Musical殺し屋は歌わない
T1project
小劇場B1(東京都)
2019/09/13 (金) ~ 2019/09/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
小劇場でのミュージカル作品。
とあるミュージカル舞台作品の楽屋で繰り広げられる人間模様を
細部にまで作り込まれた楽曲、40曲を超える歌で、繊細かつ情熱的に描いています。
なんという贅沢なんでしょう。
小劇場という空間で、20名弱の演者さんたちによる、生歌、マイクを通さない生の声でのミュージカル。
演者さんたちの歌、演技にも、メロディー、歌詞ひとつひとつにも引き込まれます。
客席2面の変形の舞台で、それぞれ間口が6メートルほど。
10坪たらずの空間での作品であることをまったく忘れさせる、圧倒的なパワーと広がりを感じることができる作品です。
良質な大人のミュージカル作品を、小劇場で観られるというのはやっぱり贅沢です。
観ないと損ですね。
幸せな時間
T1project
本多劇場(東京都)
2019/02/27 (水) ~ 2019/03/05 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/03/03 (日) 14:00
価格7,800円
想像を超える形で来たミュージカル作品。
素敵な世界も、殺し屋は歌わないもお芝居の中に歌がある作品の仕立て方。いわばそれが王道。エリザベートもファントムも、グランドホテルもミーマイも共通してそう言う作り。
わかりやすいし、物語の中で描かれる人間像を伝えるのに効果的だし、そもそもその為に音楽があり歌がある。
けども幸せな時間は、歌、音楽を先において作品と仕上げた様に思うほど、ふんだんに盛り込まれたBGM、歌、音楽が3つの時代を行き来する芝居を支える作り。
言うなれば頭から最後まで歌で覆い尽くしたシェルブールの雨傘か、最近だとLALALANDと言ったところだろうか。
両作品とも映像作品なので場面転換の自由度が高い。特にLALALANDは恋愛ファンタジーでもあるので映像編集による効果に圧倒される作品。
この「幸せな時間は」言ってみればLALALANDを舞台化した様な作りになっている。精緻に計算され尽くした演出と歌が、時にはソロで時にはコーラスで舞台全体を塗り替える。
ひとりの老漫才師の辿ってきた人生を中心に据え、その周りで様々な人たちが自分の人生に悩む姿を好対照に描く。正直一回だけでは作品の全てを受け止める事はなかなか難しい。それほど濃密に作られた話。
演出、セリフ、歌どこにも手を抜かない分、観ている側もしっかりと受け止めたい。演者さんたちのピュアな熱がしっかりと伝わってくる作品です。
主演の尾藤イサオさん。圧倒的な存在感は、そこにいるだけでももちろん歌も、ラストでの叫びも筆舌に尽くしがたいパワーでした。
こんなミュージカルはなかなかお目にかかれない。
ショートストーリーズvol.8
T1project
「劇」小劇場(東京都)
2018/09/19 (水) ~ 2018/09/30 (日)公演終了
満足度★★★★
2年ぶりのT1プロジェクトのショートストーリーズ。1時間ほどに構成された4つの作品を日程によっては1日で楽しめる、T1プロジェクトならではのお芝居。
今回は4作品のうち2作品が、T1プロジェクトの定番作品であるシーチキン®️サンライズがらみ。「中田ステーションセブン」は正村遼と言う男を作った過去の物語。彼の中で人生というものにどんな価値観を植え付けたのかと言う原体験の話。1場の小劇場で実現できる範疇ではない内容をまとめた一作。演者さんらも実力派揃いで一人一人のキャラクターが粒立っていてよかったです。
もう一つの「あなたが生きていたから」は、シーチキン®️サンライズのお話の後の物語。
榊、美奈代、マキオらが中心となって、遼の遺したメッセージを受け取る話。シーチキン並みに涙腺がやられる作品です。マキオ最高です。
残る2作品のうち一つが「サヨナラの踏切」
人が命を失った後のお話。人は命を亡くすと忘却線と言う列車に乗り、一駅ごとに何かを忘れて行く。2組の男女がそこで織りなす切なくて、少しだけ甘い物語でした。最後に少しいいよねと思わせてくれた、いいお話です。
「君はナタデココ」タイトルからはお話が想像できないけど、お芝居を観終わっあとに、「君はナタデココ」と呟くとなんだか暖かい気持ちになれる、そんな物語。人が生まれて一番最初に親からもらうプレゼント、それは名前。親の思いとは裏腹に案外子どもは…。そんな名前をテーマに構成されたお話。登場人物たちが個々に生き生きしていて、観る人みんなにどこか思い当たる事があるエピソード。とっても暖かい作品です。
今回のショートストーリーズ。「サヨナラの踏切」が中村允俊さん脚本・演出によるファンタジー。「中田ステーションセブン」「あなたが生きていたから」が友澤晃一さん脚本・演出によるシーチキン®️サンライズのスピンオフ。「君はナタデココ」は金丸知美さん脚本・演出のほんのり暖かい、親子、男女の想いが重なり合うお話。
新鮮な2作品、さすがの2作品。楽しめます。
9/30まで
『シーチキン®サンライズ』Musical『殺し屋は歌わない』
T1project
小劇場B1(東京都)
2018/04/25 (水) ~ 2018/05/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
シーチキン・サンライズと殺し屋は歌わない。両方を観劇。
シーチキンはT1プロジェクト定番ですが毎年少しずつ変えてきてます。去年よりも少し新しいチャレンジがあり、毎年観ていても楽しめる作品。
殺し屋は、ミュージカル作品。小劇場でミュージカル? ちょっと歌を多用してるぐらいじゃない? と考えていたら甘い。全うな本格ミュージカル作品です。全く手を抜いてません。というか高度に構成された内容で、これを小劇場で鑑賞できるってどんな贅沢なんだ!
ちゃちな歌歌うだけの小劇場作品じゃありません。そのまま大きな劇場に持っていける内容と構成と質です。
期間中には都合をつけてでも観ましょう。
後悔しません。
『シーチキンサンライズ』『幸せな時間』
T1project
小劇場B1(東京都)
2016/09/14 (水) ~ 2016/09/25 (日)公演終了
満足度★★★★
小劇場で観る大人の芝居
「幸せな時間」
小劇場の芝居なのに、小劇場にありがちな独りよがりのセリフや設定は全くなく、またセリフ一つ一つに重みがある大人の鑑賞するに値するお芝居です。
平凡な人間が生きる中で起こる数々の非凡。それを平凡なセリフが語る。主役をきちんと置きながら登場人物たちが、派手なセリフも極端な芝居もない中で、個々にきちんと映えてしかも、胸に刺さるセリフで心をつかむ。あっという間の二時間。
小劇場のお芝居って・・・という先入観がある人は、違いを感じられるでしょう。観た人が「感想は一言では書けないなぁ」とこぼすほど内容が濃い芝居です。
「シーチキンサンライズ」
T1プロジェクトの定番ですが、以前とはまた違った演出でとても良かったです。この作品はお芝居と言う次元を超えた、芸人の生き様を観せらせた2時間15分でした。
この期間中に是非観るべき作品ですね。