ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.27
ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団
めぐろパーシモンホール(東京都)
2023/05/21 (日) ~ 2023/05/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
素晴らしい音響環境の中、響き渡るギターとボーカル
華やかな衣装をまとって次々と繰り広げられる一夜限りの舞踏
発表会としては最高級の内容だったと思います
大きいホールで自由席という自由度も嬉しい
生のフラメンコを肌で感じているとサスペンスドラマの劇中に入り込んだ様な感覚になってくる…面白い体験でした
ザ・ニュースペーパーLIVE 2023
社会風刺コント集団 ザ・ニュースペーパー
なかのZERO(東京都)
2023/05/20 (土) ~ 2023/05/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
しょっぱなの岸田総理、よーく見るとそんなに似てない(笑)のだけれど凄く特徴を捉えておられる、出てきた時の所作なんかもうソックリ!笑ったー
政治、経済、外交 日本のみならずワールドワイドな面々、今だから言いそうな(?)言葉の数々が逐一面白くて大爆笑と拍手の連続
地上波では微妙なラインを攻めているのが良い
どんなにおちょくった様な描写であっても、その人達がそう悪くない印象として残るのはやっぱり根底に愛があるからでしょう
政治家大集結の「朝まで生テレビ」コーナー、最高
願わくば高〇早苗さんにも登場して欲しかった
アクターズハイ
LUCKUP
劇場MOMO(東京都)
2023/05/10 (水) ~ 2023/05/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
売れないイケメン俳優と様々な応援手段を画策するコアなファン達
お互いウィンウィンの関係でありながら、これは何か起こるぞ という予感に満ち満ちて思わず見入ってしまった
ところが何とも意外な方向へと物語は転がりだして…「役者」という沼へ
観ているうち何故だか中国の伝統芸能「変面」を思い浮かべてしまった
お面の形相が一瞬にして変わるアレ
コンパクトな劇場での熱気に満ちた舞台
内容的には決して健全なエネルギーではないのだけれど力強かった
そのせいか不思議とドンヨリした印象を残さない舞台でした
愛と忘却と記憶
アンティークス
OFF OFFシアター(東京都)
2023/05/10 (水) ~ 2023/05/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
宇宙視点で見た地球人というテーマ性が面白い作品集
最初に壮大な印象を与えておきながらフェイントをかけるように1作目では狭い職場内での恋愛模様、心地良く笑った
人間臭く場を温めた後、2作目以降はトワイライトゾーン風な要素が盛り込まれ末広がっていく感じになっていて中々に上手い構成
当日パンフでは作・演出の主宰者ご自身の懺悔をモチーフに創られたと書かれていましたが、いやいや悪い人にはこれは書けない
心の傷を癒していくような優しさが滲み出た舞台
ダークな部分があってこそ光射していく感覚をいろんなカタチで味わえたと思います
しあわせのかたち
藤原たまえプロデュース
小劇場B1(東京都)
2023/05/10 (水) ~ 2023/05/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
めっちゃ親しみやすいホームドラマ
ホームドラマならテレビで観れば良いって?いやいや全然違う!
引き込み力が違う、一体感が違う、そもそも生の迫力が全く違う
心のツボを突いて容赦なく笑わせてくれるこの感じは三谷幸喜作品にも共通しているなぁと感じたのに加えて、思いっきり笑った後に優しく染みわたってくる感慨深さはもう格別
これって最高の心の栄養源だと思う
特に地方に実家がある人にお勧め
共感とか色んな思いがないまぜになってしみじみ、そして思い出し笑い
良い表情を沢山観ることができました、ホント面白かった!
ハートランド
ゆうめい
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2023/04/20 (木) ~ 2023/04/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
全てのピースがピタッとハマった!までのピタッと感は得られなかったものの「なんか変」の実体が徐々に見えてくる怖さの増幅は中々のもの
とにかく印象的だったのが全編を通しての攻めの演出
苦労して絞り出したというよりポンポン飛び出しているのではないかと思うくらいアイデア満載
「ゆうめい」さんは間隔をあけて拝見していると毎回化けていて「斬新だなぁ」と思うところが多く、この先もどこに向かっていくのか楽しみ
ブロッケン
ゴツプロ!
新宿シアタートップス(東京都)
2023/04/21 (金) ~ 2023/04/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
賢く生きられない人達の思いがひしめき合い熱くぶつかり合ったガッツリの人間劇、超絶面白かったです
物語を先導する塚原大助さんの真っすぐで渾身の演技、これだけの公演数をこなせるというのが本当に凄い
意外にも繊細な性格を演じられた高畑裕太さんは演技力が格段に上がっている
辛酸を舐めつくしたかの様な有薗芳記さんの演技は流石としか言いようがない
泉知束さんはしがないサラリーマンっぷりがバッチリハマっていて見事
前田悠雅さんは舞台に華を添えているだけでなく強さと弱さが同居した鮮やかな演技
岩瀬顕子さんはナイロン℃を彷彿させる可笑し味があって、それでいて哀愁も感じられる味わい深い演技
とにかくキャスト全員が揃いも揃ってとても良かった!
もの凄いエネルギーチャージになると思うので、ちょっと疲れている人には特にお勧めです
二次会のひとたち
エイベックス・エンタテインメント
紀伊國屋ホール(東京都)
2023/04/14 (金) ~ 2023/04/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
レトロで良質なコメディー映画風の演出がよく合っている
結婚式に招待されなかったけれど、二次会の幹事を頼まれるという微妙な扱いの男女4人
初対面同志、新郎新婦の悪口を言い合いながらも二次会のプランを練っていく過程が何気に楽しい
自然な演技、大人になってからの友人論がめっちゃ染み入ってきます
良質な舞台
猫と犬と約束の燈~2023編~
劇団TEAM-ODAC
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2023/04/12 (水) ~ 2023/04/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
普通なら特別記念公演でもおかしくないくらい”力”ある公演
とっつきやすいアプローチは若さ溢れる新喜劇といったところか
豊かな人間模様にファンタジー、テンポ良く笑わせながら時には熱量ある見せ場が幾つもあって見応えたっぷり
超デカ盛り2時間40分の長尺は一回休憩を挟んで欲しいところではありますが、変化をつけて常に惹きつけていく工夫はしっかりとされていたのでした
ホラーのイメージが強い遠山景織子さん、良い塩梅の“陰”を活かした未亡人役
「トゥギャザーしょうぜ」のキャラをそのまんま活かしたルー大柴さん
ちゅうえいさんのお馴染み、ウザい感じ(悪口じゃないですから)
良く知っている役者さんの活かし方が巧いなぁと思えたのと、若手の俳優さん達も役を楽しんでいる感、勢いがあって好印象
主役の小松準弥さんは、全編に渡って色んな表情見せまくりの大活躍で、これならファンの方たち大満足でしょう
播磨谷ムーンショット
ホチキス
あうるすぽっと(東京都)
2023/04/07 (金) ~ 2023/04/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
フライヤーのカッコ良さからは想像できないコメディーインパクト
主人公の潜入先となる田舎町ドライブインの独特なセンスと超個性的な面々
あぁことごとく殺し屋の超クールキャラと違いすぎる
主人公がカッコいいほどに生まれるミスマッチの笑い
「なんそれ!」のツッコミだらけでめっちゃ忙しい(笑)
もはやストーリーがどうのこうのと言うより笑ったもん勝ち!な感じ
けむりの肌に
キ上の空論
CBGKシブゲキ!!(東京都)
2023/04/07 (金) ~ 2023/04/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
元戦隊ヒーローだった栄光がかえって足枷となり生き辛そうに映る主人公
いつのまにか学生時代の友人との間に生活格差が生まれていたり、日常でのさり気ないジャブが着実に効いてくるビターな一面もありながら同時にシニカルな笑いやら哀愁やら様々な感情が生まれてくる興味深い観劇体験でした
登場人物一人一人にたっぷり時間を割いているわけでは無いのに、各々の人間性がしっかり浮き彫りになっていくエピソードテクニックが本当に見事で
色んな人間臭さが混ざり合ってぶつかっていく様が絶妙に面白く且つ感慨深い
過去と現在の間に流れている(舞台上には描かれていない)余白の時間をも想像で描きあげようとする欲求が募り、そうした過程もすっかり肉付けされている手法も見事だと思いました
K2
滋企画
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/03/24 (金) ~ 2023/04/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
下山途中、岩棚の上で身動きが取れなくなった二人の男
開演前、見渡すとサイズ的に見てもどうやらあそこが件の岩棚らしい
浮遊感ある本当にわずかなスペース
氷壁、全体的には武骨な印象のセットだったけれど、劇場全体を駆使した下山チャレンジにはハラハラ、うわっ!ヤバっ、ビックリした~っとさせられる、アイデアと表現力が凄い
自然の猛威の他に二人が向き合わなければならない問題がもう一つ
片方が負傷しているという事
この問題が為に二人のやり取りが軋んでいくよう、だんだん心が苦しくなってくる
極限の状況下、燃え上がる生命が切なく迫ってくる舞台でした
アウトカム~僕らがつかみ取ったもの~
劇団銅鑼
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2023/03/17 (金) ~ 2023/03/22 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
個人的に地方の街づくりワークショップ(本公演の企業プロジェクトとはちょっと違いますが)に少しだけ参加させてもらった事があり、空気感というか あ~あの時ホントこんな感じだったなぁと思わず重ね合わせながら拝見しました
進行には大枠のハウツーがあるのでしょうが多くの人間が集まってのプロジェクト、中々一筋縄ではいかないのですね
それでも先導する人達のやり方次第で何等かの成果は生まれてくるもので
街づくりワークショップの方は最初だけの参加予定であったため見届ける事ができませんでしたが、今回の公演ではプロセスの重要性を噛みしめながら最後まで見届けることができて何とも感慨深かったです
ここからが新たなスタートとも言えますが
幸福論
wonder×works
新宿シアタートップス(東京都)
2023/03/15 (水) ~ 2023/03/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
客席のA列を無くし そのスペースにまで達している舞台セット
まるで舞台と客席が地続きとなった仕様に期待は高まってくるし、始まってみればそれこそ期待通りの演出が
核廃棄物処分誘致に反対の立場をとる医師の自宅の一角が舞台
この町全体からしてみれば反対派の局部的定点観測というカタチになるのだけれど、地に足のついた演技、普段の生活ベースから徐々に高まっていく緊張感からは舞台上には登場していない町民たちの思惑までもが見えてくるようでした
自分の生活圏において核廃棄物処分地という存在は縁遠く、今回の公演に触れていなければ、こんなにも深く考える機会は無かったと思う
核廃棄物という底知れない脅威以前に、一筋縄ではいかない人間関係が一番怖いのではないかと思ってみたり、例えばの自分を舞台中に投影してみたり、かなり深く入り込んでしまう公演
小さな町が背負ったのは、この国の幸せ
本当にそれで良いのか・・・
劇中で語られたこの問題の核心が忘れられない
帰り道には登場人物達の様々なしがらみから離れる事ができて、一旦核の脅威から離れる事ができてホッとしている自分に気付いてしまいました
本当にそれで良いのだろうか・・・是非多くの人に観て欲しいです
マギーの博物館
劇団俳小
サンモールスタジオ(東京都)
2023/03/03 (金) ~ 2023/03/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
強い生命力が漲っているだけに壮絶な爪痕を残してくれる公演
海岸に位置する炭鉱の町
貧困から逃れるため移り住んだとはいえ、この土地には生きていく術の選択肢があまりに少なすぎる
これではどうやっても豊かになれそうもない
そんなジレンマが常に付きまとって、それでも必死に足掻いて生きている姿から片時も目が離せませんでした
男にモテないけれど明るく気丈なマギー(どうにか幸せになって欲しいと思わせる魅力に溢れている)
マギーと一緒に暮らすのは
旦那と長男を炭鉱で失い生きる気力を失っている母(元々が根明な女性だったらしく、その片鱗に救われます)
強い労働組合を目指す弟(真面目でそれ以上に不器用な男を好演)
長年の探鉱作業で塵肺を患うじっちゃん(寝たきりなので常に部屋の一角に鎮座しているシンボル的存在)
そんな生活の中、マギーと恋に落ちる心優しいニール(体格良く頼もしいのだけれど不安を予見させる一面もあり)
やがて二人は海が見渡せる小高い丘に新たに家を建てる事を誓い合う・・・
あらすじに書かれた登場人物がそのまま具現化されていて、演劇の生々しさがダイレクトに伝わってくる、それ故に強烈に響いてくる公演でありました
点と線のオブリビオン
9-States
駅前劇場(東京都)
2023/02/22 (水) ~ 2023/02/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
酒蔵を営む家庭のごく日常的風景なのだけれど、んlん、妙に面白いこの感じは一体
拙い分析眼で観ていると これは会話の繋ぎ方が巧いからだね と納得
観客は自然と自分流にカット割りをしながら舞台を観ているわけで、その目線の誘導のさせ方がめっちゃ巧い
だから視線を動かすのが楽しくなってくる
加えて何気ないのに良く吟味された言葉で構成されているものだから心地よく観ていられる
転換時に映し出されるモニターの言葉は 問い掛け、模索、指標が示されていて増々“言葉の力”を感じることができるのでした
家族(身内)だからこそ遠慮無い言葉になってしまったり
拾われの身(加えて記憶喪失)という心もとなさから一歩引いてしまう言葉になってしまったり
もどかしい中にも切っても切れない絆の強さが沁みてきます
失われた真実の事件性の高さにビックリしましたが大人同士のにらみ合いのシーンには思わずゾクリ
ひとつで二度美味しいドラマになっていました
じりりた
明後日
新宿シアタートップス(東京都)
2023/02/22 (水) ~ 2023/03/01 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
老人ホームで生まれた友情
施設における人生の最終章であっても彼等の時間は息づいていて
その時間が可笑しくて哀しくて、無性に泣きたくなってきます
これまでもめっちゃ面白い脚本を書き上げてこられたニシオカ・ト・ニールさんの作品
ひょうひょうとした酒井敏也さん&武骨な渡辺哲さん それぞれの持ち味が最大限に生かされていてサイコーに面白い
あまりに自然なものだからもうそのまんまじゃないか「あてがき」最強!と思って観ていたのですが
アフタートークで登壇したお二人の素の姿はまたちょっと違っていて、そうかーやっぱり演出の力、演技の力って相当凄いってことなのだと改めて実感
脇を固めていた施設の職員、息子役の俳優さん達もそれぞれにナチュラルで、二人のおじいちゃんをより一層輝かせ且つ内容を豊かなものにしてくれていました
マッチ売りの少女
下北沢演劇祭実行委員会
シアター711(東京都)
2023/02/23 (木) ~ 2023/02/26 (日)公演終了
実演鑑賞
キッチリしたストーリーの形態をとらないのがPANCETTA流
老若男女のマッチ売りの少女が10人(少女の概念はガン無視ということですね)
各々の願望が浮かんでは消え
おそらく制作過程で生まれたであろう豊富なインスピレーション
「演劇の街」をつくった男 本多一夫氏の役柄(立ち位置)が妙に面白く
更に拡がっていくインスピレーション
う~ん何ともカオスな感覚
お楽しみ会的な素人感とプロによるアート感が渾然一体
そこにすっごい熱量が加わって もう独特の世界観となっていくのでした
咎人の刻印
High-position
紀伊國屋ホール(東京都)
2023/02/16 (木) ~ 2023/02/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
令和の切り裂きジャックと吸血鬼との出逢い、やがて火花散らし合う異能の者達
キ上の空論 中島庸介さんが脚本・演出であったのが心強かった
耽美の迷宮に置いてきぼりにされる事もなくその世界観を着々と楽しむことができました
ゾンビ映画にも通じる哀しい残酷味、刑事役のヤングダンディーっぷりに可笑し味が含まれていた事も見逃すまい
ただ馴染めなかったのが主人公の設定
連続殺人犯と心揺れ動く綺麗な青年との両立が自分的にはどうもしっくりこない
ファンの人から「そこがポイントだよ、ダメじゃん」と言われそう、ガ~ン
なるほど「咎人の刻印」は シリーズものだったのですね
目一杯盛り上がった後でのお楽しみはこれからだ!感が上手い
入管収容所
TRASHMASTERS
すみだパークシアター倉(東京都)
2023/02/17 (金) ~ 2023/02/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
日本で暮らす限り緊急医療体制に関しては信頼度が高く、それは日本で暮らす外国人にも同等であると今まで思っていたのだけれど
普段馴染みの無い「入管収容所」
個人的には 不法滞在者=悪い人 という先行イメージから改めなくてはいけないと思いました
実際の被害者家族の方々(アフタートークにて)がそれでも日本人の事は好きですといった旨を話されていたのにはちょっと救われる思いがしました
公演時間は2時間40分
相当なる調査と考察から成り立った公演である事は想像に難くない
こういう事件が閉鎖された空間で起こっているのだと、そして何が問題として残っているのかと
どんな伝達手段よりダイレクトに伝えてくれるニュアンスや息づかい
それが生舞台の凄いところでありながら反面、観劇した人にしか直に伝わらないというのが何ともはがゆい
せめて一席たりとも空きが無いよう、一人でも多くの人が目撃できるよう願うばかりです