満足度★★★★
鑑賞日2019/03/03 (日) 14:00
価格7,800円
想像を超える形で来たミュージカル作品。
素敵な世界も、殺し屋は歌わないもお芝居の中に歌がある作品の仕立て方。いわばそれが王道。エリザベートもファントムも、グランドホテルもミーマイも共通してそう言う作り。
わかりやすいし、物語の中で描かれる人間像を伝えるのに効果的だし、そもそもその為に音楽があり歌がある。
けども幸せな時間は、歌、音楽を先において作品と仕上げた様に思うほど、ふんだんに盛り込まれたBGM、歌、音楽が3つの時代を行き来する芝居を支える作り。
言うなれば頭から最後まで歌で覆い尽くしたシェルブールの雨傘か、最近だとLALALANDと言ったところだろうか。
両作品とも映像作品なので場面転換の自由度が高い。特にLALALANDは恋愛ファンタジーでもあるので映像編集による効果に圧倒される作品。
この「幸せな時間は」言ってみればLALALANDを舞台化した様な作りになっている。精緻に計算され尽くした演出と歌が、時にはソロで時にはコーラスで舞台全体を塗り替える。
ひとりの老漫才師の辿ってきた人生を中心に据え、その周りで様々な人たちが自分の人生に悩む姿を好対照に描く。正直一回だけでは作品の全てを受け止める事はなかなか難しい。それほど濃密に作られた話。
演出、セリフ、歌どこにも手を抜かない分、観ている側もしっかりと受け止めたい。演者さんたちのピュアな熱がしっかりと伝わってくる作品です。
主演の尾藤イサオさん。圧倒的な存在感は、そこにいるだけでももちろん歌も、ラストでの叫びも筆舌に尽くしがたいパワーでした。
こんなミュージカルはなかなかお目にかかれない。