が見る感覚と言えばよいでしょうか。シェークスピアならお約束だから違和感も薄れるのだが。この作品は時代などもう少しアレンジを効かせた方がよかったのではないかとも思う。また、場面展開のシーンなど音楽に頼り過ぎな気もした。
    有名人がたくさん出てるから、結果、料金が、悪い席でも高くなってしまっているが、それに見合う内容がない場合も往々にしてあるのだなと勉強になりました。
    アーサー・ミラーの原作そのものは、魔女狩りというテーマに借りた赤狩りという、彼の生きた時代の闇を表現した作品であるはずなので、そのテーマは普遍的で今日的にも重要なテーマと言えるだけに残念だった。
    再び演出について、時代とは言え、頭から全体的に演技を重々しくし過ぎなのではないかと思う。松雪泰子は本当に魔女なんじゃないかというくらい一貫して暗いし、冒頭の少女たちの踊りも悪い意味で様式的で本格的過ぎて、誇張された嘘のはずのものが嘘じゃないように思えてくる。この作品は日常を過ごす普通の人々の生活が普通の人々の保身によって壊されてしまうお話なので、それがベタであってもまずは日常を軽めに描くことが必要だったのではないだろうか。最初から曰くありげに進められては、壊される対象がよく見えなくなってしまう。前半部分は、恐ろしいことが起こっているはずなのに、それがすごく薄まってしまっていて、その呪いだけの進行に耐えられなかった。
    まあ、観なかった後半は、もしかするとすごくよかったのかも知れないので、前半のあまりのつまらなさに後半を観ていない以上、作品全体を通しての感想になってなくて大変恐縮です。

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    2016/10/09 01:35

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